稽古総見とは|横綱審議委員会の稽古を一般公開、幕下・十両から幕内・三役へ進む順番と申し合い・ぶつかり稽古の違い

稽古総見は、横綱審議委員会の委員が国技館の本土俵で力士の稽古をまとめて見る場で、日本相撲協会が一般公開の告知を出した回は、入場料なしで誰でも観覧できる。土俵は番付の下から順に使う。幕下以下、十両、幕内と進み、幕内のあとに三役だけの申し合いが入った回がある。締め方は回によって違い、各層が勝ち残りの申し合いを取ってからぶつかり稽古で終えた回もあれば、上位の力士が相手を替えずに何番も取った回もある。稽古が終わるのは午前11時ごろ。

出典: 日本相撲協会「横綱審議委員会による稽古総見の一般公開」(2026年(令和8年)5月1日・国技館本土俵の回の告知・2026年9月17日確認。開催日と開場時刻は回ごとに差し替わるので協会からのお知らせで確かめてほしい)と「巡業の一日」(同)。土俵上の進み方は田口の見聞記稽古様々(2024年の回)ほかによる。

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稽古総見とは何をする場か|横綱審議委員会が本土俵で稽古を見る

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横綱審議委員会について、協会は組織の説明で「協会外の有識者の委員によって構成され、主に横綱の推薦を行う機関」と書き、諮問機関に位置づけている(日本相撲協会「協会の使命・組織」・2026年9月17日確認)。その委員が国技館の本土俵に力士を集めて稽古を見るのが稽古総見で、協会のお知らせでは「横綱審議委員会による稽古総見」と呼ばれている。本場所の取組ではないので、勝敗は記録に残らない。番付も動かない。

この稽古総見を協会が一般にも開けた回が「一般公開」で、告知は協会からのお知らせに1本ずつ出る。2026年9月17日に確認した告知(国技館・本土俵での回)には、入場料は無料、席の指定はなし、稽古時間は開場から午前11時00分まで(予定)と書かれていた。開催日と開場時刻はその回ごとの告知にしか載っていないので、行くと決めたら協会のお知らせを直接見るのが早い。

五月場所の前に行われることが多い。田口は2019年の見聞記で「本来五月場所前に行われる公開稽古総見」と書いていて、その年は10連休のため九月場所前の8月31日に延期された(2019年九月場所前稽古総見見聞記・2019年8月31日)。2023年は9月2日にコロナ禍明けの再開として行われている(公開稽古総見見聞録)。時期は固定ではない。

一般公開で入れる条件|無料・席の指定なし・再入場なし

ここに並べたのは、2026年(令和8年)5月1日・国技館本土俵の回の告知1本に書かれている条件である。告知は回ごとに出るので、次の回で同じとは限らない。開催日と開場時刻は回ごとに差し替わるため、表には入れていない。

項目2026年(令和8年)5月1日・国技館本土俵の回の告知に書かれていること出典
入場料無料協会の告知
申し込み一般入場は事前申込の記載なし。これに先立って、ファンクラブ関脇コース以上の会員の優先入場(事前申込制)がある。一般客は優先入場の客が着席したあとに着席する協会の告知
指定なし。マス席はできるだけ4名で座るよう求められる協会の告知
会場国技館・本土俵(東京・両国)協会の告知
終了稽古時間は開場から午前11時00分まで(予定)協会の告知
撮影写真・ビデオの撮影は座席から。営利目的の撮影と、協会員の肖像権を侵す撮影は禁止協会の告知
館内稽古中は静かに観覧する。携帯電話の使用は控える。館内は禁煙。アルコール類は「ご遠慮下さい」とある協会の告知
入場規制満員になり次第、入場を規制する。警備の都合で入場を断ることがある。手荷物検査を行う場合がある協会の告知
再入場一度退場すると再入場はできない協会の告知
駐車場は無い協会の告知
タマリ席2017年の回では無かった田口の実見・18138
日本相撲協会「横綱審議委員会による稽古総見の一般公開」(2026年9月17日確認)より。最終行だけは協会の記載ではなく、田口が2017年5月3日の回で見た記録(稽古総見見聞記)。次の回で同じとは限らない

