力士褒賞金は、十両以上の力士に本場所ごと年6回支払われる手当である。序ノ口に出世したときの3円を起点に、勝ち越し1点につき50銭ずつ積み上がる「持ち給金」が土台になり、実際の支給額はその4000倍。金星は10円、幕内最高優勝は30円、全勝優勝なら50円が一度に加わる。負け越しても減らない。持ち給金には地位ごとの最低額があり、横綱150円・大関100円・幕内60円・十両40円。4000倍すると1場所あたり60万円・40万円・24万円・16万円になる。
※金額と加算の仕組みは、相撲記者・田口道宏が本サイト「大相撲マネー事情」「大相撲マネー新事情」に記した数値による。4000倍した金額は当サイトで計算した。2026年8月10日時点。
関取の収入は月給だけではない。月給、力士褒賞金、優勝・三賞の賞金、幕内なら懸賞金、それに巡業手当がある。このうち力士褒賞金は仕組みがわかりにくい。円と銭で数える小さな数字が出てきて、それを4000倍する。しかも一度上がると引退まで下がらない。ここでは、その積み上がり方を表にする。
持ち給金とは
持ち給金は、力士が入門してから積み上げていく点数のようなものである。単位は円だが、そのまま受け取る額ではない。序ノ口に出世したところで3円が付き、そこから本場所の成績に応じて増えていく。十両以上に上がると、この持ち給金を4000倍した額が「力士褒賞金」として本場所ごとに支給される。年6場所あるので、年6回である。
大事なのは、負けても減らないことだ。持ち給金に減点はない。だから若いころに積み上げた分は、番付が下がっても目減りしない。長く相撲を取った力士ほど持ち給金が厚くなる。
持ち給金が増える場面と加算額
| 場面 | 持ち給金への加算 | 4000倍すると(1場所あたり) |
|---|---|---|
| 序ノ口に出世したとき | 3円 | 1万2,000円 |
| 勝ち越し1点につき | 50銭 | 2,000円 |
| 金星(平幕が横綱に勝つ)1個 | 10円 | 4万円 |
| 幕内最高優勝(全勝以外) | 30円 | 12万円 |
| 幕内最高全勝優勝 | 50円 | 20万円 |
| 負け越し | 減点なし | — |
「勝ち越し1点」は、8勝7敗なら1点、10勝5敗なら3点、15戦全勝なら8点である。1点50銭なので、全勝優勝した横綱はその場所だけで勝ち越し8点の4円と、全勝優勝の50円を積む。
4000倍という計算
支給額は次の式で出る。
1場所あたりの力士褒賞金 = 持ち給金(円) × 4000
金星1個で持ち給金が10円増えるので、4000倍して4万円。これは1場所あたりの増加分で、年6場所だと24万円になる。しかも減点がないから、その力士が十両以上にいるかぎり毎場所ついて回る。金星が「一生もの」と言われるのはここに理由がある。金星の条件と歴代の記録は大相撲の金星とはにまとめた。

地位ごとの最低支給標準額
持ち給金には地位ごとの最低額が決まっている。横綱に上がれば、それまでの積み上げが少なくても150円は保証される。
| 地位 | 持ち給金(最低額) | 最低支給額(1場所ごと) | 検算(持ち給金×4000) |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 150円 | 60万円 | 600,000円 ✓ |
| 大関 | 100円 | 40万円 | 400,000円 ✓ |
| 幕内 | 60円 | 24万円 | 240,000円 ✓ |
| 十両 | 40円 | 16万円 | 160,000円 ✓ |
横綱の60万円は1場所あたりなので、年6場所で360万円。月給とは別に入る。ただし、これは「最低額」であって、勝ち越しや金星、優勝を重ねてきた力士は持ち給金がこれを上回る。上回っている力士は、その額で計算される。
昇進のときにも加算がある。ただし、いくら加算されるのかを協会は公表していない。表にある地位ごとの最低額を下回らない、というところまでが確認できる範囲である。ここでは推定の数字を置かない。
序ノ口から横綱までの積み上がり順
田口はこの流れを次のように整理している。
- 序ノ口 出世時
- 幕下以下での勝ち越し点数
- 十両昇進時加算
- 十両での勝ち越し点数
- 幕内昇進時加算
- 前頭での金星
- 前頭〜関脇での勝ち越し点数
- 大関昇進時加算
- 大関での勝ち越し点数
- 大関での幕内最高優勝(全勝除く)
- 大関での幕内最高優勝(全勝)
- 横綱昇進時加算
- 横綱での勝ち越し点数
- 横綱での幕内最高優勝(全勝除く)
- 横綱での幕内最高優勝(全勝)
幕下以下で勝ち越した分も、そのまま持ち給金に乗る。ただし支給が始まるのは十両に上がってからで、幕下以下のうちは積むだけになる。逆に、十両から幕下に落ちるとその場所の支給はない。持ち給金そのものは残るので、戻ってくればまた支給が始まる。
幕下以下には褒賞金がない
幕下以下の力士には月給も力士褒賞金もない。本場所ごとの場所手当が収入になる。
| 段 | 場所手当(現行・1場所) | 2027年一月場所から |
|---|---|---|
| 幕下 | 16万5,000円 | 18万円 |
| 三段目 | 11万円 | 12万円 |
| 序二段 | 8万8,000円 | 9万5,000円 |
| 序ノ口以下 | 7万7,000円 | 8万2,000円 |
この場所手当のほか、幕下以下には勝星金と勝越金がある。2027年一月場所からは、これらも引き上げられる(日刊スポーツ2026年7月30日)。金額は発表されていない。
2027年一月場所からの変更点
日本相撲協会は2026年7月30日の理事会で、力士の待遇を改定すると発表した。力士褒賞金まわりで動くのは次の3つである。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 勝ち越し点の加算 | 今後アップする予定 | 田口道宏「大相撲マネー新事情」 |
| 幕下以下の勝星金・勝越金 | 引き上げ(金額未発表) | 日刊スポーツ 2026年7月30日 |
| 惜別金(引退時に支給) | 倍増 | デイリースポーツ 2026年7月30日 |
同時に関取の月給が8年ぶりに上がり、幕内の優勝賞金は倍の2000万円になる。詳しくは大相撲の優勝賞金はいくらと力士の給料はいくら?番付別の月給と年収ランキングに書いた。
力士褒賞金についてよくある質問
持ち給金は下がることがあるのか
下がらない。負け越しても減点はない。ただし十両より下に落ちると、その間は支給されない。
金星はいくらになるのか
持ち給金に10円が加わるので、1場所あたり4万円。年6場所で24万円になり、十両以上にいるかぎり続く。
力士褒賞金と月給はどちらが多いのか
月給が多い。横綱の月給は300万円(2027年一月場所から330万円)で、これが毎月出る。力士褒賞金の最低額は1場所60万円で、年6回だから年360万円になる。
引退したらどうなるのか
引退時には惜別金が支給され、2027年一月場所からは倍増する(デイリースポーツ2026年7月30日)。金額は公表されていないので、本サイトでは扱わない。
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