日本相撲協会は「普通、大関・関脇・小結を総称して三役といいます」と説明している。ただし同じ協会の説明の中で、待遇面については「大関を除き、関脇・小結のみを三役としています」と範囲が狭くなる。横綱は三役とは別格の扱いで、協会は「明治42年に横綱が正式に最高位となるまでは大関が最高位であり、三役は小結以上を意味しました」と付け加えている。つまり三役は、場面によって3つの地位を指したり2つの地位を指したりする言葉である。
出典: 日本相撲協会大相撲クイズ No.701(2026年9月18日確認)。地位そのものの並びは相撲の階級・番付の序列 一覧、関脇と小結の上下は関脇とは|小結とどっちが上?へ。
三役はどこからどこまでか|協会の説明でも範囲が2通りある
「三役とは大関・関脇・小結」と覚えて、それで足りる場面は多い。ところが実際の運用を見ると、大関を外して関脇・小結の2つだけを三役と呼ぶ場面がある。協会自身がクイズ No.701 でその二重性を書いていて、年寄名跡の襲名・継承では横綱・大関が無条件なのに三役(関脇・小結)には条件があること、力士の給与も横綱・大関・三役(関脇・小結)の三段階に区分されていることを例に挙げている。
| 場面 | 三役に含まれる地位 | 協会の説明・根拠 |
|---|---|---|
| 普通の呼び方 | 大関・関脇・小結 | 「普通、『大関・関脇・小結』を総称して三役といいます」(クイズ No.701) |
| 待遇(年寄名跡・給与) | 関脇・小結 | 「待遇面では、大関を除き、関脇・小結のみを三役としています」(同) |
| 明治42年より前 | 小結以上(大関が最高位) | 「明治42年に横綱が正式に最高位となるまでは大関が最高位であり、三役は小結以上を意味しました」(同) |
| 横綱の扱い | 別格(三役に含めない) | 「現在は、横綱を三役とは別格としております」(同) |
| 三賞の対象 | 関脇以下 | 「関脇以下で活躍した力士に殊勲賞、敢闘賞、技能賞の三賞が授与されます」(観戦案内の千秋楽の項) |
| 三役揃い踏み | 結び三番を取る力士(横綱も上がる) | 「『三役揃い踏み』では横綱も登場します」(クイズ No.701) |
「三役の一番上は」と聞かれれば大関になる。ただし上の表のとおり、待遇の話をしているときの三役に大関は入らない。会話が食い違うとしたら、たいていここが原因である。
三役は何人いるのか|16場所の番付では小結は毎場所2人、関脇は2〜4人
協会は関脇・小結の定員を公表していない。番付表のページは開いても中身が書き出されない作りで、静的なHTMLからは力士名も「三役」の語も取れなかった。そこで、協会が過去の場所ぶんを出している星取表から、令和6年一月場所から令和8年七月場所までの16場所について、東西の番付に載った横綱・大関・関脇・小結の人数を当サイトが数えた。この表は取得できた16場所の実測であって、制度上の定員ではない。開催中の令和8年九月場所は過去成績のデータにまだ入らないので含めていない。
| 場所 | 横綱 | 大関 | 関脇 | 小結 | 三役(大関を含む) | 三役(関脇・小結のみ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年一月場所 | 1 | 3 | 2 | 2 | 7 | 4 |
| 令和6年三月場所 | 1 | 4 | 2 | 2 | 8 | 4 |
| 令和6年五月場所 | 1 | 4 | 2 | 2 | 8 | 4 |
| 令和6年七月場所 | 1 | 3 | 3 | 2 | 8 | 5 |
| 令和6年九月場所 | 1 | 2 | 4 | 2 | 8 | 6 |
| 令和6年十一月場所 | 1 | 3 | 2 | 2 | 7 | 4 |
| 令和7年一月場所 | 1 | 3 | 2 | 2 | 7 | 4 |
| 令和7年三月場所 | 1 | 2 | 2 | 2 | 6 | 4 |
| 令和7年五月場所 | 1 | 2 | 2 | 2 | 6 | 4 |
| 令和7年七月場所 | 2 | 1 | 3 | 2 | 6 | 5 |
| 令和7年九月場所 | 2 | 1 | 2 | 2 | 5 | 4 |
| 令和7年十一月場所 | 2 | 1 | 2 | 2 | 5 | 4 |
| 令和8年一月場所 | 2 | 2 | 2 | 2 | 6 | 4 |
| 令和8年三月場所 | 2 | 2 | 2 | 2 | 6 | 4 |
| 令和8年五月場所 | 2 | 3 | 2 | 2 | 7 | 4 |
| 令和8年七月場所 | 2 | 2 | 4 | 2 | 8 | 6 |
16場所を通して、小結は毎場所ちょうど2人だった。動いたのは関脇と大関で、関脇は2人が12場所、3人が2場所、4人が2場所。大関は1人から4人まで振れた。結果として、大関を含めた広い意味の三役は5人から8人、関脇・小結だけの狭い意味の三役は4人から6人のあいだで動いている。「相撲の三役は何人ですか」に一つの数字で答えられないのは、関脇の枠が場所ごとに伸び縮みするからである。
