横綱が平幕にどれだけ金星を与えたか。田口が集計した15人のうち、割合がいちばん低いのは玉錦の5.2%(横綱時代の平幕戦55勝3敗)で、いちばん高いのは武蔵山の37.5%(10勝6敗)である。大鵬は横綱58場所で8%、双葉山は10.7%だった。
※金星配給率=横綱時代の平幕戦の敗戦数 ÷ 平幕戦の総数。数値は当サイトの「◯◯の金星配給率」シリーズ14本に田口が記した値をそのまま転記した。集計は玉錦から大鵬まで(2026年6月時点)。
平幕が横綱を倒すと金星がつく。もらう側から数えた記録はよく見かけるが、与えた側から数えた記録はほとんど出回らない。当サイトでは横綱一人ずつについて、横綱在位中の平幕戦を洗い出し、そのうち何番落としたかを割合で出してきた。これが金星配給率である。玉錦から大鵬まで15人ぶんが出そろったので、1枚の表にまとめた。
起点が玉錦なのには理由がある。金星の制度が始まったのは昭和5年で、新横綱になった時点でこの制度があった横綱は、代でいうと玉錦からになる。それ以前の横綱は、そもそも金星という記録が存在しない。
横綱別の金星配給率 一覧|配給率の低い順
在位場所数はばらばらなので、順位はあくまで「平幕戦を何割落としたか」の順である。母数が分かるように、各行に平幕戦の勝敗をそのまま並べた。前田山の24番と大鵬の334番を同じ重さで読まないための列でもある。
| 順 | 横綱 | 横綱時代の平幕戦 | 金星配給率 | 平幕7番あたりの配給数 | 多く配給した相手・在位の事情 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 玉錦 | 55勝3敗 | 5.2% | — | 配給した3人は男女ノ川・能代潟・大潮。男女ノ川は番付に名がなく別格として出場していた。横綱在位12場所 |
| 2 | 大鵬 | 306勝28敗 | 8% | 0.6個 | 横綱在位58場所。開隆山・豊國・海乃山が3個。フル出場して金星なしが28場所 |
| 3 | 双葉山 | 117勝14敗 | 10.7% | 0.7個 | 鹿島洋・櫻錦・豊嶋が2個。横綱4場所が系統別総当たり、13場所が東西制 |
| 4 | 若乃花(初代) | 148勝22敗1分 | 13% | 0.9個 | 大晃が3個。1場所最多の配給は3個。フル出場して金星0が7場所 |
| 5 | 羽黒山 | 139勝22敗 | 13.7% | 0.96 | 備州山が4個、相模川・若ノ花が2個 |
| 6 | 栃錦 | 172勝31敗 | 15.3% | 1.1個 | 時津山・鶴ヶ嶺・安念山が4個、琴ヶ濱が3個。1場所最多の配給は4個(途中休場の場所) |
| 7 | 照國 | 98勝21敗 | 18% | 1.3個 | 三根山が3個、柏戸・吉葉山・若葉山が2個 |
| 8 | 東富士 | 95勝20敗 | 18.1% | 1.3個 | 琴錦・若ノ花・若葉山が2個 |
| 9 | 千代の山 | 144勝34敗 | 19% | 1.3個 | 琴錦・朝潮・安念山が3個 |
| 10 | 安藝ノ海 | 24勝6敗 | 20% | 1.4個 | 横綱フル出場は5場所。神風・柏戸が2個 |
| 11 | 鏡里 | 122勝31敗 | 20.3% | 1.4個 | 若瀬川・鳴門海が3個。1場所最多の配給は4個で、これが2場所ある |
| 12 | 男女ノ川 | 63勝22敗 | 25.9% | 1.8個 | 横綱勝率0.613 |
| 13 | 吉葉山 | 54勝20敗 | 27% | 1.9個 | 若羽黒が3個。1場所最多の配給は3個で、これが2場所ある |
| 14 | 前田山 | 16勝8敗 | 33% | 2.3個 | 横綱在位6場所。8敗はすべて別の相手。力道山に2不戦敗がある |
| 15 | 武蔵山 | 10勝6敗 | 37.5% | 2.6個 | 横綱休場率70%。フル出場は1場所だけ |
