土俵と女性|日本相撲協会はどう説明してきたか。理事長談話の原文と1978年から2026年までの出来事の年表

日本相撲協会は2018年(平成30年)4月28日の理事長談話で、歴代の理事長や理事が挙げてきた理由を3つに整理して示した。相撲はもともと神事を起源としていること、大相撲の伝統文化を守りたいこと、大相撲の土俵は力士らにとって男が上がる神聖な戦いの場・鍛錬の場であること、の3つである。同じ談話で協会は、女性を不浄とみる神道の昔の考え方を根拠にしているという解釈を「誤解」と書き、緊急時・非常時は例外と書いた。この記事は、協会が何と書いたかと、いつ何が起きたかを、出典と日付つきで並べる。是非は書かない。読んだうえでどう考えるかは、読者に委ねる。

出典: 公益財団法人日本相撲協会理事長談話(平成30年4月28日)・同理事長声明(平成30年4月4日)。いずれも2026年9月18日に協会公式サイトから取得。土俵祭そのものの手順は土俵とは・土俵祭へ。

目次

協会は何と書いたか|原文の一覧(2018年の声明・談話と事業報告書)

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この問いは、要約を重ねるほど言葉が強くなったり弱くなったりする。協会が公式サイトと事業報告書に書いた言葉を、書かれたまま並べる。表の「原文」の列は一字も変えていない(原文の注記号 ※1 などだけ外した)。

いつどの文書原文
2018年(平成30年)4月4日理事長声明応急措置のさなか、場内アナウンスを担当していた行司が「女性は土俵から降りてください」と複数回アナウンスを行いました。行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます。
2018年4月28日理事長談話(1)大相撲は、女性を土俵に上げないことを伝統としてきましたが、緊急時、非常時は例外です。人の命にかかわる状況は例外中の例外です。
同理事長談話(2)あいさつや表彰などのセレモニーでも、女性を土俵に上げない伝統の例外にしないのはなぜなのか、協会が公益財団法人となった今、私どもには、その理由を改めて説明する責任があると考えます。
同理事長談話(2)この問題は過去にも議論されたことがありました。そうした折りに歴代の理事長や理事は、だいたい次の3つの理由を挙げてきました。第一に相撲はもともと神事を起源としていること、第二に大相撲の伝統文化を守りたいこと、第三に大相撲の土俵は力士らにとっては男が上がる神聖な戦いの場、鍛錬の場であること、の3つです。
同理事長談話(2)「協会は女性を不浄とみていた神道の昔の考え方を女人禁制の根拠としている」といった解釈が語られることがありますが、これは誤解であります。
同理事長談話(2)しかしながら、大相撲にとっての神事とは、農作物の豊作を願い感謝するといった、素朴な庶民信仰であって習俗に近いものです。
同理事長談話(2)ただし多くの親方たちの胸の中心にあったのは、第三の「神聖な戦い、鍛錬の場」という思いではなかったかと思います。
同理事長談話(2)当然のことですが、私どもがこだわりを持つのは、大相撲の土俵に限ります。
同理事長談話(2)この問題につきましては、私どもに時間を与えていただきたくお願い申し上げます。生沼教授らの調査から10年たちました。再度調査を行い、外部の方々のご意見をうかがうなどして検討したいと考えます。
同理事長談話(3)ちびっこ相撲こうした訴えが実際に寄せられた以上、ちびっこ相撲はいったん休止し、そのやり方を根本から見直したいと考えます。2、3人の子供たちが一斉に1人の関取にぶつかるやり方を改め、けがをしない安全なちびっこ相撲を考えて、再開をめざします。合わせて、女子の参加についても再検討いたします。
同理事長談話 おわりに大相撲を支えてくださるファンの方々に男女の区別はありません。
2018年度(平成30年度)事業報告書「4.土俵と女性の問題について」本件に関して、協会は今後丁寧な調査と検討を行うことを決定、理事長談話を発表し、この調査を目的とした、土俵と女性に関する調査委員会を発足させた。
2019年度(令和元年度)事業報告書「4.土俵と女性の問題について」土俵と女性に関する調査委員会を開催し、過去の調査方法やその結果を検証しつつ、今後の調査の方向性を検討を行った。
2020年度〜2025年度(令和2〜7年度)事業報告書「土俵と女性」の項目なし(当サイトが各年度のPDFを「女性」で検索した範囲。2026年9月18日確認)
出典: 日本相撲協会「理事長声明」(平成30年4月4日)、「理事長談話」(平成30年4月28日・理事長 八角信芳)、「平成30年度 事業報告書」「令和元年度 事業報告書」(いずれもPDF・公式サイト業務・財務情報に掲載)。2026年9月18日に取得して書き写した