行き方と館内の造りは両国国技館ガイドにまとめてある。駐車場が無いのは稽古総見の日にかぎった話ではない。

何時に並べばいいのか|田口が並んだ8回の記録

ここが一番知りたいところだと思うが、「◯時に行けば入れる」と言い切れる材料は無い。協会は開場時刻を予定として出し、そのうえで「当日の状況に応じ、開場時間が早まる事があります」と断っている。実際、予定の時刻が書かれている回のうち3回は、予定より早く入れている。列の長さも天候と曜日で動いた。そこで、年ごとの記録をそのまま並べる。読み取り方はご自身で。

下の表は、当サイトの公開記事から本文に「稽古総見」を含むものを抜き出し、そのうち田口が会場に足を運んだと読める8本をそろえたもの(2026年9月17日に本番の記事データベースを走査)。ほかにも稽古総見に触れた記事はあるが、行った日の記録があるのはこの8本だった。

田口が着いた時刻入場稽古の始まり・終わりその日の事情
2016年4月29日朝早く(時刻の記載なし)記載なし記載なし昭和の日。1階のマス席は満席、2階も入って7割5分ほどの入りと書いている
2017年5月3日5時半7時の予定が6時50分から幕下の稽古開始は7時半ごろ/11時ごろ終了先頭は前日18時から並んだという
2018年5月3日6時40分過ぎ7時ごろに列が動き出した幕内は仕上げのぶつかり稽古で締めた激しい雨。6時21分時点の列は100番ほどだったと仲間から連絡
2019年8月31日5時半7時20分の予定より5分ほど早まった幕内のぶつかり稽古が終わって11時五月場所前が10連休で延期になり九月場所前に実施
2023年9月2日エントランスから2階は別並び稽古は10時半ごろ終了八角理事長の還暦土俵入りがあり正面のマス席と2階前3列は関係者席
2024年5月2日6時半ごろ7時半ごろ入場が始まった2列に並んで南門より少し前。いつもほど入っていなかった
2025年5月2日6時50分くらい8時入場の予定が早まり段階的に着いたときすでに幕下の稽古が始まっていた/11時に終了雨の予報でも南門を曲がって長蛇の列
2026年5月1日7時前ファンクラブおよび同行者が優先。7時前でファンクラブの列は長蛇館内に入ったとき幕下の稽古が始まっていた雨が降りしきるなか大勢が詰めかけた。開場は午前8時(予定)と協会が告知していた回
田口の記事8本の地の文から、時刻と列の記述だけを抜き出した(記事IDはリンク先)。書かれていない欄は「記載なし」か空欄にしてある。回ごとの条件が違うので、平均や目安は出していない

並ぶ位置の書き方も年で変わる。2017年は「南門を越えて大江戸博物館方向に伸びている」列が、4列に並び直すと南門あたりまで縮んだ。2018年は南門を入って65メートルくらいの位置。2024年は2列で南門より少し前だった。2025年は雨の予報が出ていたのに「南門を曲がって長蛇の列」で、それでもマス席の一番後ろを余裕で取れている。2017年の回について、田口は「いかに並んでも国技館内に入れないことはない」と書いている(稽古総見見聞記)。これは1本だけの記述で、ほかの7本に同じ趣旨の行は無い。

2026年(令和8年)5月1日・国技館本土俵の回については、協会の告知が開場を午前8時(予定)としていて、田口は同じ日について「7時前だったが、ファンクラブの列は長蛇になっていた」「館内に入ったとき、幕下の精鋭の稽古が始まっていた」と書いている(炎鵬の復活劇)。何時に入れたかは書かれていないので、ここでは告知の時刻と見た記録を並べるだけにしておく。

ただし2023年の回のように、還暦土俵入りが併催されて正面のマス席と2階の前3列が関係者席になった年もある。早く並んだことが「全くの徒労に終わった」と田口は書いている。当日の造りは行ってみないと分からない。

稽古はどんな順で進むのか|下から上へ、最後に三役の申し合い

番付の下の層から土俵を使い、上へ上がっていく。協会も巡業の一日の説明で「早朝から幕下以下の力士が、明日の関取をめざし、激しい稽古に精進します。その後、幕内・大関・横綱と激しい稽古が続きます」「時間を追うごとに番付上位の関取衆の稽古が展開され」と書いている。稽古総見も同じ並びで、田口の見聞記では次の順になっていた。

