殊勲賞・敢闘賞・技能賞とは|三賞の違いと読み方、最多受賞は安芸乃島19回

三賞(さんしょう)は殊勲賞・敢闘賞・技能賞の3つで、その場所を勝ち越した関脇以下の幕内力士に千秋楽に贈られる。殊勲賞(しゅくんしょう)は横綱・大関や優勝力士を倒すなど殊勲の相撲を取った力士、敢闘賞(かんとうしょう)は攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士、技能賞(ぎのうしょう)は技のさえた力士が受ける。始まりは昭和22年秋場所で、通算の最多受賞は安芸乃島の19回である。

定義と読みはコトバンク(デジタル大辞泉ほか)、記録は田口 通廣の集計による。1場所に複数の力士が受けることも、「該当者なし」の場所もある。

目次

殊勲賞とは|横綱・大関や優勝力士を倒した力士に

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殊勲賞は、横綱・大関や優勝力士を倒すなど、その場所で殊勲の相撲を取った力士に贈られる。殊勲(しゅくん)は、特にすぐれたいさお、格別の功績という意味の言葉である。

田口は2016年に「いまの殊勲賞は優勝した横綱・大関に勝つことが求められている。」と書き、初対戦での勝利が評価されることもあると見ている。かつては、平幕優勝した高見山が大物食いなしに、優勝争いを盛り上げた理由で殊勲賞を受けたこともあった、と田口は書いている。

最多受賞は朝潮と魁皇の10回。初めて6回受賞したのは高見山で、その記録を朝潮が10回まで伸ばした。殊勲賞の該当者なしは、田口が数えた平成30年九月場所までで59度あり、平成21年には6場所続いた。

敢闘賞とは|攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士に

敢闘賞は、攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士に贈られる。三賞のなかでは受賞者の人数がいちばん多く、1場所に複数の力士が受けることもある。

田口の2018年の集計では、敢闘賞は豊山(前名小柳)が220人目で、殊勲賞の147人目・技能賞の132人目より飛び抜けて多い。該当者なしも、平成30年九月場所までで14度と三賞のなかで最も少ない。

最多受賞は貴闘力の10回。それまでは、殊勲賞・技能賞を1度も取らず敢闘賞だけを7回受けた福の花と、魁傑の7回が最高だった。

技能賞とは|技のさえた力士に

技能賞は、技のさえた力士に贈られる。田口は2016年に、技能賞は多彩な技、冴えた技の力士を求める傾向があると書いている。

特定の力士に集まりやすく、該当者なしも多い。最初の該当者なしは昭和32年の技能賞で、平成30年九月場所までに73度ある。立ち合いがずるいほどうまいという理由で、候補にあがった力士が見送られ、該当者なしになったこともある、と田口は書いている。

最多受賞は、もろ差し名人の鶴ヶ嶺の10回。昭和31年初場所から10年半かけて到達した。

栃錦は制定まもないころに技能賞を重ね、昭和27年までに9回を受けた。年3場所の時代に1年で2回ずつ3年続き、昭和27年は年3回だった、と田口は書いている。5場所連続の受賞もある。

殊勲賞・敢闘賞・技能賞の違い

3つの賞は、何をした力士に贈られるかが違う。対象はどれも、その場所を勝ち越した関脇以下の幕内力士である。

賞読み贈られる力士最多受賞(田口の集計)該当者なし(平成30年九月場所まで)
殊勲賞しゅくんしょう横綱・大関や優勝力士を倒すなど、殊勲の相撲を取った力士朝潮・魁皇 10回59度
敢闘賞かんとうしょう攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士貴闘力 10回14度
技能賞ぎのうしょう技のさえた力士鶴ヶ嶺 10回73度
読みはコトバンク(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)。最多受賞と該当者なしの回数は田口 通廣の集計(18628・18629)

三賞の始まり|戦後の相撲人気を立て直すために

三賞は昭和22年秋場所(1947年十一月場所)に始まった。田口は次のように書いている(三賞力士100+α人)。

三賞は戦後相撲人気をなんとか盛り返したい協会と記者クラブが共同で考案した。優勝者が限られた力士しか狙えないのに比べ、三賞なら狙えると力士にも好評だった。昭和22年秋場所からスタートした。最初は基準がはっきりしなく、横綱・大関も候補だった。第1回の殊勲賞と敢闘賞が現在の基準と逆の受賞になってしまった。

制定当初は横綱・大関にも受賞の芽があったが、いまは関脇以下が対象である。田口は三賞の受賞率を、幕内で関脇以下にいた場所数を分母にして出している。魁皇が関脇以下にいたのは42場所、そのあいだの受賞が15回だから受賞率は36%になる。

三賞の最多記録

記録力士回数
三賞 通算最多安芸乃島19回(殊勲7・敢闘8・技能4)
同 2位琴錦18回(殊勲7・敢闘3・技能8)
同 3位魁皇15回(殊勲10・敢闘5・技能0)
殊勲賞 最多朝潮・魁皇各10回
敢闘賞 最多貴闘力10回
技能賞 最多鶴ヶ嶺10回
技能賞 連続最多栃錦5場所連続
集計=田口 通廣

長らく最高記録だったのは鶴ヶ嶺の14回(殊勲2・敢闘2・技能10)で、朝潮も14回で並んで土俵を去った。これを抜いたのがF1相撲と呼ばれた琴錦の18回で、さらに安芸乃島が平成11年九月場所に19回へ伸ばした。

三賞獲得回数ランキング|通算8回以上の歴代50人(2024年の連載の時点)

