相撲の歴史と起源|神事から大相撲まで わかりやすく解説【年表つき】

相撲は古代の神事に起源を持つとされる日本の伝統格闘技。力くらべの神話や農耕の祈りから生まれ、長い時間をかけて宮中の行事、寺社の興行、そして今日の国技「大相撲」へと姿を変えてきた。

テレビで力士がぶつかり合う場面を見て、「相撲っていつから始まったのだろう」「なぜ土俵に塩をまくのだろう」と気になった人は多い。相撲は単なるスポーツではなく、神に豊作を祈り、力を捧げる儀式から育ってきた。だから取組の前に塩をまき、四股を踏み、勝っても表情を変えない。この記事では、神話の時代から現在の大相撲までの流れを、確かな節目だけをたどりながら、はじめての人にも分かるようにまとめた。年号がはっきりしないところは「諸説ある」と正直に書く。相撲の歴史は、分からないことを分からないまま受け止めるところから面白くなる。

目次

相撲の起源は神事にある|神話と力くらべ

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相撲のいちばん古い姿は、勝負を競うスポーツではなく、神に捧げる儀式だったとされる。土地を踏み固めて邪気を払い、収穫を祈る。その所作のなかに、相手と組み合い、力をぶつけ合う形が含まれていた。今も取組の前に力士が塩をまいて土俵を清め、四股を踏んで地を踏み鎮めるのは、この神事の名残と考えられている。

起源を語るとき、よく引かれるのが日本の古い神話に登場する力くらべの物語である。神々が国の主導権を力で決めたという伝承や、人と人とが天皇の前で力を競ったという伝承が、後の世に「相撲の始まり」として語り継がれてきた。ただし、これらは神話・伝説の領域であり、いつ実際に起きたかを年号で示せるものではない。「相撲は神事に起源を持つ」とまでは言えても、「西暦何年に始まった」と断定できる記録は残っていない。ここは諸説あると受け止めるのが正確である。

はっきりしているのは、相撲が早い時期から「神に見せ、神に捧げる力技」として扱われてきたことだ。豊作を占い、神意をうかがう手段として各地の祭りに取り入れられ、その流れが現代の奉納相撲や土俵祭りにつながっている。

古代から中世へ|宮中行事「相撲節会」の時代

祭りや占いだった相撲は、やがて朝廷の行事として整えられていく。古代の宮中では、毎年、全国から力自慢を集めて天皇の前で取組を行う「相撲節会(すまいのせちえ)」が催されたとされる。これは娯楽であると同時に、国の安泰や豊作を祈る公的な儀式でもあった。力士は今の取組とは違う作法で組み合い、勝敗には占い的な意味も込められていたという。

相撲節会は数百年にわたって続いたが、やがて政治の混乱や武家の台頭とともに途絶えていく。ここで相撲は宮中の手を離れ、武士の鍛錬としての「武家相撲」へと役割を移していった。戦の備えとして組み打ちの技を磨く場であり、力比べは実用の意味を帯びた。神事として始まり、宮中の格式をまとい、武芸へと姿を変える。相撲は時代ごとに居場所を変えながら生き延びてきた。

江戸時代の興行化|勧進相撲と大相撲の原型

相撲が「見せて稼ぐ興行」になったのは江戸時代である。きっかけは「勧進相撲(かんじんずもう)」だった。勧進とは、寺社の建立や修復のために寄付を募ること。その費用を集める手段として相撲が開かれ、入場料をとって観客に見せる形が広まった。神事から始まった相撲が、人を集め、銭を生む娯楽へと大きく舵を切った瞬間である。

江戸の相撲では、力士を抱える組織や番付の仕組みが整い、東西に分かれて競う形ができあがった。横綱という呼び名も、この時代の儀式から生まれている。土俵の家元だった吉田司家が、しめなわ(綱)を腰に締めて一人で行う土俵入りを上覧相撲の演目として考案し、これが好評を博した。記録によれば、谷風と小野川という二人の力士が、寛政元年(1789年)十一月の冬場所七日目から、初めてこの一人土俵入りを披露したとされる。腰に締めたしめなわが「横綱」と呼ばれ、後に最高位の称号として定着していった。
(出典:当サイト「横綱10大史1 その起源」)

当時の谷風も小野川も地位は関脇だった。つまり横綱は、もともと番付の地位ではなく、土俵入りを許された者に与えられる名誉の称号だった。この江戸の興行の仕組みと作法が、現在の大相撲の骨格になっている。

近代化と国技館|大相撲・国技としての確立

明治に入ると、相撲は近代的な興行へと整えられていく。大きな転機が、明治42年(1909年)の両国国技館の開設だった。それまで相撲は天候に左右され、雨が降れば中止になり、いつ千秋楽を迎えるか分からないこともあった。屋根のある常設の館ができたことで、予定通りに本場所を開けるようになった。これは相撲史を前後に分ける画期だったとされる。
(出典:当サイト「国技館誕生は団体戦の始まり」「幕内力士の人数 明治国技館開設編」)

