照ノ富士 春雄(てるのふじ はるお)は第73代横綱。モンゴル・ウランバートル出身、伊勢ヶ濱部屋。2015年(平成27年)に大関へ上がったあと番付を序二段48枚目まで落とし、そこから戻って2021年(令和3年)九月場所で横綱に昇進した。幕内優勝10回、横綱在位21場所(114勝40敗151休)。2025年(令和7年)一月場所中に引退し、年寄・伊勢ヶ濱として部屋を継いでいる。大関を経験してから序二段まで落ち、そこから横綱になった力士は他にいない。当サイトの田口はこれを「奇跡的なことで空前絶後になる」と書いた。
※数字は日本相撲協会の年寄プロフィール・過去の番付・星取表・各段の優勝力士(2026年9月13日確認)から写した。人物の評価は、当サイト運営者・田口 通廣が2021年から2026年に書いた記名記事の引用と明示して載せている。歴代横綱の一覧は初代明石から第75代大の里までに。

照ノ富士の基本データ|協会公式プロフィール(2026年9月13日確認)

| 四股名 | 照ノ富士 春雄(てるのふじ はるお)。しこ名履歴は 若三勝 → 照ノ富士 |
|---|---|
| 代 | 第73代横綱(令和3年九月場所〜令和7年一月場所) |
| 本名・出身 | 杉野森 正山・モンゴル・ウランバートル |
| 生年月日 | 平成3年(1991年)11月29日 |
| 部屋 | 伊勢ヶ濱部屋(現在は師匠) |
| 身長・体重 | 192.0cm・176.0kg(歴代横綱の体重ランキング) |
| 得意技 | 右四つ・寄り。決まり手の傾向は寄り切り63%・押し出し19%(協会表示) |
| 初土俵/新十両/新入幕 | 平成23年五月技量審査場所/平成25年九月場所/平成26年三月場所 |
| 新三役/大関/横綱 | 平成27年三月場所/平成27年七月場所/令和3年九月場所 |
| 引退 | 令和7年一月場所(場所中) |
| 優勝 | 幕内10回・十両2回・幕下1回 |
| 三賞・金星 | 殊勲賞3回・敢闘賞3回・技能賞3回。金星0個(平幕で横綱に勝った星は無い) |
| 生涯戦歴 | 523勝275敗231休(82場所) |
| 幕内戦歴 | 366勝207敗197休(52場所) |
| 現在 | 年寄 伊勢ヶ濱 春雄。年寄名履歴は 照ノ富士 春雄 → 伊勢ヶ濱 春雄 |
出典: 日本相撲協会「伊勢ヶ濱 春雄 – 年寄プロフィール」(2026年9月13日確認)。引退した力士のページは年寄プロフィールに統合されている。
大関から序二段48枚目へ、そして横綱へ|番付の推移(協会の過去の番付より)
照ノ富士の名前が残るのは、この番付の落ち方と戻り方による。平成27年七月場所に大関へ上がり、平成29年九月場所を最後に大関を離れた。そこから休場が続いて番付は毎場所下がり、平成31年三月場所には西序二段四十八枚目まで落ちた。序二段は6つある段のうち下から2番目である。そこから3年で横綱まで戻った。
| 場所 | 地位 | 成績・備考 |
|---|---|---|
| 平成29年七月場所 | 東大関 | |
| 平成29年九月場所 | 東大関 | 1勝5敗9休 |
| 平成29年十一月場所 | 東関脇 | 0勝5敗10休 |
| 平成30年一月場所 | 東前頭十枚目 | 0勝8敗7休 |
| 平成30年三月場所 | 西十両五枚目 | |
| 平成30年五月場所 | 東十両八枚目 | |
| 平成30年七月場所 | 東幕下六枚目 | |
| 平成30年九月場所 | 東幕下四十七枚目 | |
| 平成30年十一月場所 | 西三段目二十七枚目 | |
| 平成31年一月場所 | 西三段目八十八枚目 | |
