denkouriki– Author –
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驚愕の優勝
協会設定の優勝制度ができて今年で約90年半経った。大正15年にスタートして、442場所が経過した(中止になった平成23年三月場所を含まない)。優勝は横綱275場所(62.2%)、大関109場所(24.7%)、関脇25場所(5.7%)、小結8場所(1.8%)、平幕24場所... -
九月場所番付 地位と実力の不一致
九月場所の番付が発表された。違和感が横綱・大関にある。まず、先場所休場した鶴竜である。本当に横綱の力があるのだろうか。横綱在位14場所。横綱としての優勝は1回しかない。13勝以上の成績となると、ただの1度もない。横綱としての存在感を示せない... -
優勝番外余話
大相撲の最大の焦点は優勝にある。来る九月場所で稀勢の里は優勝できるか。白鵬が通算1000勝とともに奪回するか。興味はつきない。そんな優勝に関する番外余話を紹介してみる。優勝力士への協会表彰は賜杯(盃とも書く)と優勝旗である。賜杯のサイズや重... -
玉の海梅吉氏が残した言葉
今、相撲は若貴当時に準じる人気である。今年に入って、すべての場所で満員御礼が続いている。九月場所のチケットの売れ行きも好調過ぎるほどである。この人気の要因がなんともつかみにくいが、人気がある事実は事実として認めなければならない。NHKの... -
検証!4横綱の時代総括
ここまで4横綱の時代を検証してきた。それぞれの4横綱はどんな成績を残し、どれだけ休場したか、一覧表にまとめてみた。時代によって取組制度は異なるので単純に数字を比較することはできない。また、1場所限りの4横綱の数字に重きはおけない。そうい... -
検証!4横綱の時代9
昭和から平成にかけて、旭富士が12勝-12勝-14勝-13勝-13勝の成績をあげながら、横綱に昇進できなかった。その旭富士がようやく連続優勝を達成して横綱に昇進したことで平成2年九月場所、4横綱が実現した。千代の富士、北勝海、大乃国、旭富士による... -
高安、あの日あの時
七月場所の高安は、琴奨菊・豪栄道・照ノ富士の3大関を撃破し、11勝4敗の好成績で技能賞を受賞した。横綱・大関全員と対戦する地位で好成績をあげたことは実力者の仲間いりを果たしたといっていい。来場所は関脇が予想される。高安に注目したのは、意外... -
検証!4横綱の時代8
次の4横綱時代は苦労人三重ノ海の横綱昇進によって昭和54年九月場所に生まれた。輪島、北の湖、2代目若乃花に加わった。三重ノ海は昭和23年生まれで、世代的には輪島と一緒であった。遅れてきた横綱であった。この4横綱時代は8場所続いた。優勝は4横... -
稀勢の里メモにみる「打倒白鵬」
稀勢の里はかつて大関候補であった。平成22年九月場所の稀勢の里メモをみてみよう。この場所、白鵬が全勝で優勝し、連勝を62までのばしたときである。メモは次のように書かれている。稀勢の里の大関への条件は何か。九月場所、稀勢の里は小結で負け越して... -
九月場所チケット事情その後
九月場所のチケットの売れ行きは快調である。実は発売初日の翌日である8月7日、一刻も早く売れ行きを見るために、暑い中国技館へ出かけてみた。7日間ある土日、祝日は完売であった、13日目の平日もない。マス席は前半も含め、残りわずかが目立つ。イス... -
検証!4横綱の時代7
新旧入り混じっての4横綱となったのが、昭和36年十一月場所である。大鵬・柏戸が同日横綱に昇進して実現した。ただし、朝潮が引退したため1場所限りとなった。時代は新しい力大鵬、柏戸の時代へと移っていった。次の4横綱は3年2場所後であった。大関... -
検証!4横綱の時代6
昭和29年の夏場所、秋場所で大関栃錦が14勝1敗で連続優勝を達成した。栃錦の連続優勝で、横綱昇進は決定的だった。そうなると、東富士、千代の山、鏡里、吉葉山と史上初の5横綱が誕生することになる。「5横綱はいけない」と言っていた東富士は、秋場所... -
検証! 4横綱の時代5