この表の作り方|金星配給率はどう出しているか
配給率は場所数では割らない。全休した場所も途中休場した場所もあるので、場所数で割ると休んだ横綱ほど数字がよく見えてしまう。そこで平幕との対戦成績だけを取り出し、その敗率を配給率とした。平幕が横綱に勝てば金星なので、横綱側の平幕戦の敗率がそのまま配給率になる。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 何を数えるか | 横綱に在位していた期間の、平幕(前頭)との取組だけ。三役以上との取組は入れない |
| 分子 | その平幕戦で横綱が負けた数=配給した金星の数 |
| 分母 | 平幕戦の勝ち数+負け数 |
| 不戦敗 | 金星ではないので除外する |
| 不戦勝 | 対戦相手の都合なので分母に加える |
| 場所数で割らない理由 | 全休の場所と途中休場の場所があり、場所数で割っても実態を表さないため |
| 引き分け | 若乃花(初代)の1分は勝敗どちらにも数えていない |
表の数値は各記事に書かれた値の転記で、この一覧ページで計算し直したものではない。四捨五入の桁は記事によって違い、照國のように「18%」と整数で記されている横綱もいる。大鵬の平幕戦306勝28敗には、昭和44年三月場所の戸田戦の誤審が含まれている。田口はこの一番について「本当は307勝27敗である」と書いており、配給率8%はその前提で読むことになる。
表を並べて見えること
上位に来た玉錦・大鵬・双葉山は、平幕戦をほとんど落としていない。大鵬は58場所も務めながら、フル出場して金星を1つも与えなかった場所が28ある。若乃花(初代)にも同じ場所が7つある。長く務めて配給率が低いというのは、取りこぼしの少なさが場所をまたいで続いたということになる。
下位の武蔵山・前田山・吉葉山は、いずれも横綱在位が短く休場が多い。武蔵山はフル出場が1場所しかなく、平幕戦そのものが16番しかない。分母が小さいので、1つの黒星が数字を大きく動かす。率だけで強弱を決められないのはこのためで、平幕戦の勝敗を併記しているのもそこにある。
現役の横綱がどうなっているかは、豊昇龍と大の里の金星配給数で場所ごとに追っている。こちらは率ではなく個数で、在位場所数をそろえて朝青龍・輪島と比べてある。
まだ集計していない横綱
シリーズは大鵬まで進んだところである(2026年6月時点)。柏戸から先の横綱はまだ平幕戦の洗い出しが終わっていないので、この表には入れていない。記事が出そろい次第、行を足していく。横綱そのものの一覧は歴代横綱一覧にまとめてある。
よくある質問
金星配給率とは何ですか?
横綱が平幕との取組をどれだけ落としたかの割合です。平幕が横綱に勝てば金星なので、横綱側から見ると平幕戦の黒星がそのまま金星の配給になります。横綱時代の平幕戦の敗戦数を、平幕戦の総数で割って出しています。
いちばん金星を与えなかった横綱は誰ですか?
集計した15人では玉錦の5.2%です。横綱時代の平幕戦は55勝3敗でした。ただし在位は12場所で、58場所務めて8%の大鵬とは母数が違います。
大鵬の金星配給率はいくつですか?
8%です。横綱在位58場所で、平幕戦は306勝28敗でした。ただしこの中には昭和44年三月場所の戸田戦の誤審が含まれており、田口は本当は307勝27敗であると書いています。
なぜ玉錦から始まっているのですか?
金星の制度が始まったのが昭和5年だからです。新横綱になった時点でこの制度があった横綱は、代でいうと玉錦からになります。
柏戸や北の湖、千代の富士は入らないのですか?
2026年6月時点で集計が大鵬まで進んだところで、柏戸以降はまだ平幕戦を洗い出していません。推測で埋めることはしないので、記事ができてから行を足します。
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