この記事の結論
名古屋場所2026の番付で、霧島は東の大関に座る。横綱は東・豊昇龍と西・大の里、西の大関は琴桜。番付発表は6月29日、初日は7月12日、千秋楽は7月26日、会場は名古屋IGアリーナ。霧島にとっては横綱昇進をうかがう二度目の綱とり場所になる。相手はその二横綱。だが、その二横綱がいま揺れている。3月の優勝で大関へ復帰し、5月場所では二横綱二大関が休場するなか一人残って決定戦まで進んだ霧島が、どこまで星を伸ばせるか。そこが名古屋最大の焦点になる。
東大関・霧島、二度目の綱とり場所へ
名古屋場所2026の番付で、霧島は東の大関に名前を刻んだ。横綱は東に豊昇龍、西に大の里。西の大関には琴桜が座る。番付発表は6月29日、初日は7月12日、千秋楽は7月26日。会場は名古屋IGアリーナ。NHKニュースの見出しも「綱とり目指す霧島 東の大関に」と打った。横綱昇進をうかがうのは、霧島にとって二度目になる。
綱とりとは、大関が二場所続けて優勝級の成績を残し、横綱の地位に手をかけにいく挑戦のこと。番付の頂点へ最後の一段を登るかどうか、その分かれ目の場所を指す。霧島は名古屋でその一段の前に立つ。ここでは番付全体の構造ではなく、霧島の綱とり一点に絞って焦点を追う。三役の顔ぶれや新入幕を含めた番付全体の読み解きは名古屋場所2026 番付(確定)読み解きにまとめてある。
| 地位 | 東 | 西 |
|---|---|---|
| 横綱 | 豊昇龍 | 大の里 |
| 大関 | 霧島 | 琴桜 |
なぜ今が綱とりなのか 「最後の砦」だった5月
霧島がここに立つまでの道のりは、平坦ではなかった。霧馬山として新入幕で敢闘賞を取り、2023年5月場所後に初めて大関へ上がった。だが大関に在位したのは6場所。45勝35敗10休でこの地位を明け渡し、関脇以下で11場所を過ごす。そこから這い上がった。直前3場所は11勝、11勝、そして2026年三月場所を12勝3敗の優勝で締め、大関へ戻ってきた。現行制度でゼロから大関に復帰したのは、汐ノ海・魁傑・照ノ富士に続く数少ない例。田口道宏氏はこの復帰を、照ノ富士に続く「再大関」と記している。
綱とりの土台になったのは、直後の5月場所だ。この場所は上位が崩れた。大の里が全休、豊昇龍が14日休場、安青錦が全休、琴櫻が4日休場、小結・高安も12日休場。横綱・大関でただ一人土俵に残ったのが霧島だった。田口氏は9日目の記述で「2横綱1大関休場、1大関瓦解で最後の砦が霧島」と書いている。場所を成り立たせる側に、霧島は立っていた。
その霧島が、序盤から飛ばした。6日目まで全勝。王鵬を寄り切ったこの日、田口氏は「今の霧島は相撲人生で最も充実しているに違いない」「勝負への執着を見た」と記す。5日目にはこうも書いた。「万全霧島がいるからこそ大相撲の崩壊を防いでいる」。土俵際の踏ん張りも見せた。13日目、琴栄峰を相手に土俵際でうっちゃり、物言いの末に逆転。9日目には若元春を、額から血をにじませながら寄り倒して1敗を死守している。8日目に豪ノ山のすくい投げを呼び込まれて初黒星を喫したものの、星はなお伸びた。
最後は3敗で若隆景との優勝決定戦へ進む。そして決定戦、若隆景に押し出されて土俵を割った。優勝は若隆景の2回目。霧島は綱への足がかりを、あと一番のところで逃した。この「最後の砦」の14日間が、名古屋の綱とりにそのまま接続している。
相手は二横綱 ただし、その二横綱が揺れている
名古屋で霧島の前に立つのは横綱・豊昇龍と大の里。相性だけ見れば、壁は高い。2026年3月時点の田口氏の集計で、「ここ1年」の対戦成績は大の里に0勝5敗、豊昇龍に2勝2敗。とくに大の里には勝ち星がない。番付発表の時点で、両横綱と名古屋で実際に当たるか、何日目になるかはまだ決まっていない。ただ、上位で星を伸ばすなら、いずれは越えなければならない相手であることは変わらない。