「検証!4横綱の時代」はタイムリーな話題や七月場所で間遠になっていたテーマである。たいへん申し訳なかったが、忘れている方のために以下をクリックすると、これまでの内容がご覧いただけるようにした。検証! 4横綱の時代1検証!4横綱の時代 2検... -
横綱、その昇進と引退年齢
横綱を目指す稀勢の里は7月で30歳を超えた。30歳を超えると懸念されることが2つある。1つは成長の伸びしろである。30歳からどこまで強くなれるか。もう1つは横綱に昇進したら、寿命はどれくらいあるか、ということである。<稀勢の里> そこで、... -
稀勢の里改造論
七月場所12勝をあげたことで、稀勢の里の横綱昇進チャンスは続いている、という見方がある。一方で横綱は1度優勝してからが起点である、という意見がある。相撲協会が前記の見方をしているため、一人歩きしてしまっている。そもそも稀勢の里はどんな横綱... -
七月場所の宇良
七月場所、十両2場所目の宇良は11勝と好成績をあげた。研究されて苦戦するかと思ったが、五月場所より1勝多かった。勝因は正攻法の相撲が多かったことである。五月場所は相手をかわしたり、逆転の相撲が目立った。それがなく、正面から対戦相手に圧力を... -
現代四股名事情
<宇良>今年といっても、まだ4場所だが自分の名前を四股名にする関取が増えてきた。相撲ファンなら全員あげたいところだが、いかがだろうか。遠藤、正代、高安このへんはまだなんとかなる。ベテラン里山、なんとなく四股名っぽいが本名である。元旭富士... -
続九月場所チケット事情
チケット発売の当日、いつもと違った場所を訪れてみた。相当がんばれば東京への通勤圏になる所である。チケットぴあは駅から十分(じゅうぶん)という距離にある。歩けば30分だが、なれない道の分だけ余分に時間がかかる。チケットぴあがあるビルにようや... -
九月場所チケット事情
本日は整理券配布の日である。国技館窓口は今回も12時発売開始である。にも関わらず、6時40分時点で並んでいる列は、南門を通り越して数メートル伸びたところまで来ていた。自由席通し券は50セットであるのにこの並びであった。整理券は7時から配布され... -
出羽海の系統 九重部屋誕生直後のドラマ
「九重部屋、それは時代に翻弄された部屋」は、その経緯を字数の関係で、かなりはしょっている。もっと詳しく知りたい方のために、出羽海の系統をご覧いただきたい。出羽海の系統で一番書きたかったことは破門独立した九重部屋がその直後の場所で大関北の... -
九重部屋、それは時代に翻弄された部屋
主を失った九重部屋は寂しい。後継者は元千代大海だが、どういう形で引き継ぐのか。名跡と弟子だけの場合がある。部屋ごと継ぐ場合もあるが、部屋は賃貸の場合がある。千代の富士が、横綱として活躍していた頃の師匠は、今NHKで解説をしている北の富士... -
千代の富士の陰に隠れた男達
優勝30回超えは3人しかいない。その一人が、61歳の若さで亡くなった千代の富士である。当初は千代の富士の優勝回数が、30回を超えることを予想できなかった。達成できた要因は力士生命の長さであった。実に36歳前まで現役であった。年6場所では考えられ... -
千代の富士、その栄光と死
7月31日は暑い日であった、夜、なにげなく娯楽番組を見ていたら、まさかのニュースが飛び込んできた。元横綱千代の富士の九重親方の突然の訃報であった。すぐに知り合いの相撲記者にメールした。亡くなられたのは夕方頃とのことであるという。それにして... -
37年前の横綱昇進基準アンケート
稀勢の里の横綱昇進をめぐる昇進基準は激変している。七月場所千秋楽、稀勢の里が12勝3敗で逆転優勝した場合、審判部は理事会の召集をお願いするとの情報がテレビで流れた。さすがにこれは無理筋だと思った方が多いのではないか。七月場所の稀勢の里は横... -
稀勢の里の相撲内容を採点する
このところ大相撲の注目を常に集めているのが、稀勢の里である。稀勢の里の優勝と横綱は、簡単ではない。6場所制最強の王者白鵬が、君臨している。この壁は高くて厚い。その白鵬が崩れた七月場所は、稀勢の里も下位に星を落とした。そこで崩れず、最後ま... -
