力士の月給は十両以上の「関取」にのみ支給され、地位が上がるほど高くなる。横綱は月300万円、十両は110万円。月給に力士褒賞金を積み上げた年収の目安は、横綱で3960万円、十両で1416万円になる。幕下以下の力士には月給がなく、本場所ごとの手当を受け取る。月給のほかにも、力士褒賞金・優勝賞金・懸賞金といった収入がある。
※日本相撲協会は力士の月給額を公表していない。本記事の金額は、2018年11月の給与改定を報じた新聞2社の記事と、当サイト運営者・田口道宏の取材にもとづく。内訳はこの記事の金額の出どころに記した。
「力士はどれくらい稼ぐのか」。土俵の上の力士を見ていると、ふと気になる。実は、給料(月給)が出るのは関取と呼ばれる十両以上の力士だけで、幕下から下の力士には月給がない。同じ「力士」でも、十両に上がれるかどうかで収入はまったく変わる。この記事では、番付ごとの月給、幕下以下の手当、そして月給以外の収入までを、金額ごとに「どこまで確認できているか」を添えて整理する。
力士に給料が出る仕組み
力士の月給は、十両以上の「関取」にだけ支給される。横綱・大関・関脇・小結・前頭・十両、ここまでが関取で、月給を受け取る。一方、幕下・三段目・序二段・序ノ口の力士は「力士養成員」と位置づけられ、月給は出ない。そのかわり、本場所ごとに手当が支給される。十両に上がって関取になることが、力士にとって収入面でも大きな関門になる。地位の序列そのものは相撲の階級・番付の序列でまとめている。
番付別の月給(関取)
関取の月給は、地位が上がるほど高くなる。現在の金額は、2018年11月29日の定例理事会で決まり、2019年1月から適用されているものである。引き上げは2001年以来18年ぶりだった。ただし後述のとおり、5つの地位すべてが新聞で報じられたわけではない。表には金額ごとの確認状況を併記した。
| 地位 | 月給 | 年収の目安 | 金額の確認状況 |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 3600万円 | 日経・共同通信の2社が報道(改定前282万円) |
| 大関 | 250万円 | 3000万円 | 日経・共同通信の2社が報道(改定前234万7000円) |
| 関脇・小結(三役) | 180万円 | 2160万円 | 上記2社の記事に金額の記載なし。田口の取材による |
| 前頭(平幕) | 140万円 | 1680万円 | 上記2社の記事に金額の記載なし。田口の取材による |
| 十両 | 110万円 | 1320万円 | 日経・共同通信の2社が報道(改定前103万6000円) |
幕下以下は月給でなく「場所手当」
幕下から下の力士には月給がない。そのかわりに、本場所ごとに手当が支給される。2019年1月の改定では、この幕下以下の手当も一律10%引き上げられた(関取の増額と合わせて年間約1億2000万円の増加になったと共同通信が報じている)。1場所あたりの金額は次のとおりである。
| 地位 | 1場所の手当 |
|---|---|
| 幕下 | 16万5000円 |
| 三段目 | 11万円 |
| 序二段 | 8万8000円 |
| 序ノ口 | 7万7000円 |
関取の月給と比べると、その差は大きい。十両の月給110万円に対し、幕下の手当は1場所16万5000円。年6場所でも約99万円である。十両に上がった瞬間に収入が一段跳ね上がる。この境目が、力士たちが十両昇進にこだわる理由の一つになっている。
月給以外の収入
関取の収入は月給だけではない。代表的なものを挙げる。金額はいずれも田口の取材によるもので、協会が公表しているものではない。
- 力士褒賞金(持ち給金)…十両以上の力士が、本場所の成績に応じて積み上げていく給金。本場所ごとに年6回支給される。最低支給額は横綱で1場所60万円、十両で16万円。平幕が横綱を破る金星も、この持ち給金に加算される(金星とは)。
- 優勝・三賞の賞金…幕内最高優勝は1000万円。三賞(殊勲・敢闘・技能)と十両優勝はそれぞれ200万円。優勝力士には副賞も贈られる。
- 懸賞金…幕内の取組ごとに企業が出すスポンサー料で、勝った力士が受け取る。この懸賞金だけは協会が公式サイトで金額を公表しており、1本7万円(税込)、うち力士の取り分6万円、手数料1万円と明記されている(令和元年6月改定・九月場所より)。仕組みは相撲の懸賞金とはでくわしく扱う。
- 巡業手当…本場所のない時期に行う巡業の手当。金額は公表されていない。
月給に、褒賞金、優勝すれば賞金、勝てば懸賞金。横綱ともなれば、これらを合わせた収入は相当の額になる。逆に幕下以下は月給がないため、関取になるまでは苦しい下積みが続く。土俵の上の一番には、こうしたお金の現実も重なっている。
番付別の年収ランキング|月給と褒賞金を積み上げる
月給に力士褒賞金を足すと、地位ごとの年収の輪郭が見えてくる。褒賞金は本場所ごとに年6回支給されるので、1場所あたりの最低支給額を6倍して加える。算出式は「月給×12か月+力士褒賞金の1場所あたり最低支給額×6場所」である。
| 地位 | 月給 | 月給×12 | 褒賞金(1場所・最低) | 褒賞金×6 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 3600万円 | 60万円 | 360万円 | 3960万円 |
| 大関 | 250万円 | 3000万円 | 40万円 | 240万円 | 3240万円 |
| 関脇・小結 | 180万円 | 2160万円 | 24万円 | 144万円 | 2304万円 |
| 前頭 | 140万円 | 1680万円 | 24万円 | 144万円 | 1824万円 |
