大相撲の休場とは?番付・給料への影響と横綱・大関のルールを解説

休場とは、本場所(15日間)の取組を休むことをいう。番付への影響は地位で分かれる。横綱は陥落(降格)の制度がないため、休場しても番付は下がらない。大関は休場して負け越すと「角番」を経て関脇に陥落する。関脇より下の力士は、休場すればそのまま番付が下がる。かつては本場所中に負傷した力士を守る「公傷制度」があったが、2004年初場所で廃止され、いまはケガでも休めば(横綱以外は)番付が下がる。

※本記事の番付・給料・規定は日本相撲協会の番付編成と横綱審議委員会の内規、大関の陥落規定は相撲記者・田口道宏の整理、公傷制度の年次は報道・記録に基づく。

目次

休場すると番付はどうなるか(地位別)

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同じ「休場」でも、番付への響き方は地位でまったく違う。横綱だけは休んでも地位を保ち、大関以下は休めば番付を下げる方向に働く。地位ごとに整理すると次のようになる。

地位休場・負け越し時の番付ポイント
横綱下がらない(陥落の制度がない)休場や不振が続くと、横綱審議委員会が内規で「激励→注意→引退勧告」の順に進退を問う(拘束力はない)
大関すぐには下がらないが、2場所連続の負け越しで関脇に陥落負け越した翌場所が「角番」。陥落した直後の場所で10勝以上を挙げれば大関に復帰できる(昭和44年7月場所から施行)
関脇・小結・幕内・十両(関取)下がる(休場は黒星扱いで負け越しに近づく)公傷制度がない今は、ケガによる休場も番付降下に直結する
幕下以下下がる月給がなく、休場は収入にも直接ひびく
出典=日本相撲協会の番付編成・横綱審議委員会内規/大関の陥落規定は相撲記者・田口道宏の整理による

大関の「角番」と10勝復帰のしくみは、実際に落ちた力士がその後どうなったかまで含めて大関の降格・陥落の条件で詳しく整理している。番付そのものの序列は相撲の階級・番付の序列を参照してほしい。

休場中の給料・褒賞金への影響

「休むと給料はどうなるのか」もよく聞かれる。関取(十両以上)に支払われる月給は地位に対して決まる固定給で、休場したというだけで止まるわけではない。月額は2019年1月の改定以降、横綱300万円、大関250万円、三役180万円、平幕140万円、十両110万円と報じられている。ただし番付が下がって地位が変われば、その後の月給は下位の地位の額になる。大関から関脇へ落ちれば、その分だけ月給も下がるということだ。

一方で、出場や勝敗に連動する収入は休場でそのまま減る。三役以上に本場所ごとに支給される本場所特別手当は、欠場した日数に応じて減額される。勝った取組にだけ入る懸賞金は、土俵に上がらなければ得られない。月給のない幕下以下にとっては、本場所ごとの手当が収入の柱であり、休場は収入減に直結する。番付別の月給や手当のより細かい内訳は力士の給料はいくら?にまとめている。

大相撲の休場についてよくある質問

Q. 横綱の休場は何回まで許される?
A. 回数の上限を定めた規定はない。横綱は他の地位と違って陥落(降格)がなく、休場しても番付は下がらない。ただし休場や不振が続くと、横綱審議委員会が内規に基づいて「激励」「注意」「引退勧告」の順で進退を問う。2020年11月には白鵬・鶴竜の両横綱に、初めて「注意」が決議された。

Q. 公傷制度は今もある?
A. ない。本場所中のケガを救済する公傷制度は1972年1月に始まったが、2004年初場所で廃止された。廃止と同時に幕内は40人から42人、十両は26人から28人に定員が増やされた。いまはケガで休場すれば、横綱以外は番付が下がる。

Q. 1年間の休場が最も多かった横綱は?
A. 相撲記者・田口道宏の集計では、貴乃花の90休(平成13年7月〜14年5月)が最多。以下、武蔵丸80休、稀勢の里76休と続く。詳しくは横綱の1年間の休場数14傑にまとめている。

Q. 休場すると給料はどうなる?
A. 関取の月給は地位に対する固定給なので、休場だけで止まることはない。ただし番付が下がれば月給は下位地位の額になる。三役以上の本場所特別手当は欠場日数に応じて減り、勝ってこそ入る懸賞金は休場中は得られない。

休場明けはなぜ難しいのか

番付が守られても、土俵に戻ってからが本番になる。休場が長引くと本場所の勘や感覚が鈍る。相撲記者・田口道宏は、5場所連続休場から復帰したあの大鵬でさえ、明けの初日に敗れたと書いている。横綱の1年間の休場数を歴代でたどると、貴乃花90休・武蔵丸80休・稀勢の里76休と並び、その多くはケガと引退の予兆だった(横綱の1年間の休場数14傑)。休場は番付上の問題であると同時に、力士生命そのものの分かれ目でもある。

名古屋場所2026の休場情報

【2026年名古屋場所時点】直前の5月場所(夏場所)は看板力士の休場が相次いだ。田口道宏の記録では、大の里・豊昇龍の2横綱、安青錦・琴櫻の2大関が休場し、寂しい場所になった。続く名古屋場所は、その休場明けの力士が土俵に戻って始まった。

初日、休場明けの3力士は明暗を分けた。大の里は義ノ富士に敗れて黒星発進、豊昇龍は同期の王鵬を破って白星、夏場所の休場で大関から関脇に陥落した安青錦は平戸海を上手投げで退けた。休場明けの土俵がどう転ぶかは、初日の一番からすでに問われている。初日の詳しい分析は◆名初日 明暗分けた休場明けトリオにある。

※休場者は場所中に随時変わる。最新の状況は田口道宏の日々の取組記事で確認してほしい。

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この記事を書いた人

日本経済新聞で15年間記者を務め、日経HRの編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するフリーライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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