国技館の開設とともに、東西に分かれて勝ち星を競う団体戦(東西対抗戦)が始まった。今のように一人の力士が優勝を争う「個人優勝」の制度が整ったのは、もう少し後の大正15年からである。引き分けや預かりといった旧来の不合理な制度を改める必要があったためだ。私たちが当たり前だと思っている「優勝争い」の歴史は、意外と新しい。

建物としての国技館も移り変わってきた。戦後、旧両国国技館が占領軍に接収されて使えなくなると、大相撲は開催場所を探してさまよう時期を過ごす。そこで旧海軍の払い下げ鉄骨を使って建てられたのが蔵前国技館で、昭和25年に仮設で始まり、約31年間使われた。そして昭和60年(1985年)から、現在の両国国技館が使われている。
(出典:当サイト「蔵前国技館とは|両国国技館との違いと歴史」)

相撲の歴史 年表|確かな節目でたどる流れ

ここまでの流れを、年号をはっきり示せる確かな節目だけで整理する。神話時代の起源は年号を確定できないため、「諸説あり」として扱う。

時代できごと
神話・古代力くらべ・豊作祈願の神事として相撲の原型が生まれたとされる(年号は確定できず諸説あり)
古代(宮中)朝廷の行事「相撲節会」が催され、天皇の前で力士が取組を行ったとされる
中世相撲節会が途絶え、武士の鍛錬「武家相撲」へと役割が移る
江戸時代寺社の資金集め「勧進相撲」として興行化。番付・東西の仕組みが整う
1789年(寛政元年)谷風・小野川が初めて一人土俵入りを披露。腰のしめなわが「横綱」と呼ばれる
1909年(明治42年)両国国技館が開設。常設の館で本場所が安定して開けるようになる。東西対抗の団体戦が始まる
1926年(大正15年)現在につながる個人優勝の制度が整う
1985年(昭和60年)現在の両国国技館が完成し、大相撲の本拠地となる

相撲の歴史によくある質問

相撲はいつから始まったの?

「西暦何年に始まった」と言い切れる記録は残っていない。相撲のいちばん古い姿は、豊作を祈り神に力を捧げる神事だったとされ、その起源は神話の時代までさかのぼる。年号を確定できる節目としては、江戸時代に興行として広まり、1789年に横綱の一人土俵入りが披露され、1909年に両国国技館が開設されて近代的な大相撲の形が整った、という流れでとらえると分かりやすい。

相撲が「国技」なのは法律で決まっているの?

相撲を国技と定めた法律はない。「国技」という言葉は、明治末に両国国技館が建てられ、相撲の常設館を「国技館」と名づけたことを一つのきっかけに広まったとされる。法律で正式に指定されているわけではなく、長い歴史と神事に根ざした格式から、人々のあいだで国技として受け止められてきた、というのが正確な説明である。「法律で決まっている」と書いてある情報を見かけたら、それは誤りなので注意してほしい。

相撲が神事だというのは本当?

本当である。相撲は神に豊作を祈り、力を捧げる儀式から育ってきたとされ、その名残は今の取組のあちこちに残っている。土俵に塩をまいて清めるのも、四股を踏んで地を鎮めるのも、勝っても大げさに喜ばないのも、神事としての作法に由来すると考えられている。各地の神社で奉納相撲が続いているのも、相撲が神とともにある証である。

「横綱」はもともと地位ではなかったって本当?

本当である。横綱はもともと番付の地位ではなく、腰にしめなわ(綱)を締めて一人で土俵入りすることを許された力士に与えられる名誉の称号だった。1789年に最初の一人土俵入りを披露した谷風と小野川は、当時の地位は関脇である。つまり横綱は、強い大関に自動的に与えられる地位ではなく、特別に許された者だけがまとえる「綱」の称号として始まった。最高位の地位として定着したのは、後の時代になってからである。

あわせて読みたい|相撲の基本

歴史の次は、相撲そのものの仕組みを知ると観戦がぐっと面白くなる。土俵の上で勝負を決める技をまとめた「相撲の決まり手とは|全82手を一覧でやさしく解説」、軍配を握り取組をさばく行司の世界を解説した「相撲の行司とは?役割・階級・軍配・立行司までわかりやすく解説」、力士の体を支える食文化を描いた「力士の食事とちゃんことは|なぜ大きな体になるのか」、そして相撲部屋の系譜をたどる「相撲の一門とは|五系統の仕組みと年寄・理事選」も、あわせて読んでほしい。国技館そのものの歴史をもっと知りたい人は「蔵前国技館とは|両国国技館との違いと歴史」へどうぞ。

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