| 十両 | 110万円 | 1320万円 | 16万円 | 96万円 | 1416万円 |
幕下以下には月給がないので、この計算は当てはまらない。場所手当だけで見ると幕下が1場所16万5000円、年6場所で約99万円。十両との差は約1300万円になる。
力士褒賞金(持ち給金)の仕組み
力士褒賞金は、成績に応じて一生積み上がっていく点が月給と違う。土台になる「持ち給金」は次のように加算される。
| 加算されるとき | 持ち給金の加算 |
|---|---|
| 序ノ口昇進(出世) | 3円 |
| 勝ち越し1点につき | 50銭 |
| 金星(平幕が横綱に勝つ) | 10円 |
| 幕内最高優勝(全勝以外) | 30円 |
| 幕内最高優勝(全勝) | 50円 |
実際の支給額は、この持ち給金を4000倍したものになる。金星なら10円×4000で4万円が加算される。一度上がった持ち給金は下がらないので、長く取れば取るほど積み上がっていく。
| 地位 | 持ち給金の最低 | 1場所の最低支給額 |
|---|---|---|
| 横綱 | 150円 | 60万円 |
| 大関 | 100円 | 40万円 |
| 幕内 | 60円 | 24万円 |
| 十両 | 40円 | 16万円 |
懸賞金は勝った本数がそのまま収入になる。当ブログは一月場所で両横綱を倒した義ノ富士について、こう書いている。
一月場所両横綱に勝った義ノ富士の懸賞金は111本で666万円稼いだことになります。
大相撲マネー事情
1本7万円のうち力士の取り分は6万円。111本なら666万円になる。番付が上がるほど懸賞の本数も増えるため、上位で勝ち続ける力士の実収入は、上の表の目安を大きく超えていく。懸賞の仕組みは相撲の懸賞金とは、懸賞幕そのものは相撲の懸賞旗とはで扱っている。
この記事の金額の出どころ
力士の給料を扱うページは多いが、金額の出どころまで書いてあるものは少ない。ここでは、どの数字がどこまで確認できているかを分けて記しておく。
- 日本相撲協会は力士の月給額を公表していない。協会サイトの「業務・財務情報」に並ぶ公開文書(定款、役員及び評議員の報酬等に関する規程、各年度の事業計画・予算・事業報告・決算・監査報告など)を一覧で確認したが、力士の月給額を載せたページ・文書は見当たらなかった(2026年7月26日確認)。したがって本記事では「協会によると」という書き方をしていない。
- 横綱300万円・大関250万円・十両110万円は、2018年11月29日に両国国技館で開かれた定例理事会の決定として、独立した2社が一致して報じている。日本経済新聞「相撲協会、横綱の月給300万円に 18年ぶり給与増」(2018年11月29日)と、共同通信配信の記事「相撲協会、力士給与18年ぶり増/横綱は月給300万円に」(四国新聞2018年11月29日19時03分掲載)。改定前は横綱282万円、大関234万7000円、十両103万6000円。適用は2019年1月から。
- 関脇・小結180万円と前頭140万円は、上記2社の記事本文には金額が出ていない。この2つの金額は、当サイト運営者・田口道宏(元日本経済新聞記者。現在は相撲専属のフリーライターとして毎場所を取材)の取材にもとづく。
- 幕下以下の場所手当、力士褒賞金の最低支給額、優勝・三賞の賞金も同じく田口の取材による。ただし「2019年1月から幕下以下の手当を一律10%引き上げる」という改定そのものは上記2社が報じている。
- 懸賞金の1本7万円・力士の取り分6万円・手数料1万円は、日本相撲協会「懸賞について」に金額と改定時点(令和元年6月改定、九月場所より)が明記されている。本記事で唯一、協会公式を出典にできる金額である。
- 年収の欄は計算値で、月給を12か月ぶんにしたもの。実際の年収は、その年にどの地位で何場所を過ごしたかで変わる。
力士の給料についてよくある質問
横綱の月給はいくらですか?
月300万円です。年収にすると3600万円が目安になります。この金額は2018年11月29日の理事会で決まり、2019年1月から適用されているもので、日本経済新聞と共同通信の2社が報じています。これに加えて力士褒賞金や優勝賞金、勝てば懸賞金もつくため、実際の収入はさらに大きくなります。
力士の月給は日本相撲協会が公表していますか?
公表していません。協会が公式サイトで公開している文書は、定款、役員及び評議員の報酬等に関する規程、各年度の事業計画・予算・事業報告・決算などで、力士の月給額を載せたページは見当たりません(2026年7月26日確認)。世の中に出回っている番付別の月給は、給与改定を伝えた報道と、相撲を取材する記者・関係者の知見にもとづくものです。当サイトも同じで、どの金額がどちらによるかをこの記事の金額の出どころに分けて書いています。
幕下以下の力士に給料は出ますか?
月給は出ません。幕下・三段目・序二段・序ノ口の力士は「力士養成員」とされ、月給のかわりに本場所ごとの手当を受け取ります。幕下で1場所16万5000円、序ノ口で7万7000円です。十両に昇進して関取になると、はじめて月給が支給されます。
関取と幕下以下で収入はどれくらい違いますか?
大きく違います。十両の月給は110万円ですが、幕下の手当は1場所16万5000円で、年6場所でも約99万円です。月給の有無という壁が、十両を境にはっきりあります。これが、力士が十両昇進にこだわる収入面の理由です。
力士の収入は月給だけですか?
いいえ。月給のほかに、成績に応じて積み上がる力士褒賞金、優勝すれば優勝賞金(幕内1000万円)、幕内の取組で勝てば懸賞金、そして巡業手当などがあります。横綱・大関ともなれば、これらを合わせた収入はかなりの額になります。
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