田口が2024年6〜12月の連載「三賞多数獲得者たち」で取り上げた、通算8回以上の受賞者である。7回の力士は26人にのぼるため、8回以上で区切っている。

順位力士合計殊勲敢闘技能
1安芸乃島19784
2琴錦18738
3魁皇151050
4鶴ヶ嶺142210
4朝潮141031
4貴闘力143101
7武双山13544
7土佐ノ海13751
7琴光喜13247
10栃東(子)12327
10安美錦12426
10高安12462
13高見山11650
13大受11416
13麒麟児11443
13北勝海11335
13豪栄道11533
13栃ノ心11263
19栃錦10109
19北の洋10415
19魁傑10271
19出羽の花10154
19小錦10451
19出島10343
19若の里10442
19豊ノ島10334
19日馬富士10415
19嘉風10244
19御嶽海10613
30大麒麟9504
30貴ノ花9324
30三重ノ海9513
30逆鉾9504
30旭富士9225
30貴乃花9423
303代目若乃花9306
30稀勢の里9531
30鶴竜9207
30照ノ富士9333
40琴ヶ濱8215
40信夫山8116
40柏戸8224
40明武谷8440
40長谷川8332
40黒姫山8431
40富士櫻8233
40鷲羽山8035
40栃赤城8440
40霧島8314
40雅山8251
通算8回以上の受賞者50人(田口 通廣の集計・2024年の連載の時点)。内訳に賞名が挙がっていない欄は0とした

表の霧島は元大関で、現在の陸奥親方にあたる。2026年に大関を務めている霧島(前名霧馬山)とは別人である。貴ノ花は二代目貴ノ花(元大関)、貴乃花は第65代横綱を指す。

受賞回数は関脇以下でいた場所数に左右される。朝潮が関脇以下でいたのは27場所で、そのあいだに14回を受賞した。

連載のあとの更新|高安は14回、霧島・大の里・若隆景も8回以上

高安は連載の時点の12回から、2026年七月場所までに14回へ伸ばした。連載の時点の4位(鶴ヶ嶺・朝潮・貴闘力)に並ぶ。上の表に入っていない現役力士では、霧島(9回)・大の里(8回)・若隆景(8回)が8回以上になっている。どれも日本相撲協会の力士プロフィールの受賞歴で数えた。

力士合計殊勲敢闘技能メモ
高安14473連載の時点は12回(殊勲4・敢闘6・技能2)
霧島9144現大関(前名霧馬山)。上の表の霧島(元大関・陸奥親方)とは別人
大の里8233田口も番外編で、最終的に殊勲2・敢闘3・技能3と書いている
若隆景8107
出典=日本相撲協会 力士プロフィール(2026年9月27日確認・2026年七月場所まで)

該当者なしと、大盤振る舞いの場所

三賞は毎場所必ず出るわけではない。最初の該当者なしは昭和32年十一月場所で、それまでは毎場所1人ずつ受賞者が出ていた。平成30年九月場所は、制定された昭和22年秋場所から数えて400場所目にあたる記念の場所だったが、殊勲・敢闘・技能のすべてが該当者なしという史上初の結果に終わった。

受賞者の多い場所について、田口は2018年に、ダブル受賞なしで5人が受けた場所が平成6年三月場所と平成10年五月場所の2度あると書いた。その後の令和5年七月場所は、のべ7人が受賞している(三賞受賞者数初めての変化)。

1人で3賞すべてを独占したのは、田口が2018年に書いた時点で2例。昭和48年七月場所の大受と、その翌場所に新入幕で横綱・大関を倒した大錦である。

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ほかの力士と分け合う形で3賞すべてを受けたのは、田口が2018年に挙げた3例で、平成4年一月場所の貴花田、平成11年七月場所の出島、平成12年十一月場所の琴光喜。貴花田のときは13勝の曙が殊勲賞と敢闘賞、若花田が技能賞を受け、当時出羽海だった元佐田の山が「一人にこんなにやらなくても」ともらしたという。

その後、令和6年三月場所には尊富士が殊勲・敢闘・技能の3つを受けている。敢闘賞と技能賞は大の里と分け合った(2024年三月場所総評)。

関脇以下で優勝しながら三賞をもらえなかった力士も、田口が2015年に書いた時点で2人いる。朝汐(2回目の優勝)と大鵬で、田口は、当時は大物ぶりから優勝して当然という見方があったと書いている。

三賞についてよくある質問

Q. 殊勲賞とは何ですか?
三賞のうち、横綱・大関や優勝力士を倒すなど殊勲の相撲を取った力士に贈られる賞です。読みはしゅくんしょう。最多受賞は朝潮と魁皇の10回です。

Q. 敢闘賞とはどんな賞ですか?
攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士に贈られる賞です。読みはかんとうしょう。三賞のなかでは受賞者の人数が最も多く、最多受賞は貴闘力の10回です。

Q. 技能賞とはどんな賞ですか?
技のさえた力士に贈られます。読みはぎのうしょう。特定の力士に集まりやすく、該当者なしの場所も三賞のなかで最も多い賞です。最多は鶴ヶ嶺の10回。

Q. 殊勲賞と敢闘賞の違いは?
殊勲賞は横綱・大関や優勝力士を倒すなど誰に勝ったかが、敢闘賞は攻めの姿勢で土俵を沸かせたかが問われます。どちらもその場所を勝ち越した関脇以下の幕内力士が対象です。

Q. 三賞を最も多く受賞した力士は?
安芸乃島の19回(殊勲7・敢闘8・技能4)です。次いで琴錦18回、魁皇15回(田口の集計)。現役では高安が2026年七月場所までに14回を受けています。

Q. 横綱や大関も三賞をもらえますか?
いまは関脇以下の力士が対象です。制定当初は基準がはっきりせず、横綱・大関も候補になっていました。

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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