七月場所千秋楽、新入幕の伯桜鵬は11勝3敗で同成
績の関脇豊昇龍と対戦した。場合によっては108年
ぶりの新入幕力士の優勝かとあおったメディアがあ
った。これは大正3年夏場所の両國勇治郎のことを
指しているのだろう。だが、この時代優勝制度はな
い。あったのは、時事新報社の幕内最高成績者の写
真額を国技館に掲げる制度であった。当時、対戦相
手が休場すれば、自分も休場扱いとなった。
伯桜鵬は敗れ、師匠の元白鵬の新入幕12勝に1勝及
ばなかった。しかし、白鵬が新入幕で三賞は敢闘賞
1つだったが、伯桜鵬は敢闘・技能と2つ受賞した。
この点では師匠をこえた。新入幕で土俵をわかせた
力士はけっこういるが、三賞をダブル受賞した力士
はそういない。12勝をあげた大鵬、13勝をあげた北
の富士も1つしか受賞していない。
大錦。それは大正時代の伝説の横綱の名である。こ
の名を受け継いで入幕したのが昭和48年九月場所で
あった。前頭11枚目の大錦は大関貴ノ花に勝ってし
まった。さらに横綱琴桜にまで勝利すると三賞は全
部大錦にという流れができてしまった。こうして大
錦は新入幕で三賞すべてを受賞するという記録を作
ってしまった。
この大活躍で大錦は翌場所小結に抜擢された。しか
し、これはやりすぎではという声が多かった。前頭
4枚目で出場した横綱・大関全員と対戦している9
勝6敗の高見山が小結になるのが当然という見方が
大多数だった。大錦にとって三役はこの一場所だけ
だった。三賞も新入幕のときだけしか受賞できなか
った。結局大成せずに力士人生を終えた。
史上最高の新入幕力士と言われたのが逸ノ城である。
2横綱2大関と対戦して13勝2敗の好成績である。
あわや新入幕優勝かと思わせるほどの快進撃だった。
白鵬が直接対決で勝って優勝を阻止した。
この活躍で殊勲・敢闘賞を受賞した。ただ、逸ノ城
も予想以上に活躍できずに終わっている。2022年七
月場所の優勝が最後の花となった。その5場所前引
退している。
伯桜鵬はどういう力士人生を歩むのか。注目が集ま
る。