| 対戦相手 | 霧島の成績(田口集計・2026年3月時点「ここ1年」) |
|---|---|
| 大の里 | 0勝5敗 |
| 豊昇龍 | 2勝2敗 |
ところが、その二横綱自身が安定していない。田口氏は5月時点で、豊昇龍が3場所連続で横綱としての優勝から遠ざかっていると記し、6月時点では「8場所横綱優勝がない」と踏み込んだ。大の里についても「4場所優勝から遠ざかり、2場所連続休場」と書く。頂点に二人いながら、その二人が優勝争いの中心から外れている。両横綱の現状を正面から扱った七月場所の横綱論は、番付読み解きからたどれる。
つまり名古屋の構図は、こうなる。相性で見れば二横綱は壁。だが場所の流れで見れば、その壁が揺れている。霧島の優勝3回は、現役では大の里の5回に次ぐ水準で御嶽海と並ぶ。壁とチャンスが、同じ土俵に同居している。
どこまで星を伸ばせば、綱に手がかかるか
では、何勝すれば綱に届くのか。ここで田口氏は厳しい物差しを置く。初代横綱審議委員長・酒井忠正氏の言葉、「13勝以上の2場所連続優勝の線は守りたい」を引いた。そのうえで田口氏はこう書く。「12勝優勝は本来横綱に直結しない」「弱い横綱、物足りない横綱はいらない」。数字だけ並べれば、二場所続けて13勝以上の優勝という線が、横綱という地位の重さを支えている。
霧島は5月場所で優勝を逃しているため、名古屋でいきなり「二場所連続優勝」が完成するわけではない。だからこそ名古屋は、まず一段目を踏む場所になる。ここで星をどこまで伸ばし、優勝争いの中心に残れるか。その内容が、その先の綱とりの説得力を決めていく。番付発表時点で星数や勝敗を断定はできない。展望はあくまで展望にとどまる。
年齢の面では、田口氏は霧島を30歳とし、照ノ富士のような再起の再現は簡単ではないとしつつ、筋肉質ゆえに千代の富士のように長持ちする可能性にも触れている。かつて田口氏は2023年秋場所10日目、錦木にパワー負けした霧島について「たやすく負ける霧島は横綱になれない」と書いた。あれから評価は一変している。同じ書き手が、同じ力士を、別の言葉で書くようになった。その差が、名古屋に持ち込まれる。
key takeaways(よくある質問)
Q. 名古屋場所2026で霧島はどの地位ですか?
東の大関です。番付発表は6月29日、初日7月12日・千秋楽7月26日、会場は名古屋IGアリーナ。霧島にとって横綱昇進をうかがう二度目の綱とり場所になります。
Q. なぜ今が霧島の綱とりなのですか?
2026年三月場所を12勝3敗の優勝で締めて大関へ復帰し、直後の5月場所では二横綱二大関が休場するなか一人残って3敗・優勝決定戦まで進んだためです。決定戦では若隆景に敗れて優勝は逃しましたが、その奮闘が綱とりの土台になりました。
Q. 霧島は二横綱に勝てますか?
相性は厳しいです。田口氏の2026年3月時点の集計で、ここ1年の成績は大の里に0勝5敗、豊昇龍に2勝2敗。ただし両横綱自身も不調で、豊昇龍は8場所、大の里は4場所、横綱としての優勝から遠ざかっているとされます。名古屋で実際に対戦するかは番付発表時点で未確定です。
Q. 横綱になるには何勝が必要ですか?
田口氏は初代横綱審議委員長・酒井忠正氏の「13勝以上の2場所連続優勝の線は守りたい」を引き、「12勝優勝は本来横綱に直結しない」と記しています。二場所続けて13勝以上の優勝という線が、ひとつの目安になります。
あわせて読みたい。番付全体の構造は名古屋場所2026 番付(確定)読み解きに、初日からの観戦準備は名古屋場所2026 完全ガイドにまとめている。霧島の綱とりを追うなら、この2本と合わせて読むと立体的に見えてくる。