いつ何が起きたか|出来事の年表(1978年〜2026年)

協会の文書と、国の文書、報道の記事で、2つ以上の出典が一致した出来事だけを載せる。1つの出典にしか無い出来事(協会談話が引く2004年からの観客調査、2018年4月の質問主意書と答弁書、2019年度の委員会開催)はこの表に入れず、それぞれ上の原文表と下の各節で文書そのものを引いている。

年月日出来事出典
1978年(昭和53年)5月労働省の森山真弓・婦人少年局長が協会にこの問題を尋ね、伊勢ノ海理事(元横綱柏戸)が説明した。nippon.comは、同じ年に蔵前国技館の「わんぱく相撲」決勝大会で女子児童の出場が認められなかったことへの抗議だったと書いている協会談話(2018年4月28日)/nippon.com(2025年11月20日)
1990年(平成2年)1月森山真弓官房長官が内閣総理大臣杯を自ら手渡したいと協会に伝え、認められなかった。協会談話は、同月に出羽海理事(元横綱佐田の山)が森山氏に面会したと書いている協会談話/衆議院 質問第二一七号(2018年4月6日)/nippon.com
2000年(平成12年)春場所大阪での春場所で、太田房江・大阪府知事が優勝力士への知事賞を土俵上で自ら授与したいと求め、認められなかったnippon.com(2025年11月12日・11月20日)/衆議院 質問第二一七号
2018年4月4日春巡業の舞鶴(京都府)で、多々見良三市長が土俵上のあいさつ中に倒れた。客席から駆けつけた女性が心臓マッサージを行い、行司の場内アナウンスが女性に土俵から降りるよう複数回呼びかけた。同日夜、理事長声明協会声明(4月4日)/協会談話/衆議院 質問第二一七号/nippon.com(2025年11月12日)
2018年4月6日春巡業の宝塚(兵庫県)で、中川智子市長が土俵下に設けた台からあいさつをした協会談話/衆議院 質問第二一七号/nippon.com
2018年 春巡業宝塚・静岡などの巡業で、ちびっこ相撲への女子の参加を遠慮してもらう扱いになった。田口は4月15日の記事で、女の子が「楽しみにしていたのに残念」と語っていたことを書いている協会談話(3)/田口 18454(2018年4月15日)
2018年4月28日理事会に「土俵と女性に関する課題の件」。同日、八角理事長の談話を公表協会談話/平成30年度 事業報告書/nippon.com
2018年7月26日理事会に「土俵と女性に関する調査委員会発足の件」。2源が一致しない行:nippon.comは委員会の新設を「19年3月」と書いており、協会の事業報告書の理事会記録と時期が食い違う。ここでは協会の記録を採り、報道の記述を併記した平成30年度 事業報告書(理事会の議題)/nippon.com(時期が一致しない)
2025年11月11日木原稔官房長官が記者会見で、高市早苗首相による内閣総理大臣杯の授与について問われ、首相は伝統・文化を大切にしたい意向だと述べた共同通信(2025年11月11日・nippon.com掲載)/nippon.com(2025年11月12日・11月20日)
2025年11月23日九州場所千秋楽。内閣総理大臣杯は井上貴博首相補佐官が首相の代理として授与したnippon.com「2025年11月 日本の出来事」(2025年12月1日)。同じnippon.comの11月20日付の記事にも同じ記述がある(更新日の表示は無い)
2026年1月25日初場所千秋楽。内閣総理大臣杯は松本洋平文部科学大臣が首相に代わって授与した。共同通信は1月12日に、首相が表彰式で自ら土俵に上がって授与することを見送ると伝えていた文部科学省(2026年1月25日)/共同通信(1月12日・nippon.com掲載)
出典: 上の各文書のURLは記事末尾の「出典一覧」にまとめた。2026年9月18日時点で、2026年3月以降の本場所で内閣総理大臣杯を誰が授与したかは当サイトで確認していないため、この表には載せていない。1つの出典にしか無い出来事(例: 田口が18450でテレビ報道を引いて書いた1957年の愛媛巡業の写真)も載せていない