稀勢の里は貴乃花の不撓不屈の精神を学ぶべき
七月場所の稀勢の里の優勝と横綱昇進は九月場所に持ち越しすることになった。五月場所-七月場所-九月場所と3場所連続でチャレンジすることになる。さすがにもう横綱にしてもいい、あるいは優勝にこだわらず、来場所好成績なら横綱にしてもという声がき... -
総評
★七月場所の横綱・大関陣について横綱が25勝9敗、大関が28勝24敗。関脇以下には全員で24敗。とにかくよく負けた。横綱・大関が7人いながら、合格点は日馬富士と稀勢の里のわずか2人だけである。<優勝を逃した白鵬(中)と稀勢の里(右)>★優勝した日... -
■名古屋千秋楽 初優勝だけの横綱昇進、その結末
千秋楽の見どころは、2敗日馬富士対白鵬戦ではない。最大の焦点は稀勢の里が豪栄道相手に12勝をあげることができるか否かである。12勝なら横綱問題は継続する可能性が出てくる。11勝なら振り出しに戻る。対戦相手の豪栄道は、7勝7敗と手負いの獅子であ... -
■名古屋14日目 首の皮1枚の大関陣
この日注目の一番は、3敗同士の対戦白鵬対稀勢の里戦である。出足で圧倒した白鵬は一気に稀勢の里を西土俵に追い込んだが、体が伸びきって自滅的敗北。稀勢の里はかろうじて勝利を拾った。<白鵬の速攻を左足1本で残こした稀勢の里>カド番照ノ富士が白鵬... -
■名古屋13日目 戦う前から負けていた稀勢の里
稀勢の里対日馬富士の2敗同士の対戦は、優勝へ大きく浮上する一番になる。この結果単独2敗となるだけに今場所最大の注目を集める取組である。場所前正直この展開を読めなかった。<写真1稀勢の里対日馬富士> 稀勢の里が13勝2敗で優勝すれば、横... -
■名古屋12日目 白鵬にいやな予感
カド番照ノ富士は今日まで6勝5敗。けして調子がいいときの勝ち方ではない。対戦相手の2敗でトップの白鵬のほうが実力は上。通常なら照ノ富士は6勝6敗で残り3番に大関の地位をかけることになる。制限時間いっぱい。しかし白鵬はあっけなく土俵を割っ... -
■名古屋11日目 稀勢の里の横綱昇進ムードに待った
この日、思いがけない相手に負ける波乱は、おさまった。白鵬は魁聖を寄せつけない相撲を取った。上手を切ったところで勝負あった。日馬富士は一瞬で上手を取り、逸ノ城をぶん投げて、今場所一の快勝。稀勢の里は左四つになるが、勢のゆさぶりに攻めきるの... -
■名古屋10日目 稀勢の里、細くなった道
9日目白鵬、日馬富士が敗れて2敗に後退した。これで、1敗稀勢の里の流れが出てきた。と誰しもが思った。しかし、負けがこんでいる、下位相手の松鳳山の立ち合いの奇襲突き落としに敗れるとは誰が想像しただろうか。<連続写真で見る稀勢の里対松鳳山1... -
■名古屋9日目 白鵬に逆転優勝への執念はあるか
白鵬は星のあがらない、今まで負けたことがない勢に意外な負け方をした。勢が何かをしたというより、白鵬がバランスを失った感がある。ニュースで確認しても白鵬の右足に体勢をくずした要因があった。<白鵬、勢に敗れる> この日日馬富士も負けた。... -
■名古屋8日目 再びかちあげについて
今場所初の大関戦が組まれた。豪栄道対照ノ富士戦だが、もう一つ盛り上がらない。優勝を争えない大関は、こんなものかもしれない。豪栄道は白鵬のかちあげによって眼底骨折で稽古開始が遅れたのだから、気の毒としか言いようがない。<照ノ富士対豪栄道戦... -
横綱の通信簿 平成編
平成で横綱に昇進したのは9人。20回以上優勝した横綱が3人もいる。貴乃花、朝青龍、白鵬である。横綱の通信簿をみていこう。黄:勝率8割以上 12勝以上率4割8分以上 休場率13%以下紫:勝率7割未満 12勝以上率3割未満 休場率35%以上休場率は下記... -
横綱の通信簿 昭和部屋別総当たり編
昭和40年、元双葉山の時津風理事長の英断で、部屋別総当たり制がスタートした。この時期横綱で迎えているのが、下記の横綱である。当然、東西制や系統別総当たり制より数字はあげにくくなっている。黄:勝率8割以上 12勝以上率4割8分以上 休場率13%以... -
横綱の通信簿 昭和戦後・30年代編