| 平成31年三月場所 | 西序二段四十八枚目 | ここが最も下の番付 |
| 令和元年五月場所 | 東三段目四十九枚目 | |
| 令和元年七月場所 | 東幕下五十九枚目 | |
| 令和元年九月場所 | 東幕下二十七枚目 | |
| 令和元年十一月場所 | 西幕下十枚目 | 7勝0敗・幕下優勝 |
| 令和2年一月場所 | 西十両十三枚目 | 13勝2敗・十両優勝 |
| 令和2年三月場所 | 東十両三枚目 | |
| 令和2年七月場所 | 東前頭十七枚目 | 13勝2敗・幕内優勝(再入幕) |
| 令和2年九月場所 | 東前頭筆頭 | 8勝5敗2休 |
| 令和2年十一月場所 | 東小結 | 13勝2敗・技能賞 |
| 令和3年一月場所 | 東関脇 | 11勝4敗・技能賞 |
| 令和3年三月場所 | 東関脇 | 12勝3敗・幕内優勝 |
| 令和3年五月場所 | 西大関 | 12勝3敗・幕内優勝 |
| 令和3年七月場所 | 東大関 | 14勝1敗(優勝は白鵬) |
| 令和3年九月場所 | 西横綱 | 13勝2敗・幕内優勝(新横綱) |
戻り道の途中、令和2年七月場所は東前頭十七枚目(幕尻)で13勝2敗の優勝だった。田口はこの場所の13日目、大関朝乃山との一番をこう書いている。「照ノ富士、朝乃山の左上手を切って腕を返す。朝乃山下手投げ、照ノ富士こらえて引き付けて寄り立て、正面土俵に寄り切った」。千秋楽に御嶽海を寄り切って優勝を決めたあと、「照ノ富士は優勝額を見上げていた。自分が初優勝したときの優勝額がまもなく取り外される。その前に優勝できた」(照ノ富士の再入幕優勝・2023年9月27日)。


なぜ落ちたのかについて、協会のプロフィールには休場の数しか載っていない(生涯231休)。本人の著書『奈落の底から見上げた明日』(照ノ富士春雄著・日本写真企画)に経緯がまとまっていて、田口は2023年8月の記事でこの本を紹介し、「照ノ富士は大関から序二段まで番付を落とした力士である。復活後は横綱にまでのぼり詰め、7回優勝した。これは奇跡的なことで空前絶後になる」と書いた。ケガや病気の部位・診断は、協会にも田口の記事にも無いので、ここでは書かない。
横綱21場所の星取表|114勝40敗151休・優勝6回・全休7場所
横綱としての21場所を、協会の星取表から場所ごとに並べた。合計114勝40敗151休は、田口が引退直後に検証した数字(照ノ富士の横綱成績・2025年1月30日)と一致する。
| 場所 | 成績 | 備考 |
|---|---|---|
| 令和3年九月場所 | 13勝2敗 | 優勝 |
| 令和3年十一月場所 | 15勝0敗 | 優勝 |
| 令和4年一月場所 | 11勝4敗 | |
| 令和4年三月場所 | 3勝3敗9休 | |
| 令和4年五月場所 | 12勝3敗 | 優勝 |
| 令和4年七月場所 | 11勝4敗 | |
| 令和4年九月場所 | 5勝5敗5休 | |
| 令和4年十一月場所 | 全休 | |
| 令和5年一月場所 | 全休 | |
| 令和5年三月場所 | 全休 | |
| 令和5年五月場所 | 14勝1敗 | 優勝 |
| 令和5年七月場所 | 1勝3敗11休 | |
| 令和5年九月場所 | 全休 | |
| 令和5年十一月場所 | 全休 | |
| 令和6年一月場所 | 13勝2敗 | 優勝 |
| 令和6年三月場所 | 2勝5敗8休 | |
| 令和6年五月場所 | 0勝2敗13休 | |
| 令和6年七月場所 | 12勝3敗 | 優勝 |
| 令和6年九月場所 | 全休 | |
| 令和6年十一月場所 | 全休 | |
| 令和7年一月場所 | 2勝3敗 | 5日目から休場・場所中に引退 |