協会が挙げた3つの理由|2018年4月28日の理事長談話

2018年4月28日、八角信芳理事長(元横綱北勝海)の名で談話が出た。(1)舞鶴市での対応、(2)宝塚市長に土俵下からのあいさつをお願いしたこと、(3)ちびっこ相撲で女子の参加を遠慮してもらったこと、の3部と「おわりに」からなる。理由が書かれているのは(2)で、協会はまず自分たちに説明の責任があると書いたうえで、こう続けている。

この問題は過去にも議論されたことがありました。そうした折りに歴代の理事長や理事は、だいたい次の3つの理由を挙げてきました。

第一に相撲はもともと神事を起源としていること、第二に大相撲の伝統文化を守りたいこと、第三に大相撲の土俵は力士らにとっては男が上がる神聖な戦いの場、鍛錬の場であること、の3つです。

日本相撲協会 理事長談話(2)(平成30年4月28日・協会公式サイト・2026年9月18日取得)。原文の注記号 ※1・※2 は外した。注には「相撲」が相撲全般を、「大相撲」が大相撲だけを指すとある

談話は3つを並べたあとで、重さの違いにも触れている。「ただし多くの親方たちの胸の中心にあったのは、第三の「神聖な戦い、鍛錬の場」という思いではなかったかと思います」。3つのうち第三を、談話は多くの親方の胸の中心にあったものとして書いている。

談話には、過去の理事の言葉が2つ引かれている。談話によれば、昭和53年(1978年)5月、当時の労働省の森山真弓・婦人少年局長からこの問題について尋ねられた伊勢ノ海理事(元横綱柏戸)は、こう説明した。

けっして女性差別ではありません。そう受け取られているとしたら大変な誤解です。土俵は力士にとって神聖な闘いの場、鍛錬の場。力士は裸にまわしを締めて土俵に上がる。そういう大相撲の力士には男しかなれない。大相撲の土俵には男しか上がることがなかった。そうした大相撲の伝統を守りたいのです

伊勢ノ海理事(元横綱柏戸)の説明として理事長談話が引いたもの。昭和53年(1978年)5月

もう1つは、のちに女性初の内閣官房長官となった森山氏に平成2年(1990年)1月に面会した出羽海理事(元横綱佐田の山)の言葉で、「女性が不浄だなんて思ってもいません。土俵は力士が命をかける場所ということです」と述べたと談話は書いている。どちらも談話の中で協会が引いた言葉で、当サイトは当時の記録そのものに当たっていない。

範囲についても談話は一文を置いている。「当然のことですが、私どもがこだわりを持つのは、大相撲の土俵に限ります」。江戸時代中ごろの勧進相撲以来の伝統として、大銀杏、締め込み、部屋での共同生活と並べて「関取の大銀杏と締め込み、部屋制度のもとでの男の共同生活などとともに、土俵は男の戦いの場という約束ごとも、江戸の大相撲以来の伝統です」と書いている。アマチュアの相撲や女子相撲については、この談話は何も書いていない。

