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玉の海梅吉氏が残した言葉

今、相撲は若貴当時に準じる人気である。
今年に入って、すべての場所で満員御礼が
続いている。九月場所のチケットの売れ行き
も好調過ぎるほどである。この人気の要因が
なんともつかみにくいが、人気がある事実は
事実として認めなければならない。
NHKの解説者だった故玉の海梅吉氏が現代
の大相撲を見たら何と言うか。推測すること
はできる。実は昭和48年一月場所は15日間中
14日間満員御礼が出た場所だった。この場所
輪島・貴ノ花は大関として東京場所初登場だ
った。横綱は北の富士一人であった。前場所
の十一月場所大関で久々に優勝した琴桜が、
思いもかけぬ勢いで連続優勝して32歳で横綱
昇進を決めた場所であった。
琴
<昭和48年一月場所の記事>
 
そんな場所に故玉の海梅吉氏は、報知新聞
(現在のスポーツ報知)の「切り捨てご免」に
次の言葉を残している。
(前略)上位に若手が進出したのが幸いした
のか、二、三年からみると、ファンも若返っ
た。女性もふえた。そんなファン層をみるに
つけ、だが、私は素直に喜べないのだ。
思えば昭和十一年ごろ、双葉山の全盛時。玉
錦という好ライバルを得て、二人は独特の持
ち味を発揮しながらせり合っていた。中身の
濃い高度な内容をもった土俵を思うと、いま
でもからだに戦りつに似た感動が走る。いま
の力士には”定型”がなくなった。今場所、
唯一の例外は琴桜が左のど輪、右おっつけの
武器一本で戦い、優勝したことだ。けちは
つけたくないが、これとて全盛期をすぎた人
の優勝。それというのも、定型をもたぬ力士
と、それを許す周囲が悪いのだ。
梅吉
<玉の海氏の切り捨てご免>
 
最近、相撲の型という言葉は使われなくなっ
た。型というと何かにはめ込むようなイメー
ジを受けるかもしれないが、違う。理にかな
い、自分の力が十分に発揮できる体勢をいう。
うまい相撲というのは、実は自分十分の型に
もち込める力士のことをいう。故玉の海梅吉
氏の言葉は続く。
力士は自己の限界の数歩手前で努力を打ち
切っているように思えてならない。(中略)
土俵をつとめるのは八分の力に甘んじる力士
たち。相撲人気は浅瀬のさざ波。さっと潮が
引いたときに、あとはなんも残らないという
のに…。(後略)
現代の相撲は大型化から大味な相撲が目立つ。
相手の攻めにこらえにくい。傾いたら復元しに
くい。うっちゃりも吊り出しも水入りも珍しくなっ
た。名人技も少ない。故玉の海梅吉氏が現代
の大相撲を見れば昭和48年当時より辛らつ
な言葉がでてくるかもしれない。

久々に片道20分の写真店迄行ってきた。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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