戦後の変化は優勝決定戦の制度の誕生、系統別総当たり制復活、15日制の定着、年6場所制スタートがあげられる。これまで最高成績が同じ場合、番付上位が優勝者であった。戦後の混乱期、なんとか相撲人気の向上を図ろうと協会と記者クラブが協力して考えた... -
横綱の通信簿 昭和戦前編
黄:勝率8割2分以上 優勝次点率4割以上 休場率13%以下紫:勝率7割2分未満 優勝次点率2割7分未満 休場李35%以上休場率は下記をクリックして最下段を参照していただきたい、現役は発表時点での数字である。横綱の休場率4明暗がはっきり出てい... -
横綱の通信簿 昭和戦前編その前に
大正14年摂政宮殿下(後の昭和天皇)からの下賜金によって天皇賜杯がつくられ、大正15年から最高成績者に授与されるようになった。これを機に協会が優勝を認定、表彰するようになった。<賜杯>優勝制度上解消すべき問題が出てきた。預かり、引き分け、対... -
横綱の通信簿 明治・大正編
横綱が実質上地位化したのは、明治の常陸山以降である。この時代、取組は東西別、国技館の開設とともに東西で団体優勝を争う東西制である。同じ方屋同士は対戦しなかった。勝った方屋が次の場所東にまわる。だから同じ地位なら東が上とは必ずしもいえなか... -
横綱の通信簿 前文
七月場所は、稀勢の里の横綱昇進に話題が集まっている。若乃花以来の日本人という意味も大きい。七日目まで6勝1敗で後半勝負をかけることになる。昭和以降、玉錦から鶴竜まで82年半で40人の横綱が誕生している。約2年に1人の割合である。現在横綱の最... -
◆お知らせ 賢明な読者の皆様へ
土俵の目撃者をいつもご愛読いただきまことにありがとうございます。足を使い、この目で見た生の大相撲をお届けするため七月場所の8日目から千秋楽は場所後に掲載いたします。暫くお待ち願います。その間「横綱の通信簿」をお届けします。各テーマには読... -
土俵の目撃者版 横綱の休場率
<白鵬>横綱は地位が下がらない不思議な概念である。それだけに休場も目立つ。横綱になったとたん休場が増えた力士さえいる。横綱勝利数より横綱休場数のほうが多い横綱もいる。休場を少なくし、記録を残した横綱もいる。横綱の休場率を改めて覗いてみて... -
■名古屋7日目 しぼむ?七月場所
今日の稀勢の里稀勢の里は栃ノ心相手に左おっつけで左ざし。そのまま西土俵へ寄って快勝した。しかし、まだ安心はできない。横綱を目指す者は際立った強さや勢いがあるのだが。人気上々の七月場所は、3横綱4大関の豪華番付でスタートした。それに対して... -
■名古屋6日目 稀勢の里の試練
稀勢の里は白鵬と1敗で並んでいるが、同じ並んでいても無敗で並んでいた先場所と明らかに心理状態が違う。優勝だけを狙うのなら並んでいるのは悪くない。しかし、横綱昇進が伴うとなれば、もう負けられないという思いで、心理的に追いつめられてくる。こ... -
土俵の目撃者版 横綱昇進 その成績
思いがけない稀勢の里の1敗で横綱昇進はどうなるのか。栃錦は初日に負けて3度優勝した。栃錦の相撲にかける執念はすさまじく、最後の最後まで勝負を捨てなかった。先人に学べるか。稀勢の里の真価は今後の10日間で問われることになる。<稀勢の里>これ... -
■名古屋5日目 両雄敗北の日 真価問われる稀勢の里
5日目は波乱の日であった。まず、稀勢の里対栃煌山戦。栃煌山は稀勢の里の十分を嫌って、突き合い押し合いに持ち込んだ。それでも稀勢の里は一度栃煌山を正面土俵まで追い込んだが、栃煌山はゆさぶりをかけていただけに、残してまわり込む。果敢に西土俵... -
■名古屋4日目 白鵬最強の証明
今日の稀勢の里稀勢の里の対戦相手は、昨日日馬富士から金星を獲得した隠岐の海である。しかし、稀勢の里は立ち合い当たってすばやく右上手を取って寄り切った。今場所最高の相撲であった。鶴竜休場で鶴竜戦がなくなった。新たな対戦相手は番付からいうと... -
■名古屋3日目 黒星相次ぐ横綱大関陣
今日の稀勢の里稀勢の里、宝富士両者当たり合って左四つ。両者上手取れないが、稀勢の里万全の体勢をつくる。右上手取ってすぐに寄り切る。宝富士には工夫がみられない。逆に稀勢の里はがむしゃらにいかず、後半疲れを残さないようスタミナ配分しているよ... -