緊急時は例外|2018年4月4日の声明と4月28日の談話

4月4日の舞鶴巡業のあと、同じ日付で理事長声明が出ている。全文は短い。下に引いた2つの段落の間には、市長の無事を祈る一文と、応急措置をした女性への感謝の一文がある。

本日、京都府舞鶴市で行われた巡業中、多々見良三・舞鶴市長が倒れられました。

(中略)

応急措置のさなか、場内アナウンスを担当していた行司が「女性は土俵から降りてください」と複数回アナウンスを行いました。行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます。

日本相撲協会 理事長声明(平成30年4月4日・協会公式サイト・2026年9月18日取得)

4月28日の談話(1)は「大相撲は、女性を土俵に上げないことを伝統としてきましたが、緊急時、非常時は例外です。人の命にかかわる状況は例外中の例外です」と書いている。協会談話は冒頭で「看護師の方をはじめ女性の方々」と書いている。氏名はどの出典も出していないので、当サイトも書かない。

ちびっこ相撲については談話(3)にある。「ちびっこ相撲は、以前は男子に限っていましたが、平成24年の巡業の際に、女子を参加させたいとの要望が複数寄せられました。当時の北の湖理事長が「ちびっこ相撲は土俵の伝統とは別」と考え、要望に応えることにしました」。そのうえで、けがの心配を理由に女子の参加を遠慮してもらったこと、勧進元に理由を説明していなかったことを書き、「こうした訴えが実際に寄せられた以上、ちびっこ相撲はいったん休止し、そのやり方を根本から見直したいと考えます」「2、3人の子供たちが一斉に1人の関取にぶつかるやり方を改め、けがをしない安全なちびっこ相撲を考えて、再開をめざします」「合わせて、女子の参加についても再検討いたします」と結んでいる。

土俵祭・神事との関係で協会が書いていること

理由の第一に「神事」が挙がっているので、談話はその言葉の説明に紙幅を割いている。まず、神道の昔の考え方を根拠にしているという解釈を退けた。

「協会は女性を不浄とみていた神道の昔の考え方を女人禁制の根拠としている」といった解釈が語られることがありますが、これは誤解であります。

理事長談話(2)

そのうえで、吊屋根など神道に由来する様式を伝統文化として大事にしていること、各地の神社で奉納相撲が行われていることを挙げ、神事という言葉の中身をこう説明している。「しかしながら、大相撲にとっての神事とは、農作物の豊作を願い感謝するといった、素朴な庶民信仰であって習俗に近いものです」。土俵で行う儀式については「大相撲の土俵では「土俵祭(神様をお迎えする儀式)、神送りの儀」など神道式祈願を執り行っています」と書き、注(※3)で祀る対象を列挙している。

大相撲の土俵では、古事記や日本書紀に力士の始祖として登場する野見宿禰尊をはじめ、戸隠大神、鹿島大神や、吊屋根の房に化体される中国の神話の四神獣(青竜、朱雀、白虎、玄武)をお祀りしています。

理事長談話 注(※3)

続けて「しかし、力士や親方ら協会員は当然のことながら信教に関して自由であり、協会は宗教におおらかであると思います」とあり、歴代の理事長や理事が神事を持ち出しながら女性差別の意図を否定してきたのは、こうした背景があったからだ、と談話は説明している。土俵祭で何をするか、誰が見られるかは、当サイトの土俵とは・土俵祭に協会公式の案内と田口の記述をまとめてある。

観客のいない両国国技館の本土俵。俵の内側に砂がならされ、周囲に座布団が並ぶ
両国国技館の本土俵。田口が2018年6月13日の記事(女人禁制問題その後)で使った写真。撮影日はファイル名に無いため書かない。写真:田口 通廣(撮影)

