大相撲

照ノ富士の再入幕優勝

九月場所、再入幕の熱海富士は千秋楽朝乃山に敗れ
優勝を逃した。ところが再入幕で優勝を果たした力
士がいる。照ノ富士である。照ノ富士は出場停止で
付番を下げたのではない。ケガからの復帰である。

<再入幕で優勝した照ノ富士>

それは2020年七月場所であった。コロナのため、国
技館で開催された。照ノ富士は東幕尻に位置した。
12日目11勝1敗で突っ走った。一方大関朝乃山も11
勝1敗であった。

横綱鶴竜・白鵬は途中休場。大関貴景勝も途中休場
で大関朝乃山は孤軍奮闘だった。

そして13日目、照ノ富士と朝乃山が直接対戦した。
復帰したばかりの照ノ富士の勝ち目は薄いと思われ
た。相撲はこう展開した。照ノ富士、朝乃山の左上
手を切って腕を返す。朝乃山下手投げ、照ノ富士こ
らえて引き付けて寄り立て、正面土俵に寄り切った。
照ノ富士が予想以上の力を発揮し、単独トップに立
った。

<右四つ上手を与えず照ノ富士が勝利>

14日目照ノ富士は関脇正代と対戦した。正代は当た
り勝って照ノ富士を追いこんで肩すかし。照ノ富士
がくずれたところ寄り切った。照ノ富士は「終わっ
たこと。気持ちを切りかえる」と語っている。

これで2敗朝乃山にチャンスがまわってきた。だが
朝乃山は照強の奇策足取りに敗れ3敗に後退した。

千秋楽、2敗照ノ富士対3敗御嶽海、3敗同士朝乃
山対正代で迎えた。照ノ富士は関脇御嶽海を寄り切
って再入幕の場所を2回目の優勝で飾った。照ノ富
士は優勝額を見上げていた。自分が初優勝したとき
の優勝額がまもなく取り外される。その前に優勝で
きたことを感慨不覚感じていた。

<優勝額を仰ぐ照ノ富士>

 

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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