■名古屋2日目 照ノ富士がみせた粘り相撲
今日の稀勢の里稀勢の里は新関脇魁聖相手に左四つ、上手は取れないがあわてることはない。魁聖も上手が取れず、動きが止まった。次の瞬間、稀勢の里が上手を取って勝負あった。パワー相撲だけでは下位力士はなかなかくずせない。この日目を見張ったのは、... -
■名古屋初日 快勝稀勢の里の明日以降を予想
稀勢の里はいっそう自信をつけて名古屋にのり込んできた。初日は、どの力士も緊張するという。しかし、稀勢の里は先場所同様きわめて落ちついている。初日の対戦相手は、注目の若手の御嶽海。御嶽海は正攻法で奇襲はない。あわてることなく、寄り切った。... -
土俵の目撃者がみた大関稀勢の里
大関に昇進した稀勢の里については、折に触れこれまで何度となく記載してきました。改めてふり返ってみたい方、新しい相撲ファンのために、主な稀勢の里の記載を読めるよう一覧にまとめました。大関稀勢の里を知っていただければ幸いです。下記のタイトル... -
稀勢の里の変遷 8
平成23年九月場所、稀勢の里は関脇で初めて12勝をあげ、大関の足固めをした。稀勢の里は意外な相手に負けることが多かった。九月場所はそれがなかった。以前から稀勢の里は優勝を目指すつもりで取り組んでほしいと思っていたが、兆しが見えたかなというと... -
稀勢の里の変遷 7
平成23年の一月場所後、大相撲の屋台骨をゆるがす八百長問題が発覚した。これまで八百長の疑惑はあったが、証拠がなかった。相撲協会もあくまでないと言ってきた。しかし、初めて物的証拠が出てきた。それは携帯メールの削除した内容を復元することでうか... -
稀勢の里の変遷 6
平成21年五月場所、番付を東4枚目まで下げた稀勢の里の横綱・大関戦は、日馬富士、魁皇戦のみであった。ここで13勝2敗と大きく勝ち越した。この場所は端境期で、翌場所から関脇を中心とした第2次三役定着期に入る。<右稀勢の里 隣は把瑠都> 平... -
稀勢の里の変遷 5
稀勢の里は復活朝青龍を倒して、東筆頭で10勝をあげながら小結止まりだった。関脇安馬(後の日馬富士)、小結琴奨菊が勝ち越したためである。しかし、これだけではなかった。稀勢の里は勝ち越しながら、小結据え置きが続いた。下記表参照。いずれも、安馬... -
稀勢の里の変遷 4
稀勢の里が3場所連続負け越しで、幕内中位に後退したが、11勝で小結に復帰した。平成19年九月場所のことである。この間白鵬は横綱に、琴光喜は大関に昇進していた。ここからは小結中心の第1次三役定着期といえる。そして稀勢の里は、大相撲が展開するド... -
稀勢の里の変遷 3
稀勢の里は横綱・大関全員と対戦し、初めて勝ち越した。入幕10場所目の平成18年の五月場所のことである。主に平幕で横綱・大関戦がなかった時期を第1期とすると、上位で始めて勝ち越した平成18年五月場所からは第2期に入ったといえる。以下関脇以下の稀... -
稀勢の里の変遷 2
平成18年十一月場所、稀勢の里は幕内まで2年半で入幕した。18歳という若さである。このとき入幕した安馬(後の日馬富士)は20歳、1場所早く入幕した琴欧洲は21歳、1場所送れて入幕した琴奨菊は21歳であった。幕内には3段階ある。横綱・大関とは対戦が... -
稀勢の里の変遷 1
七月場所はいやおうなしに注目が集まるのが、優勝・横綱を目指す稀勢の里である。新十両は貴乃花に次ぐ史上2番目の17歳9ヶ月の最年少記録で昇進した稀勢の里は、すでに30歳にならんとしている。ここまでの彼の変遷を改めてみていこう。稀勢の里は初代若... -
検証!4横綱の時代 4
横綱格下げ論、それは前田山引退の翌場所におきた。昭和25年春場所(一月)は蔵前仮設国技館で初めて開催された記念の場所であったはずだ。ところがふたをあけてみると、東富士が3日目から休場、照國が4日目から休場、羽黒山が5日目から休場してしまっ... -
大鵬の陰に隠れた男達