協会が引いた数字|2004年からの観客調査と「再度調査」

談話(2)の終わりに、数字が1か所だけ出てくる。

平成16年から3年間、東海大学体育学部の生沼芳弘教授らが大相撲の観客の女人禁制に関する意識調査を行ったことがありました。大相撲の土俵の女人禁制に反対しないと答えた人はどの年も6割以上、表彰の時に女性が土俵に上がれないことにも反対しないと答えた人は5割以上いらっしゃいました。

この問題につきましては、私どもに時間を与えていただきたくお願い申し上げます。生沼教授らの調査から10年たちました。再度調査を行い、外部の方々のご意見をうかがうなどして検討したいと考えます。

理事長談話(2)。数字は協会が談話の中で引いたもので、当サイトは元の調査に当たっていない。注(※5)には「生沼教授は、論文「大相撲における女人禁制の研究Ⅰ~Ⅶ」の中で、太田房江氏が全国初の女性知事として大阪府知事に在任していた時、太田氏から依頼されたのをきっかけで調査を始めたと明らかにしています」とある

「再度調査を行い、外部の方々のご意見をうかがうなどして検討したい」の、その後を追える公開文書は事業報告書である。協会は毎年度の事業報告書を公式サイトの業務・財務情報に置いている。平成30年度の報告書には、4月28日の理事会に「土俵と女性に関する課題の件」、7月26日の理事会に「土俵と女性に関する調査委員会発足の件」が議題として載り、事業の項に「本件に関して、協会は今後丁寧な調査と検討を行うことを決定、理事長談話を発表し、この調査を目的とした、土俵と女性に関する調査委員会を発足させた」とある。令和元年度は「土俵と女性に関する調査委員会を開催し、過去の調査方法やその結果を検証しつつ、今後の調査の方向性を検討を行った」。令和2年度から令和7年度の報告書には「土俵と女性」の項目が無い。これは当サイトが各年度のPDFを「女性」の語で検索した範囲での不在で、協会が別の形で公表している可能性は残る。委員会の結論が公表されたかどうかは、2026年9月18日時点で当サイトは確認できていない。

政府はどう答えたか|2018年の質問主意書と答弁書

宝塚巡業と同じ4月6日、櫻井周衆議院議員が質問主意書を提出した。質問は、協会が公益財団法人であることを挙げて「公益財団法人として適切であるかどうか、政府の見解を示されたい」と求めるもので、経緯として「これまでも元内閣官房長官森山眞弓氏、元大阪府知事・現参議院議員の太田房江氏が表彰時に土俵に上がることを拒まれた経緯がある」と書いている。4月17日に受領された答弁書は、次の一文だけである。

御指摘の「「女性は土俵に上がってはいけない」との公益財団法人日本相撲協会のしきたり」の取扱いについては、公益財団法人日本相撲協会において自主的に判断されるべきものと考えており、お尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。

衆議院 答弁第二一七号(平成30年4月17日受領・内閣総理大臣 安倍晋三)。質問は質問第二一七号。いずれも2026年9月18日取得

政府は協会の判断に委ねる、という形である。国が相撲を国技と認定しているかという別の問いにも、政府は2011年の答弁書で「認定の基準、考え方等を定めたものはない」と答えており、こちらは相撲は国技かに原文を置いている。

内閣総理大臣杯は本場所の千秋楽に土俵上で優勝力士へ渡される。2025年11月の九州場所では井上貴博首相補佐官が、2026年1月の初場所では松本洋平文部科学大臣が、高市早苗首相の代理として授与した(nippon.com・文部科学省)。文部科学省の記録には「表彰式では、松本大臣が高市総理に代わり、安青錦関に表彰状と内閣総理大臣杯を授与しました」とある。首相が自ら土俵に上がらなかった理由について、政府側の言葉として2つ以上の出典で一致するのは、官房長官が「伝統・文化を大切にしたい」という首相の意向を述べた、というところまでである。

