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優勝番外余話

大相撲の最大の焦点は優勝にある。来る九月
場所で稀勢の里は優勝できるか。白鵬が通算
1000勝とともに奪回するか。興味はつきない。
そんな優勝に関する番外余話を紹介して
みる。
優勝力士への協会表彰は賜杯(盃とも書く)
と優勝旗である。賜杯のサイズや重さなどは
2015年9月5日「数字で知る大相撲」で紹介
している。以下をクリックしてご覧ください。

ここでは違った面をお伝えする。賜杯は大正
14年、当時摂政宮(後の昭和天皇)からの
下賜金をもとに銀座の象眼会社で作製された
純銀製である。摂政宮であるため、当時は
天皇賜杯ではなく、摂政杯とよばれた。摂政
杯を最初に受けたのは大正15春場所優勝の
常ノ花である。

160724千秋楽幕内表彰 615
<賜杯を受ける日馬富士>

今でこそ優勝旗は優勝力士が受賞しているが、
当初はちがった。明治42年の国技館開設以降、
東西対抗の団体戦が施行された。そのとき、
勝者側に渡されたのが優勝旗である。勝利側
の関脇以下で最多勝力士が代表して受け取っ
た。昭和7年春秋園事件によって多くの力士
が脱退したとき、やむなく系統別総当たり制
を実施した。そのとき優勝旗は優勝力士に
渡った。

160124千秋楽表彰 102
<優勝旗を受ける琴奨菊>

優勝旗は縦88センチ、横130センチ、軸の長さ
238センチ、重さ5.5キロである。三方に17セ
ンチの房糸がつけられ、上部に優勝力士の名
を書いた短冊がつけられている。お値段は950
万から1000万円かかっている。
優勝パレード。優勝力士が旗手をともない、
オープンカーからゆっくりと部屋へパレード
する。琴欧州初優勝のとき、来日していた父
が「こんなセレモニーがあるのか」と感心し
たことが伝えられたほどである。最初にオー
プンカーを使用したのは昭和27年の東富士で
ある。それ以前は優勝力士と優勝旗を先頭に
一門の関取が部屋まで行進した。

080525千秋楽表彰 597
<琴欧洲の優勝パレード>

千秋楽を迎え栃錦14勝、ライバル若乃花13勝
1敗。本割、優勝決定戦と1日2番勝利して
逆転優勝を初めて成し遂げたのは、土俵の鬼
若乃花である。このまさかの優勝に、紋付・
羽織・袴を用意していなかった若乃花は、ま
わし姿でパレードした。
「ヒョーショージョー、アンタハ…」独特の
日本語で優勝力士を表彰したのは、オールド
ファンになつかしパンアメリカン航空のデビ
ッド・ジョーンズさんである。優勝番外余話
はつきないが、機会があればまた紹介したい。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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