| 合計(21場所) | 114勝40敗151休 | 優勝6回 |

田口はこの21場所を、同じ通算10回優勝の栃錦・初代若乃花・北の富士と並べて読んだ。横綱優勝率は照ノ富士29%(6回/21場所)で、栃錦21%・初代若乃花32%・北の富士26%の間に入る。一方で横綱勝率は0.740で3人(0.777・0.793・0.746)に届かず、横綱休場率は51%と際立つ。田口の結びは「まさにケガとの戦いだった。ようやく解放されたことになる」(同記事)。
もう一つ田口が数えた特徴が、12勝での優勝の多さである。優勝10回のうち5回が12勝3敗で、10回以上優勝した力士でこれほど多い例は無い(輪島・武蔵丸で3回、朝青龍は0回)。田口は「照ノ富士が必ずしも絶対的強者でないからである。それでいて周囲はコンスタントに12勝以上の成績をあげられない」と書いた(照ノ富士はなぜ12勝優勝が多いのか・2024年7月31日)。横綱として与えた金星は、横綱12場所の時点で13個。最も多く取ったのは玉鷲の4個だった(照ノ富士が与えた金星・2023年8月30日)。
幕内優勝10回の一覧|関脇・幕尻・大関・横綱で(協会「各段の優勝力士」より)
| 回 | 場所 | 地位 | 成績 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 平成27年五月場所 | 東関脇 | 12勝3敗 | 初優勝。敢闘賞も |
| 2 | 令和2年七月場所 | 東前頭十七枚目 | 13勝2敗 | 再入幕で優勝。殊勲賞・技能賞 |
| 3 | 令和3年三月場所 | 東関脇 | 12勝3敗 | 殊勲賞 |
| 4 | 令和3年五月場所 | 西大関 | 12勝3敗 | 大関に戻った場所 |
| 5 | 令和3年九月場所 | 西横綱 | 13勝2敗 | 新横綱で優勝 |
| 6 | 令和3年十一月場所 | 東横綱 | 15勝0敗 | 唯一の全勝優勝 |
| 7 | 令和4年五月場所 | 東横綱 | 12勝3敗 | |
| 8 | 令和5年五月場所 | 東横綱 | 14勝1敗 | 3場所全休明け |
| 9 | 令和6年一月場所 | 東横綱 | 13勝2敗 | 2場所全休明け |
| 10 | 令和6年七月場所 | 東横綱 | 12勝3敗 | 10回目。優勝決定戦で隆の勝に勝つ |
関脇で1回、幕尻で1回、大関で1回、横綱で6回(横綱在位中の優勝は上の星取表の「優勝」と一致する)。三賞は殊勲賞3回・敢闘賞3回・技能賞3回で、その内訳と十両・幕下の優勝は次の表に。
| 場所 | 地位 | 成績 | 受賞・優勝 |
|---|---|---|---|
| 平成25年九月場所 | 西十両十一枚目 | 12勝3敗 | 十両優勝 |
| 平成27年一月場所 | 東前頭二枚目 | 8勝7敗 | 敢闘賞 |
| 平成27年三月場所 | 東関脇 | 13勝2敗 | 殊勲賞・敢闘賞 |
| 平成27年五月場所 | 東関脇 | 12勝3敗 | 幕内優勝・敢闘賞 |
| 令和元年十一月場所 | 西幕下十枚目 | 7勝0敗 | 幕下優勝 |
| 令和2年一月場所 | 西十両十三枚目 | 13勝2敗 | 十両優勝 |
| 令和2年七月場所 | 東前頭十七枚目 | 13勝2敗 | 幕内優勝・殊勲賞・技能賞 |
| 令和2年十一月場所 | 東小結 | 13勝2敗 | 技能賞 |
| 令和3年一月場所 | 東関脇 | 11勝4敗 | 技能賞 |
| 令和3年三月場所 | 東関脇 | 12勝3敗 | 幕内優勝・殊勲賞 |
引退と伊勢ヶ濱襲名|令和7年一月場所から2026年1月の引退大相撲まで

