双葉山というと69連勝、年2場所の時代に12回優勝が真っ先に思い
浮かぶ。そのうち8回が全勝優勝である。双葉山は69連勝したから
偉大なのではない、と言ったのは双葉山に傾倒し、相撲を見る目を
双葉山に基準に置いた小坂秀二氏であった。相撲の本質に狂いのな
い目を向け、研究と稽古によって自己の限界に挑戦し、土俵の土に
そのみごとな融合を見せた人として、双葉山以上の人を私は知らな
い。とまで語っている。
双葉山が求めたものは、相手から得られる勝利でもなく、まして観
衆の賞讃でもなかった。言うなれば、相撲を通じての自己完成への
努力であろう。かつて双葉山はこう語ったことがあった。「物言い
がついたとき、土俵下におりて判定を待っているが、あのときの力
士の姿は美しくて大好きだ」力士は、ただ全力をつくして相撲を取
ればよし、勝敗は他に任せてあえてこれを問わず、という双葉山の
土俵哲学がよくあらわれている言葉だ。こういう心境で土俵にあが
っていたので、双葉山の土俵態度は実に淡々としていた。
<がちんこ相撲-だれが現代の双葉山か-小坂秀二著 いんなとり
っぷ社刊より>

双葉山を語るうえで異口同音に賞賛するものが立ち合いである。双
葉山といえば相手が立てばいつでも立つ立ち合いが知られている。
龍王山が1回目から立ったのを双葉山は受けて立って左上手投げで
しとめたことがあった。どうしてそんなことができたのか。双葉山
自身は「1日に10分(当時の仕切り制限時間)だけ集中すればいい
のです」とこともなく語っている。
もう一つが後の先の立ち合いがある。これは相手より遅く立つ、と
誤解されているがけしてそうではない。向こうの声で立つ。向こう
が立てば立つ。しかし、立った瞬間には機先を制している。これを
いわゆる”後の先”というのだが、立った瞬間には十分な体勢にな
っている。具体的には次である。
双葉山は、腰を割って足をきめると、まず左手をつく。右手はひざ
の上にあって、相手の動きを見ながら合わせていって、サッとおろ
す。おろして、砂についたときが立ったときである。だから、おろ
すのは相手のほうが早くても、立って土俵から手が離れる瞬間、双
葉山のほうが早いのである。
<大相撲1969年2月号 相撲技論小坂秀二筆 読売新聞社刊より>

後の先の立ち合いは相手より遅れて立つように映るがけしてそうで
ないことが読み取れる。まさに極意中の極意である。
さて双葉山の横綱時代の平幕戦の成績は117勝14敗である。69連勝
がストップした場所は5勝3敗だった。横綱4場所が系統別総当た
りであり、13場所が東西制であった。双葉山から2つ金星を得た力
士は鹿島洋、櫻錦、豊嶋である。金星配給率は10.7%である。平幕
と7番取れば0.7金星を与えることになる。
今日の運勢が気になったら
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