大鵬は、入幕した年から引退する年まですべての年で優勝があるという記録の持ち主である。これは白鵬にも、今後も誰にも簡単に破られない記録の可能性がある。6連覇2回、32回優勝は当時の新記録であった。それまでは、太刀山、栃木山、双葉山の5連覇、... -
新番付の注目点
五月場所後目だったニュースが少ないまま、新番付発表の日を迎えた。焦点は再び稀勢の里に集まる。優勝して横綱になるか。3場所続けて好成績を残せるか。これは、稀勢の里にとって未踏の域になる。本来、横綱は少なくとも連続優勝を望みたいところである... -
組み合わせ写真館
土俵の目撃者は写真にこだわってきた。その理由は次のような事情からである。かつてスポーツ雑誌の会社が傾き、優秀な社員がリストラにあった。そのなかから有志が集まって新しい出版社をつくった。そこで、競合誌が少ないプロレス・ボクシングを創刊する... -
検証!4横綱の時代 3
戦後の横綱には2つの特徴がある。一つは横綱の権威が揺らいだこと。もう一つは横綱量産の時代であった。大関でちょっといい成績をあげると横綱に上がれた時代であった。 終戦直後4横綱継続の時代はあったが、双葉山引退後の戦後初の4横綱は、東富... -
白鵬の陰に隠れた男達
五月場所、白鵬は37回目の優勝を全勝で達成した。優勝回数は40回を狙える勢いである。まさに優勝を独占してきた大横綱だけのことはある。その反面、白鵬優勝の陰で次点に甘んじざるを得なかった男が、数多くいたわけである。誰か。それをまとめたのが下記... -
検証!4横綱の時代 2
昭和の初期、実質昭和6年3月場所から昭和7年10月場所まで横綱が不在だった時期がある。この間15場所横綱の土俵入りは見られなかったわけである。横綱不在にも関らず、大関玉錦は3連覇しても横綱に昇進できなかった。適格者がいなければ不在でもかまわ... -
検証! 4横綱の時代1
横綱に一番近い大関稀勢の里は、七月場所に横綱をかける。稀勢の里が、横綱に昇進した場合、4横綱になる。4横綱というと華やかで、4人いるのだから優勝は独占しているのでは、と思いがちである。「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」という言葉があ... -
重量級大相撲の限界
七月場所のチケットの売れ行きは好調である。土日祝日は早い段階で完売。現在、イス席はなく、平日のマス席が前半と9日目、10日目にある程度である。相撲人気は、ひところの薬物問題、新弟子暴行死事件、野球賭博事件、八百長事件を経て、盛り返している... -
白鵬が驚異的なスピードで迫る通算勝利数その後
「白鵬が驚異的なスピードで迫る通算勝利数」と題して綴ったのは平成27年5月(皐月)7日である。あれから1年、その後どうなったか改めて検証してみたい。その前に魁皇の通算勝利数を白鵬が破ると最初に思ったのはいつか。実は魁皇が千代の富士の1045勝... -
相撲技 決め手(勝負手)編2
決め手は土俵から出す技と足の裏以外を付ける技に分類できる。土俵から出す技はさらに以下のように分類できる。四つ身で土俵の外に出す技の代表的な技は寄りである。相撲は相手を倒すより、圧力をかけることが本質であり、そうしてこそ投げ、突き落とし、... -
30歳以降の優勝
<五月場所全勝優勝した白鵬>五月場所、白鵬は15戦全勝で37回目の優勝を達成した。現在、29連勝中である。今年さらに優勝回数を増やしそうな勢いである。白鵬は今年31歳を迎えた。過去の大横綱は30歳以降の優勝をどのように達成したのか。6場所時代の... -
宇良以前に土俵をわかした新十両
<隆の山の雄姿>新十両の宇良の人気と注目度と逆転技はある力士を思い起こさせた。その力士は宇良以前に技の相撲とスリリングな相撲を展開した。彼の名は鳴戸部屋(元横綱隆の里)の隆の山である。七つの必殺技を持ち、9年半の月日をかけ、ついに十両昇進... -
稀勢の里の大関時代を読み解く
七月場所の最大の注目は、稀勢の里が横綱昇進がなるかである。横綱昇進には優勝は不可欠である。佐田の山が13勝-13勝-13勝優勝で横綱に昇進した。稀勢の里は第2の佐田の山になれるのか。まず、大関稀勢の里の年間成績をみてみよう。今年をのぞけば、稀... -