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当サイトの田口はどう書いたか|2018年4月から6月の5本

田口はこの問題について2018年4月5日から6月13日までに5本の記事を書いている。いずれも田口の意見を含む記事で、ここでは何を書いたかだけを引く。舞鶴の翌日、田口は「土俵は女人禁制の伝統がある。しかし、ことは人命であり、緊急を要する」と書いた(永遠のテーマ?女性土俵問題・4月5日)。4月15日には「協会は女人禁制の理由を明確にしたほうがいい。この問題がスッキリしないのはその点にある」と書き(協会の女人禁制の理由は不明確)、4月28日の談話のあと、6月13日の記事では「その後協会は『土俵は神聖な戦いの場、鍛錬の場』という趣旨を打ち出した」と受け、土俵に直接触れない「組み立て式ブリッジ」を置く案を書いている(女人禁制問題その後)。

ほかに土俵女人禁制問題再び(4月6日・宝塚)とまだまだ続く土俵女人禁制問題(4月8日)がある。田口がこれらの巡業の会場にいたとは、どの記事にも書かれていない。

土俵と女性についてよくある質問

Q. なぜ女性は土俵に上がってはいけないのですか?
日本相撲協会は2018年4月28日の理事長談話で、歴代の理事長や理事が挙げてきた理由を3つに整理しています。相撲が神事を起源とすること、大相撲の伝統文化を守りたいこと、大相撲の土俵は力士にとって男が上がる神聖な戦いの場・鍛錬の場であること、です。談話はこのうち第三の理由が多くの親方の胸の中心にあったのではないか、とも書いています。

Q. 大相撲の土俵は女人禁制ですか?
協会は談話で「大相撲は、女性を土俵に上げないことを伝統としてきました」と書いています。規則の条文としてどこに書かれているかは、当サイトが確認した協会の公開文書(談話・事業報告書)には見当たりませんでした。談話は「私どもがこだわりを持つのは、大相撲の土俵に限ります」とも書いています。

Q. 女性は不浄だから、という理由ですか?
協会はその解釈を「誤解」と書いています。談話は、大相撲にとっての神事は豊作を願い感謝する素朴な庶民信仰で習俗に近いものだと説明し、歴代の理事長や理事が女性差別の意図を一貫して否定してきたと述べています。

Q. 緊急時でも女性は土俵に上がれないのですか?
協会は緊急時を例外としています。2018年4月28日の談話に「緊急時、非常時は例外です。人の命にかかわる状況は例外中の例外です」とあります。4月4日の声明は、舞鶴でのアナウンスを「人命にかかわる状況には不適切な対応でした」と書いています。

Q. 土俵に上がった女性は誰ですか?
2018年4月4日の舞鶴巡業で、倒れた市長の救命のため客席から駆けつけた女性たちです。協会談話は「看護師の方をはじめ女性の方々」と書いています。氏名はどの出典も公表していないので、当サイトも書きません。

Q. 土俵の女人禁制はいつからですか?
協会談話は、土俵は男の戦いの場という約束ごとを「江戸の大相撲以来の伝統」と書いています。始まりの年を特定した公式の記述は、当サイトが確認した範囲にはありません。

Q. 2018年以降、協会の方針は変わりましたか?
談話で「再度調査を行い、外部の方々のご意見をうかがうなどして検討したい」と書き、平成30年度の事業報告書に調査委員会の発足、令和元年度の報告書に委員会の開催が載っています。令和2年度以降の事業報告書には項目が無く、結論が公表されたかどうかは2026年9月18日時点で当サイトは確認できていません。2025年11月と2026年1月の本場所では、内閣総理大臣杯は首相の代理が授与しました。

Q. 女子相撲はどうなっていますか?
協会談話は、こだわりの範囲を「大相撲の土俵に限ります」と書いています。アマチュアの女子相撲について、談話は触れていません。当サイトも、この記事では扱いません。

出典一覧(2026年9月18日取得)

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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