照ノ富士が引退した。休場したその日の出来事だった。午後10時の
NHK番組中にテロップが流れた。ここまで予期していなかったため
仰天した。今思うと成績が残せない場合は引退を考えていたことに
なる。
2勝2敗の成績を良しとしなかったことになる。そして再起は不可
能とみて決断したことになる。まさに驚きの連続となった。こうな
った以上、照ノ富士の心を尊重するだけである。
珍妙な土俵となったのが琴櫻対熱海富士戦である。熱海富士が向う
正面に琴櫻を寄り立て寄り切った。ところが物言いがついた。熱海
富士に踏みこしはなかった。髷に手がかかったようすもない。
長い協議の末取り直しとなった。朝日山(元琴錦)審判が琴櫻の足
が完全に出ないうちに勝負あったの手をあげたというのだ。しかし、
琴櫻はそれをみて力を抜いたわけではない。熱海富士にとってはバ
カをみる取り直しである。これは歴史的汚点である。はき手がない
のにはいたと判断した場合と明らかに違う。
再勝負は熱海富士が極め出しで勝った。負けていたら騒ぎはもっと
大きくなった。それでも後味の悪さは深く残った。朝日山の処分は
あるのか。気分の悪い思いで国技館を後にした。