成績からみた今年の前半
本場所の経過とともに時間の流れと季節を感じるのは、毎年変わらぬことである。今年もすでに半分の3場所が終了した。途中経過として各力士の成績はどのようになっているかみてみよう。今回、単純に数字を比較するのではなく、どのくらい横綱・大関と対戦... -
相撲技 決め手(勝負手)編1
相撲技については昨年(2015年=平成27年)10月31日で触れてきたので、以下をクリックして参照していただきたい。相撲技まとめると次の図式になる。補足すると、立ち合いはほかに八艘飛びがある。単なる変化ではなく立体的に飛ぶのである。舞の海が最初に... -
宇良技御免
土俵の目撃者が、前相撲から追いかけてきた新十両の宇良の人気と注目度は凄まじかった。それに応える技の相撲、逆転と観客を魅了した。木瀬部屋(元肥後ノ海)の宇良は宇良技を繰り出し、わずか1年で十両昇進を果たした。地位は下から2枚目の西13枚目であ... -
問題点を探る 白鵬のかちあげ
五月場所、白鵬が37回目の優勝を全勝で飾った。白鵬の強さは、全盛期は過ぎ去ったが、まだまだ他の追随を許さない。特にここ一番の稀勢の里戦でみせた強さは、稀勢の里より何枚も上だった。そんな白鵬が、繰り出すかち上げが問題になっている。肘で相手の... -
七月場所チケット事情
七月場所のチケットの売れ行きが快調である。土日・祝日は完売。平日では13日目が売り切れである。椅子席は3日目・4日目・5日目以外はない状態である。千秋楽の椅子席を購入した方の話によると、発売初日の10時で椅子席Bはゼロ、かろうじて椅子席Aを獲... -
元旭天鵬引退相撲の一部始終
昨日の若の里引退相撲は遅れをとったが、今日は気合を入れて10時20分に両国に着いた。時間があるのでそばを食べることにした。国技館に着いたのは10時40分である。45分に開場となった。一門の関取衆魁聖、宝富士、誉富士、剣翔、旭秀鵬、遠藤が出迎えてい... -
元若の里の引退相撲レポート
5月28日土曜、元若の里の引退相撲興行が行われた。プログラムによると正確な表現は「若の里引退西岩襲披露大相撲」である。既に西岩親方であるが、ここでは便宜上若の里で通させていただく。開場は11時だが、先に来た相撲仲間によると実際は、10時40分で... -
稀勢の里の横綱をめぐる視点
写真は稀勢の里13勝の足跡 初日妙義龍 2日目琴勇輝★意外と少ない優勝争い稀勢の里が初めて連続13勝の成績をあげた。五月場所3横綱を倒して優勝なら、横綱昇進という審判部の声があったが、それで横綱にあげることは果たしていいこ... -
連続写真で見る白鵬対稀勢の里戦
スキなし白鵬か。落ち着いた取り口の稀勢の里か。五月場所最大の大一番となった横綱白鵬対大関稀勢の里戦。ともに12戦全勝で、この一番の勝者が優勝に大きく前進することは間違いなかった。全国の大相撲ファン注目の対戦は、13日目結びの一番でおこなわれ... -
五月場所総評
★優勝争いについて白鵬と稀勢の里のマッチレースとなり、最高に盛り上がった。予想以上に盛り上がったのは、稀勢の里の健闘が大きい。12日目まで無傷で突っ走るとは考えられなかった。稀勢の里の技術面より、落ち着いた精神面の影響が大きかった。<白鵬、... -
■夏千秋楽 最終日の見どころ3つ
優勝が決まった千秋楽はやや緊張感に欠ける。それでもいくつか見どころはある。まず、幕下の優勝決定戦である。阿武咲対小柳戦。阿武咲は先場所まで十両だった実力者である。一方の小柳は先場所がデビュー戦。三段目付け出しで7戦全勝優勝して、幕下に番... -
■夏14日目 稀勢の里を強くするもの
この日の結びの一番、稀勢の里対鶴竜戦。先場所稀勢の里の13勝で最大のピンチに追い込みながら逆転負けした鶴竜。リベンジに燃える鶴竜と前日事実上の優勝戦に敗退した稀勢の里。得意の四つでも勝てなかった白鵬戦のショックが残っているかのような一番に... -
■夏13日目 白鵬対稀勢の里 決戦を斬る