土俵で行われること出典(記事ID)
1幕下以下申し合い → ぶつかり稽古層の順=40558・51724/締めまで=43001
2十両申し合い → ぶつかり稽古層の順=40558・51724/締めまで=43001
3幕内申し合い → ぶつかり稽古層の順=40558・51724/締めまで=43001
4三役三役だけの申し合いが入る。2023年の回は三役に元大関が加わった43001・40558
田口の記名記事の地の文による(稽古様々2024年5月2日・公開稽古総見見聞録2023年9月2日・2019年九月場所前稽古総見見聞記)。下位から上位へ進むことは日本相撲協会「巡業の一日」(2026年9月17日確認)の記述とも合う。ただし協会は稽古総見そのものの進行を公表していない

田口は2024年の回をこう書いている。「幕下・十両は申し合いの後ぶつかり稽古で終えた。幕内も同様であるが、三役だけの申し合いがある点が違った」(稽古様々)。つまり下の層と幕内は組み立てが同じで、幕内のあとに三役だけがもう一度取る時間が足される。2023年の回では「幕下、十両、幕内、三役+元大関の順で申し合いがおこなわれた」とある。2026年の回も「館内に入ったとき、幕下の精鋭の稽古が始まっていた。さらに十両・幕内へと進んだ」で、層の順は同じだった。

この表は8本のうち3本(2023年・2024年・2026年)の記述からできている。締め方は毎回そろっていない。2017年・2018年・2019年の回では、上位の力士が相手を替えずに何番も取る形で稽古していて(18138・18469・18922)、層ごとに申し合いのあとぶつかり稽古で終える、という形にはなっていなかった。稽古総見そのものの進行を協会は公表していないので、規則としては書けない。

稽古総見の幕内の稽古(2024年5月2日・国技館本土俵)
幕内の稽古(2024年5月2日の稽古総見・記事43001の掲載写真)
三役同士の稽古(2024年5月2日の稽古総見)
三役同士の稽古(同日。幕内のあとに三役だけの申し合いが入る)

写真:田口 通廣(撮影)。撮影日は掲載記事(稽古様々・2024年5月2日)による。

申し合いとぶつかり稽古は何が違うのか

稽古やり方土俵で起きること出典(記事ID)
申し合い勝った力士が次の相手を指名する、勝ち残りの稽古。勝ち続けるかぎり土俵に残る一人が何番も続けて取るので、全員の稽古量はそろわない。指名されない力士は一番も取らずに終わることがある18138(2017年)・18922(2019年)・18469(2018年)
ぶつかり稽古一方が胸を出し、もう一方がその胸へぶつかっていく稽古。申し合いのあと、締めとして行われる胸を出す側とぶつかる側で役が分かれる。上位の力士が胸を出すことも、出さないこともある43001(2024年)・40558(2023年)・18138(2017年)
いずれも田口の見聞記の地の文から起こした。当サイトが2026年9月17日に確認した範囲では、日本相撲協会に稽古の種類を解説するページが見当たらず、協会公式を出典にできる定義は取れていない

申し合いの方式は、田口が繰り返し同じ言い方で書いている。「申し合いである。勝った力士が次の力士を指名する方式である。勝ち続ければ土俵に残れるわけである」(稽古総見見聞記・2017年5月3日)。指名されるかどうかで稽古量が決まるので、見ているほうには誰が土俵に呼ばれないかも分かる。2019年の回では人気の炎鵬がついに指名されず、胸を出すこともぶつかることもないまま終わったと書かれている。

ぶつかり稽古は役が分かれる。胸を出す側は立って受け、ぶつかる側が体ごと当たって押していく。2023年の回では、照ノ富士が申し合いをせず「ぶつかり稽古の胸を出しただけであった」。2017年の回では、白鵬が胸を出して高安がぶつかり、高安はフラフラになっている。横綱・大関が胸を出す側に回る日もあれば、そもそも土俵に上がらない日もある

ぶつかり稽古で胸を出す照ノ富士(2023年9月2日の稽古総見)
ぶつかり稽古で胸を出す照ノ富士(2023年9月2日の稽古総見・記事40558の掲載写真)。写真:田口 通廣(撮影)

