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稽古は直前の本場所を目指すモノではない

夏の巡業で稀勢の里がどういう稽古をして
いるかの情報が入ってくる。現在8場所連続
休場という不名誉な記録をしているだけに、
注目がいくのはしかたがない。しかし、いか
にも夏の巡業は九月場所を目指した稽古で
あるかのような印象を与える。映像となると
番付発表後の稽古のようすが流される。これ
もいかにも直前の本場所を目指した稽古の
ように映る原因になっている。
180503幕内稽古 1802
<稀勢の里>

稽古というものは日々の鍛錬であり、積み
重ねなのである。だから本場所前の稽古だけ
をとらえて判断するのは本来ならきわめて
おかしなことなのである。もっとも不調なら
ば話しは別だが。突貫小僧(後に突貫オヤジ)
と呼ばれた富士桜はこう言っている。
「(前略)私は夏の一ヵ月の巡業と二十日
以上ある十月の巡業を大事にしています。
夏にミッチリ汗をかいても九月にすぐ効果が
現われるとはいえないが、十一月場所(九州)
には間違いなく、けい古の成果が出ます。
私の場合、この夏と秋場所後の十月の巡業の
二つを充分にやると、一年間の貯金が出来る
のです。」(話のふれ太鼓 北出清五郎著 
廣済堂刊より)
冨士桜
<富士桜>

3年先の稽古をしろとはよく言われる言葉
だが、稽古は直前の場所を目指して効果が
すぐ現われるものでないことは、富士桜の
言葉からわかる。
大鵬は佐田の山、栃ノ海、栃光、豊山(前名
内田)、北葉山の5大関を向こうにまわして
稽古した。大鵬は天才と呼ばれることをきら
った。一番強い大鵬が一番稽古をしたので
ある。最強者となっても大鵬は天竜にアドバ
イスを求めていた。
大 鵬!
<大鵬>

近年の巡業は大合併のため、全員が三十番
稽古するのは無理がある。また、巡業自体
が稽古目的とは言いがたい面がある。稀勢の
里は横綱だから、やろうと思えばいくらでも
できるだろうが、猛稽古とまではいかない
ようである。
近年は巡業よりも番付発表後の稽古に重きを
おく傾向になっている。十二分な稽古の
裏づけがない限り、土俵の充実はない。
九月場所は台風はきてほしくありません。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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