3人目以降の関脇や大関は、かつては番付の枠の外に押し出して書かれていた。これが「張出(はりだし)」である。田口は読者からの質問に答える形で、張出は「番付の枠外に張出したからことからそう呼ばれました」「横綱・大関・関脇・小結の3人目以降が対象となる傾向がある」と書き、なくなったのは平成6年七月場所からで、理由は「番付に記入事項増えて外枠に余裕がなくなったこと」だとしている(記事大相撲の疑問・2022年8月13日)。いまは3人目の関脇も枠の中に並ぶので、番付を見ただけでは何人目かが分かりにくい。


写真:田口 通廣(撮影)。この2枚はファイル名に撮影日が入っていないため、撮影日ではなく掲載記事の公開日を書いた。番付の読み方そのものは番付の見方・読み方にまとめてある。
三役揃い踏みと「これより三役」|千秋楽の結び三番だけの儀式
「これより三役」は千秋楽にしか出てこない言葉で、協会はクイズ No.1249 で「千秋楽で結びの一番を含め残り3番の取組のこと」と答えている。その3番は「役相撲」とも呼ばれ、取組を行う力士が「三役揃い踏み」として東西三人ずつ土俵に上がり、四股を踏む。観戦案内の時間割では午後5時15分頃、「東西それぞれ三人の力士が土俵に上がり、扇の形で正面を向き三人そろって四股を踏む」と書かれている。協会はこの時間割に「時刻はおおよその目安でございます」「場所により時間が前後する場合がありますのでご了承ください」と添えている。
| 役相撲 | 勝った力士が受け取るもの | 協会の説明 |
|---|---|---|
| これより三役の1番目 | 矢 | 「最初の取組に勝った力士は『矢』をもらいます」 |
| 2番目 | 弦 | 「2番目の取組に勝った力士は『弦』をもらいます」 |
| 結びの一番 | 弓(本人は受け取らない) | 「本来『弓』が与えられるのですが、その後の弓取力士が代わりに受け取るので何ももらえません」 |
ここで紛らわしいのは、三役揃い踏みに上がる6人が、必ずしも番付上の三役ではないことである。協会も「『三役揃い踏み』では横綱も登場します」と書いている。結び三番に割り当てられた力士が上がるのであって、地位で決まっているわけではない。
その顔ぶれが崩れた場所を、田口が千秋楽の記事で書き残している。2019年七月場所の千秋楽について、田口は「これより三役は異例だった。関脇玉鷲をさしおいて小結阿炎がはいった」「それにしてもこれより三役に平幕2力士が入っているとは、今場所の取組の貧弱さ、寂しさを表している。原因は4大関の休場にある」と書いている(記事■名古屋千秋楽 手堅かった鶴竜の優勝・2019年7月24日)。同じ年の九月場所前にも、取組編成について「手腕を発揮しないと、取組に谷間の日ができたり、これより三役に平幕が登場したりすることになる」と書いた(記事2019年九月場所の視点・2019年9月7日)。三役が手薄な場所では、ここに平幕が入ってくる。
千秋楽そのものの組み立てについては、田口は2021年一月場所の千秋楽に「やはり千秋楽は特別な日である。進行がいつもより早い。協会ご挨拶がある。各段の優勝決定戦がある。各段の表彰がある。そしてこれより三役がある。幕内優勝力士の表彰がある」と書いている(記事■一月千秋楽 大栄翔13勝2敗で初優勝・2021年1月24日)。三役揃い踏みは、その詰まった進行の終盤に置かれている。土俵入りから打ち出しまでの時刻は横綱土俵入りは何時から?にまとめた。
三役への昇進と、三役からの陥落|大関だけ扱いが違う
協会は大関・関脇・小結の昇進基準や定員を、公式サイトで条文の形では出していない。取得できた範囲では見つからなかったので、ここでは規定として書かない。書けるのは、協会が待遇の違いとして明記していること、番付を数えて分かったこと、そして田口が用語解説で書いていることの3つになる。
| 大関 | 関脇・小結 | 根拠 | |
|---|---|---|---|
| 年寄名跡の襲名・継承 | 無条件 | 条件がある | 協会クイズ No.701 |
| 給与の区分 | 横綱・大関の段 | 三役の段(1段下) | 同(三段階に区分と明記) |
| 三賞の対象 | 対象外 | 対象(関脇以下) | 観戦案内の千秋楽の項 |
| 16場所での人数 | 1〜4人 | 関脇2〜4人/小結は毎場所2人 | 協会の星取表を当サイトが集計 |
田口は用語解説の中で、大関という地位をこう書いている。「一時的に3場所好成績で昇進できる地位。なってしまえば2場所連続負け越さない限り関脇に落ちることはない。だから落ちるときは関脇以下より甘い。0勝から7勝、8勝から11勝は同じ意味しかもたない」(記事現代流大相撲用語・2022年8月21日)。大関だけが2場所ぶんの猶予を持ち、関脇・小結にはそれが無い、という対比である。
小結が16場所すべて2人だったのに対し、関脇が2人から4人まで動いたのも、この差と揃って見える。関脇が4人になったのは16場所のうち2場所(令和6年九月場所と令和8年七月場所)で、どちらも直前の場所より大関が1人減っていた。大関から落ちた力士は関脇に入るので、その2場所については辻褄が合う。ただしこれは16場所を並べて気づいた2例で、協会が仕組みとして説明しているわけではないし、16場所で一般則と言えるだけの数でもない。
