大相撲の休場とは|番付・給料への影響と横綱の連続休場ワースト【最多は貴乃花105】

休場とは、本場所(15日間)の取組を休むことをいう。番付への影響は地位で分かれる。横綱は陥落(降格)の制度がないため、休場しても番付は下がらない。大関は休場して負け越すと「角番」を経て関脇に陥落する。関脇より下の力士は、休場すればそのまま番付が下がる。かつては本場所中に負傷した力士を守る「公傷制度」があったが、2004年一月場所を機に廃止され、いまはケガでも休めば(横綱以外は)番付が下がる。横綱の連続休場のワーストは貴乃花の105(全休7場所)で、下の記録表で確認できる。

※本記事の番付・給料・規定は日本相撲協会の番付編成と横綱審議委員会の内規、大関の陥落規定は相撲記者・田口道宏の整理、公傷制度の経緯と休場の記録は相撲記者・田口道宏の記事に基づく。

目次

休場すると番付はどうなるか(地位別)

スポンサーリンク

同じ「休場」でも、番付への響き方は地位でまったく違う。横綱だけは休んでも地位を保ち、大関以下は休めば番付を下げる方向に働く。地位ごとに整理すると次のようになる。

地位休場・負け越し時の番付ポイント
横綱下がらない(陥落の制度がない)休場や不振が続くと、横綱審議委員会が内規で「激励→注意→引退勧告」の順に進退を問う(拘束力はない)
大関すぐには下がらないが、2場所連続の負け越しで関脇に陥落負け越した翌場所が「角番」。陥落した直後の場所で10勝以上を挙げれば大関に復帰できる(昭和44年7月場所から施行)
関脇・小結・幕内・十両(関取)下がる(休場は黒星扱いで負け越しに近づく)公傷制度がない今は、ケガによる休場も番付降下に直結する
幕下以下下がる月給がなく、休場は場所手当にも直接ひびく
出典=日本相撲協会の番付編成・横綱審議委員会内規/大関の陥落規定は相撲記者・田口道宏の整理による

大関の「角番」と10勝復帰のしくみは、実際に落ちた力士がその後どうなったかまで含めて大関の降格・陥落の条件で詳しく整理している。番付そのものの序列は相撲の階級・番付の序列を参照してほしい。

休場中の給料・褒賞金への影響

「休むと給料はどうなるのか」もよく聞かれる。関取(十両以上)に支払われる月給は地位に対して決まる固定給で、休場したというだけで止まるわけではない。月額は2019年1月の改定以降、横綱300万円、大関250万円、三役180万円、平幕140万円、十両110万円と報じられている。ただし番付が下がって地位が変われば、その後の月給は下位の地位の額になる。大関から関脇へ落ちれば、その分だけ月給も下がるということだ。

一方で、出場や勝敗に連動する収入は休場でそのまま減る。三役以上に本場所ごとに支給される本場所特別手当は、欠場した日数に応じて減額される。勝った取組にだけ入る懸賞金は、土俵に上がらなければ得られない。月給のない幕下以下にとっては、本場所ごとの手当が収入の柱であり、休場は収入減に直結する。番付別の月給や手当のより細かい内訳は力士の給料はいくら?にまとめている。

休場の記録|横綱の連続休場ワースト

横綱は休場しても番付が下がらない。そのぶん、休みが積み上がると数字が異様に伸びる。連続休場の記録は、次のように更新されてきた。単位は休場した日数で、不戦敗を含む。

力士連続休場内容
武蔵山391場所の途中休場(不戦敗を含む)と3場所の全休でワースト記録を更新
朝潮45武蔵山の39をあっさり更新
大鵬57朝潮の45を破る
大乃国604場所連続全休。大鵬の57を更新
貴乃花105全休が7場所におよぶ。横綱連続休場の最高数字
(参考)白鵬48不戦敗を入れた最高数字
集計=田口道宏。数字は休場した日数(不戦敗を含む)。

場所数で数えると顔ぶれが変わる。

順位力士連続休場
1稀勢の里・3代西ノ海8場所
3貴乃花7場所
4武蔵丸・柏戸・北の湖6場所
横綱の連続休場場所数ワースト。集計=田口道宏。

4場所以上の連続休場となると例は限られる。当ブログの集計では13例あり、そのうち9例が引退につながっている。例外は大鵬と柏戸の3例で、いずれも20代のうちの休場だった。

横綱の休場率・皆勤率ワースト

在位の長さが違うので、率で見ると別の姿になる。算出式は「休場率=(休場数+不戦敗)÷横綱在位日数×100」「皆勤率=横綱皆勤場所数÷横綱在位場所数×100」である。