なお、稽古の量そのものは申し合いでは足りない、というのが田口の見方である。「どうしても申し合いだと稽古量に限界がある」(2017年5月3日)、「申し合いは勝ち残りだから、稽古量という面では難しい」(2023年9月2日)。土俵が1つしかない場での稽古だという条件がそのまま出る。

稽古総見を見れば力士の調子が分かるのか

分からない、というのが田口の答えである。理由も同じ形で何度も書いている。

この稽古だけで調子を図るのは難しい。稽古は日々の鍛錬だからだ。勝ち負けをみるものではない。研究や試しにやってみることがある。

稽古様々(2024年5月2日)

2019年の見聞記でも「稽古は積み重ねだから今日の稽古を見て、即断するのは早計なので、ここでは触れない」と書いて、その日の出来から本場所を予想することを避けている。稽古が直前の本場所のためのものではない、という考え方は稽古は直前の本場所を目指すモノではない(2018年8月23日)に詳しい。そこでは突き押し相撲の富士桜が、夏の巡業の汗は九月場所ではなく十一月場所に出ると語った言葉が引かれている。

では何を見にいくのか。稽古そのものである。誰が誰を指名するか、誰が土俵に上がらないか、胸を出すのは誰か。本場所の15日間では見られない組み合わせが、ひとつの土俵の上で続く。強さの根が猛稽古にあるという話は本物の強さは猛稽古で生まれるに、大鵬が5大関を相手にした稽古量は大鵬の稽古その質と量に書いてある。

稽古総見についてよくある質問

Q. 稽古総見とは何ですか?
横綱審議委員会の委員が、国技館の本土俵で力士の稽古をまとめて見る場です。協会が一般公開の告知を出した回は、一般の観客も観覧できます。本場所の取組ではないので、勝敗は記録に残りません。

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Q. 誰でも見に行けますか。お金はかかりますか?
一般公開の回は入場料が無料で、席の指定もありません。ファンクラブ関脇コース以上の会員には事前申込制の優先入場があり、一般の客はそのあとに着席します。満員になり次第、入場は規制されます。

Q. 何時までやっていますか?
協会の告知では、稽古時間は開場から午前11時00分まで(予定)です。田口が見た回では、稽古が終わったのは10時半ごろから11時ごろでした。

Q. 今年の日程はいつですか?
開催日と開場時刻は回ごとに変わり、その回の告知にしか載りません。協会からのお知らせで確かめてください。このページでは特定の年の日付を目安として書かないようにしています。

Q. 何時に並べばいいですか?
言い切れる時刻はありません。協会は開場時刻を予定として出したうえで「当日の状況に応じ、開場時間が早まる事があります」と断っています。当サイトが確認できた8本では、5時半に着いた年も7時前に着いた年もあり、予定の時刻が書かれている回のうち3回は予定より早く入れています。2017年については「いかに並んでも国技館内に入れないことはない」とも書いています。

Q. 稽古はどんな順番で進みますか?
幕下以下、十両、幕内の順に土俵を使い、幕内のあとに三役だけの申し合いが入った回があります(2023年・2024年)。締め方は回によって違い、各層が申し合いのあとぶつかり稽古で終えた回も、上位の力士が相手を替えずに何番も取った回(2017年・2018年・2019年)もあります。

Q. 申し合いとぶつかり稽古の違いは何ですか?
申し合いは勝った力士が次の相手を指名する勝ち残りの稽古で、勝ち続けるかぎり土俵に残ります。ぶつかり稽古は一方が胸を出し、もう一方がぶつかっていく稽古で、申し合いのあとの締めに行われます。

Q. 写真は撮れますか?
協会の告知では、写真・ビデオの撮影は座席からと決められています。営利目的の撮影と、協会員の肖像権を侵す撮影は禁止です。稽古中は静かに観覧し、携帯電話の使用は控えるよう求められています。

Q. 稽古総見を見れば、その場所の調子が分かりますか?
田口は「この稽古だけで調子を図るのは難しい。稽古は日々の鍛錬だからだ」と書いています。勝ち負けを見るものではなく、研究や試しに取ることもあるためです。

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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