令和6年九月・十一月と2場所全休したあと、令和7年一月場所に出場した。2日目に隆の勝を寄り切った一番を、田口は「苦戦しながらの勝利だった。危なげはなかったが、ようやく勝てた感が強かった。照ノ富士が勝って安堵感が周囲のお客さんからもれた」と書いている(◆25初2日目)。2勝2敗で迎えた5日目に休場し、田口はその日の記事で「正直これほどあっさり休場するとは思わなかった」と記した(◆25初5日目)。同じ日の夜、引退が伝えられる。「休場したその日の出来事だった。午後10時のNHK番組中にテロップが流れた。ここまで予期していなかったため仰天した」「こうなった以上、照ノ富士の心を尊重するだけである」(◆25初6日目・2025年1月17日)。協会の星取表では、この場所は2勝3敗(5日目は不戦敗)で【引退】と記されている。
引退後は年寄となり、伊勢ヶ濱部屋を継いだ。継承の前には条件面の話が伝えられ、田口は2025年4月に「照ノ富士が引き継ぐことになるとみるのが常識的である。ところがすんなりいくとは限らない」と書いていた(伊勢ヶ濱部屋継承の行方)。協会の年寄プロフィールでは年寄名履歴が「照ノ富士 春雄 → 伊勢ヶ濱 春雄」、所属部屋が伊勢ヶ濱で、部屋のページには師匠として載っている(2026年9月13日確認)。先代の伊勢ヶ濱(元横綱旭富士)は宮城野を名乗っている。

2026年1月31日、両国国技館で「照ノ富士引退伊勢ヶ濱襲名披露大相撲」が開かれた。最後の土俵入りは露払い大の里、太刀持ち豊昇龍という現役2横綱を従えたもので、田口は「幼子をかかえての入場だった」「土俵入りは下手な説明より写真をご覧いただきたい」と記した。断髪式では元3代目若乃花、白鵬、柔道の阿部詩選手らがはさみを入れ、止めばさみは師匠の宮城野(元旭富士)だった(同レポート)。
照ノ富士についてよくある質問
Q. 照ノ富士は何代目の横綱ですか?
第73代です。令和3年九月場所に昇進し、令和7年一月場所で引退しました(協会プロフィール)。前が第72代稀勢の里、次が第74代豊昇龍です。
Q. 優勝は何回ですか?
幕内優勝10回(関脇1・平幕1・大関1・横綱6)。ほかに十両優勝2回、幕下優勝1回です。全勝優勝は令和3年十一月場所の1回だけです。
Q. 一番下はどこまで落ちたのですか?
平成31年三月場所の西序二段四十八枚目です(協会の過去の番付)。大関から序二段まで落ちて横綱に上がった力士は、歴代75人の中で他にいません。
Q. 土俵入りの型は?
不知火型です。型の違いと歴代の一覧は不知火型の横綱一覧に、本場所で土俵入りが何時に見られるかは横綱土俵入りは何時から?にまとめています。
Q. 引退した理由は?
本人の言葉は当サイトでは確認していません。分かっているのは、2場所全休のあと令和7年一月場所に出て2勝2敗、5日目に休場し、その夜に引退が伝えられたという経過です(田口の当日記事)。
Q. 今は何をしていますか?
年寄・伊勢ヶ濱として伊勢ヶ濱部屋の師匠です。部屋の力士一覧はこちら。旧宮城野部屋から移った伯乃富士(元伯桜鵬)も弟子にいます。
▶ 歴代横綱シリーズ:歴代横綱一覧|初代明石から第75代大の里まで/第35代 双葉山/第48代 大鵬/第55代 北の湖/第58代 千代の富士/第64代 曙/第65代 貴乃花/第68代 朝青龍/第69代 白鵬/第70代 日馬富士/第71代 鶴竜/第72代 稀勢の里/不知火型の横綱一覧/歴代横綱の体重ランキング
▶ 田口の照ノ富士論:照ノ富士の横綱成績(2025年1月)/なぜ12勝優勝が多いのか(2024年7月)/横綱勝率・優勝率・出場率(2024年4月)/再入幕優勝(2023年9月)/横綱休場率(2023年8月)/モンゴル3横綱を比較(2023年2月)/引退大相撲レポート(2026年1月)