順位休場率ワースト皆勤率ワースト
1武蔵山72%武蔵山12.5%
22代西ノ海66%稀勢の里16.7%
3稀勢の里60.9%2代西ノ海・3代西ノ海20%
43代西ノ海58.5%
5常陸山45%前田山33.3%
集計=田口道宏。全休率のワーストは武蔵山62.5%、2代西ノ海と3代西ノ海が40%、安芸ノ海37.5%、太刀山35.7%。出場停止や部屋ごとの休場をどう扱うかは集計によって異なる。

対極にあるのが皆勤の記録である。白鵬は横綱としてのフル出場を48場所続けた。8年連続の皆勤で、横綱の最高記録にあたる。北の湖の43場所連続がこれに次ぐ。

休場が積み上がる地位は、同時に守られている地位でもある。

横綱は休場しても番付は落ちない。これは大変な特権である。ほかの競技には見られない。同時に横綱の責任を果す義務がある。特権ばかりを主張してはバランスを欠くことになる。

横綱の責任が果せないときは引退しかない。それが横綱の宿命である。

大相撲の休場についてよくある質問

Q. 横綱の休場は何回まで許される?
A. 回数の上限を定めた規定はない。横綱は他の地位と違って陥落(降格)がなく、休場しても番付は下がらない。ただし休場や不振が続くと、横綱審議委員会が内規に基づいて「激励」「注意」「引退勧告」の順で進退を問う。2020年11月には白鵬・鶴竜の両横綱に、初めて「注意」が決議された。

Q. 公傷制度は今もある?
A. ない。本場所中に負傷した力士を救済する公傷制度はかつて存在し、大関には1983年一月場所から適用された(第1号は朝潮)。しかし毎場所のように公傷休場者が出る状態が続いたため、2003年十一月場所後に北の湖理事長が廃止を決め、2004年一月場所から幕内は40人から42人、十両は26人から28人に定員が増やされた。いまはケガで休場すれば、横綱以外は番付が下がる。

Q. 1年間の休場が最も多かった横綱は?
A. 相撲記者・田口道宏の集計では、貴乃花の90休(平成13年7月〜14年5月)が最多。以下、武蔵丸80休、稀勢の里76休と続く。詳しくは横綱の1年間の休場数14傑にまとめている。

Q. 休場すると給料はどうなる?
A. 関取の月給は地位に対する固定給なので、休場だけで止まることはない。ただし番付が下がれば月給は下位地位の額になる。三役以上の本場所特別手当は欠場日数に応じて減り、勝ってこそ入る懸賞金は休場中は得られない。

スポンサーリンク

休場明けはなぜ難しいのか

番付が守られても、土俵に戻ってからが本番になる。休場が長引くと本場所の勘や感覚が鈍る。5場所連続休場から復帰したあの大鵬でさえ、明けの初日に敗れたと書いている。横綱の1年間の休場数を歴代でたどると、貴乃花90休・武蔵丸80休・稀勢の里76休と並び、その多くはケガと引退の予兆だった(横綱の1年間の休場数14傑)。休場は番付上の問題であると同時に、力士生命そのものの分かれ目でもある。

名古屋場所2026の休場情報

【2026年名古屋場所時点】直前の5月場所(夏場所)は看板力士の休場が相次いだ。田口道宏の記録では、大の里・豊昇龍の2横綱、安青錦・琴櫻の2大関が休場し、寂しい場所になった。続く名古屋場所は、その休場明けの力士が土俵に戻って始まった。

初日、休場明けの3力士は明暗を分けた。大の里は義ノ富士に敗れて黒星発進、豊昇龍は同期の王鵬を破って白星、夏場所の休場で大関から関脇に陥落した安青錦は平戸海を上手投げで退けた。休場明けの土俵がどう転ぶかは、初日の一番からすでに問われている。初日の詳しい分析は◆名初日 明暗分けた休場明けトリオにある。

場所が進むと休場者も動いた。関脇・若隆景は左太もものけがで初日から全休を続けている。5日目の7月16日には、十両・欧勝海が4日目の取組で右足を痛め、腓骨骨折の診断書を提出して休場に入ったと報じられた。上位陣の星取りと合わせた日ごとの動きは名古屋場所2026 完全ガイドの「場所中の動き」で追える。(2026年7月17日・6日目終了時点)

※休場者は場所中に随時変わる。最新の状況は田口道宏の日々の取組記事で確認してほしい。

関連記事

ブログランキング

当サイトはブログランキングに参加しております。記事をよんでいただいたら、以下バナーをクリックいただくと、ランキングに反映されます、1日1クリックよろしくおねがいします
にほんブログ村 格闘技ブログ 相撲・大相撲へ
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

目次