13日目結びの一番が今場所のクライマックスになるとは、チケットを前売りで購入した観客で、誰が想像しただろうか。それも白鵬・稀勢の里の両雄が全勝で激突するという最高の対戦となった。観客は結びの一番を今か今かと待ち、土俵に立った白鵬・稀勢の里... -
■夏12日目 決戦前日
この日の稀勢の里の対戦相手は目下9連敗中の大関照ノ富士。どうひいき目に見ても稀勢の里に負ける要素はない。あるとしたら、自信がありすぎ油断につながるか、足がすべったときである。しかし、無用の懸念であった。稀勢の里は磐石の押しで簡単に勝負が... -
■夏11日目 白鵬にスキなし
全勝の横綱白鵬が、大関琴奨菊を一蹴した。前日あれほど稀勢の里を苦しめた琴奨菊をまったく問題にしなかった。強さにおいては稀勢の里より一枚上という強烈な印象を与えた。ただし、白鵬対稀勢の里戦は一番勝負である。三番勝負なら白鵬のものだが、相撲... -
■夏10日目 危機をしのいだ稀勢の里
稀勢の里が連日の大関戦を迎えている。白鵬との決戦までは負けられない稀勢の里。この日は馬力相撲で対戦成績上負け越している琴奨菊である。それだけに取りいい対戦相手ではない。先場所は琴奨菊の当たりをかわして勝ったが、今場所は同じ手は使いにくい... -
■夏9日目 横綱・大関の休場をめぐるエピソード
照ノ富士が鶴竜に敗れ、ついに7連敗になった。悪くいえば白星配給王的存在に成り下がっている。このあと、横綱白鵬、大関との対戦が控えているが、誰とやっても勝てそうもない雰囲気である。しかし、現時点では休場はなさそうである。悪いところがはっき... -
■夏8日目 稀勢の里優勝の条件
この日、稀勢の里は動きの速い嘉風相手にあわてることなく、離れて相撲を取っても、落ち着いてさばき押し出した。白鵬は、復調した琴勇輝相手に省エネ相撲で、相手の勢いをそいで、押し出した。中日を終え、白鵬と稀勢の里が全勝で併走している。稀勢の里... -
■夏7日目 横綱昇進責任制度
横綱鶴竜が琴勇輝の突き押しに防戦一方に追い込まれ、土俵を回りながら後退するも、反撃の暇なく、土俵を割った。これで早くも2敗目である。どうも鶴竜は離れて取るパワー相撲にひ弱さを感じる。うまさはあっても圧倒的パワーに太刀打ちできない。鶴竜は... -
■夏6日目 相撲人気の陰に問題あり
三月場所は、白鵬の優勝で幕を閉じた。特に新鮮味はない。それどころか千秋楽結びの一番は、白鵬が変わり身で勝負がつくという、しまらない終わり方となった。それでも五月場所の人気は下がることはない。6日目以降のチケットがすべて売り切れ、千秋楽ま... -
■夏5日目 豪栄道の変身
豪栄道は先場所12勝をあげ、大関になって初めて優勝争いをした。その勢いは今場所の序盤戦まで続いている。5日目、新鋭の正代を寄せ付けず、強さを発揮した。ここまで危ない相撲は一番もない。これまでの豪栄道からは想像しにくい現実である。大関に昇進... -
■夏4日目 稀勢の里の相撲論
大関稀勢の里が、隠岐の海相手にやや苦戦した。隠岐の海の下手投げに体がうきかけたが、落ち着いて最後はじりじりと寄り切った。稀勢の里の相撲は出足、鋭さ、技の切れ味、腰で取る相撲とは違う。一言でいうと左四つでじわじわと体で出ていく相撲である。... -
■夏3日目 高齢化へつき進む横綱・大関陣
横綱日馬富士が、ここ数場所弱くなったといわれる逸ノ城に敗れた。予想外の結果である。逸ノ城の復活の兆しか。それとも日馬富士の衰えのあらわれか。そういえば、30歳を越えた横綱・大関陣が目立ってきている。そこで横綱・大関の年齢を調べてみた。それ... -
■夏2日目 「ホウッ」とともに消えた精彩
三月場所、1横綱2大関を倒して関脇以下で最も活躍したのが琴勇輝である。五月場所は関脇に昇進していっそうの活躍が期待される注目力士だった。琴勇輝といえば制限時間後「ホウッ」と叫ぶルーティンが特徴の力士だが、これが突如審判部から疑問視され、... -
■夏初日 明暗を分けた注目の力士
今日、大相撲は初日を迎えた。三月場所が終わってから5週間と通常より、1週間短い。3横綱・4大関は危なげなく勝利した。注目は、先場所13勝をあげた稀勢の里である。優勝待望の機運があり、期待が高まっている。対戦相手は妙義龍だが、終始落ち着いて...