数字で語れる部分は既存の面に分けてある。大関昇進の目安とされる直近3場所の勝ち星と歴代の昇進成績は大関昇進の成績と目安、2場所連続負け越しで陥落し翌場所10勝で復帰する角番のルールは大関の降格・陥落の条件、三賞の3つの違いと獲得回数は三賞とは|殊勲賞・敢闘賞・技能賞の違いにある。
三役の給料はいくらか|協会は月給額を公表していない
協会が書いているのは「力士の給与の条件も横綱・大関・三役(関脇・小結)とで三段階に区分されています」という区分までで、金額は出していない。当サイトが2026年7月26日に確認した時点でも、協会公式サイトに月給額の記載はなかった。現行の金額は2018年11月29日の定例理事会で決まり2019年1月から適用されているもので、地位によって確認できた経路が違う。関脇・小結の180万円は新聞2社の記事に記載が無く、田口の取材による値である。そこを伏せたまま「三役の月給は180万円」と言い切ることはしない。
そのうえで、この金額は2027年一月場所から変わる。協会は2026年7月30日の理事会で関取の月給引き上げを発表し、三役(関脇・小結)は180万円から200万円になる。関取の給与改定は2019年以来8年ぶりで、適用は令和9年一月場所から。こちらも協会の公表値ではない。出どころは同日の各紙の報道である。下の表は現行と改定後を並べたものである。
| 地位 | 現行の月給(2019年1月〜) | 2027年一月場所から | 差額 | 金額の確認状況 |
|---|---|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 330万円 | +30万円 | 現行は日経・共同通信の2社が報道 |
| 大関 | 250万円 | 275万円 | +25万円 | 現行は日経・共同通信の2社が報道 |
| 関脇・小結(三役) | 180万円 | 200万円 | +20万円 | 現行は上記2社の記事に金額の記載なし。田口の取材による |
| 前頭(平幕) | 140万円 | 155万円 | +15万円 | 同上 |
| 十両 | 110万円 | 120万円 | +10万円 | 現行は日経・共同通信の2社が報道 |
大関の250万円と関脇・小結の180万円で、月に70万円の差がつく。2027年一月場所からの275万円と200万円でも、差は75万円になる。関脇で勝ち星を積んで大関に上がるかどうかは、年寄名跡の条件と合わせて、土俵の外でもここまで扱いが変わる。ただし力士の収入は月給だけではなく、力士褒賞金・優勝賞金・懸賞金が重なる。同じ2026年7月30日の理事会では幕内最高優勝の賞金を1000万円から2000万円にすることも決まっている。内訳は力士の給料と大相撲の優勝賞金はいくらに分けてある。
相撲の三役についてよくある質問
Q. 相撲の三役とは何ですか?
日本相撲協会の説明では、普通は大関・関脇・小結の3つを総称して三役といいます。ただし待遇面では大関を除き、関脇・小結だけを三役としています。
Q. 三役の一番上は何ですか?
大関です。ただし年寄名跡や給与の話をしているときの三役に大関は入らず、その場合は関脇が一番上になります。
Q. 横綱は三役ですか?
協会は「現在は、横綱を三役とは別格としております」と書いています。明治42年に横綱が正式に最高位となるまでは大関が最高位で、当時の三役は小結以上を意味しました。
Q. 相撲の三役は何人ですか?
場所によって変わります。令和6年一月場所から令和8年七月場所までの16場所を数えると、小結は毎場所2人、関脇は2〜4人、大関は1〜4人でした。大関を含めると5〜8人、関脇・小結だけなら4〜6人です。協会は定員を公表していないため、これは番付を数えた実測です。
Q. 相撲の三役の給料はいくらですか?
関脇・小結の月給は現在180万円とされ、2027年一月場所から200万円に上がります(2026年7月30日の理事会発表・同日の各紙報道による)。ただし現行・改定後とも協会の公表値ではありません。現行の180万円は田口の取材によるものです。大関は250万円から275万円になります。
Q. 三役揃い踏みは何時に見られますか?
千秋楽だけの儀式で、協会の観戦案内では午後5時15分頃が目安です。結び三番を残して、東西それぞれ三人が土俵に上がり、扇の形で正面を向いて四股を踏みます。協会は「時刻はおおよその目安」「場所により時間が前後する場合があります」と添えています。
Q. 「これより三役」とはどういう意味ですか?
千秋楽で、結びの一番を含めた残り3番の取組のことです。この3番は「役相撲」とも呼ばれ、1番目に勝った力士は矢、2番目は弦を受け取ります。結びの勝者に本来与えられる弓は、そのあとの弓取力士が代わりに受け取ります。
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