横綱昇進を検証する2|直前3場所38勝・4場所48勝・5場所60勝の案で柏戸から輪島まで

田口の案は、直前3場所で38勝、4場所で48勝、5場所で60勝のどれかを満たして初めて横綱の審議対象にする、というものだ。連載2回目のこの記事で柏戸から輪島までの7人に当てはめると、満たしたのは栃ノ海・佐田の山・北の富士・輪島の4人、満たさなかったのは柏戸・玉の海・琴櫻の3人だった。

7人の成績は田口 通廣が作った表(下の画像)による。直前3場所・4場所・5場所の合計と人数は当サイトが足した。いまの昇進の決まり(横綱審議委員会の内規と綱取り)は横綱昇進の条件とはにまとめている。

目次

田口の案|直前3場所38勝・4場所48勝・5場所60勝

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田口がこの案を考えたのは、豊昇龍が直前3場所33勝で横綱に上がったことがきっかけだった。連載1回目の横綱昇進を検証する1で、そのことを「ショッキングな出来事だった」と書いている。1回目は千代の山から大鵬までの7人、2回目のこの記事は柏戸から輪島までの7人を検証した。

案は、3つの物差しのどれか1つを満たせば審議に進める形で、5場所の合計まで見る。

柏戸から輪島までの7人|昇進前5場所の成績

横綱5場所前4場所前3場所前2場所前直前5場所の合計
柏戸◎13勝2敗12勝3敗10勝5敗11勝4敗12勝3敗58勝17敗
栃ノ海10勝5敗8勝7敗11勝4敗◎14勝1敗13勝2敗56勝19敗
佐田の山11勝4敗8勝7敗13勝2敗13勝2敗◎13勝2敗58勝17敗
北の富士9勝6敗9勝6敗12勝3敗◎13勝2敗◎13勝2敗56勝19敗
玉の海8勝7敗9勝6敗◎13勝2敗10勝5敗13勝2敗53勝22敗
琴櫻1勝2敗12休8勝7敗9勝6敗◎14勝1敗◎14勝1敗46勝17敗12休
輪島13勝2敗11勝4敗11勝4敗13勝2敗◎15勝0敗63勝12敗
◎は優勝。柏戸・栃ノ海は系統別総当たり、佐田の山は系統別総当たり4場所・部屋別総当たり1場所、ほかは部屋別総当たりの時代。輪島の5場所前は関脇。出典=田口 通廣 作成の表(下の画像)を当サイトが文字に起こした
横綱昇進前5場所の成績 柏戸〜輪島(田口 通廣 作成)
横綱直前3場所直前4場所直前5場所田口の案
柏戸33勝45勝58勝満たさない
栃ノ海38勝46勝56勝3場所38勝
佐田の山39勝47勝58勝3場所38勝
北の富士38勝47勝56勝3場所38勝
玉の海36勝45勝53勝満たさない
琴櫻37勝45勝46勝満たさない
輪島39勝50勝63勝3場所38勝・4場所48勝・5場所60勝
上の表から当サイトが足した勝ち星。右端の列は、田口の案のうち満たした物差し

7人の見立て|柏戸・玉の海・琴櫻は届かない

柏戸はどの物差しも満たしていない。直前3場所は33勝で、豊昇龍の先例にあたる。横綱昇進は時期尚早といわざるを得ない、と田口は書く。

栃ノ海は直前3場所38勝で、案を満たしている。ただ、手順どおりにいけば勝てるが盤石とはいえず、もう一場所見たほうが無難だった、と田口は見ている。

佐田の山
<佐田の山>

佐田の山は大関在位が17場所と長く、3場所連続13勝で横綱に上がった。横綱審議委員会が生まれてから初めての形だった。大鵬は、自分がいて最も苦労したのは佐田の山と語っていたという。

佐田の山と柏戸が引退し、大鵬が晩年に入って、横綱誕生の目途が立たないころだった。北の富士は連続優勝、3場所38勝で横綱に上がった。清國の新大関優勝に燃えた北の富士だった、と田口は書いている。

北の富士
<北の富士>

玉の海もどの物差しも満たしていない。玉の海には、12勝・12勝のあと13勝で優勝しながら横綱を見送られた過去があり、実際の昇進ではそれが考慮された。ここで見送っても、玉の海はりっぱで安定した横綱になっていた、と田口は見ている。

琴櫻は連続優勝したが、直前3場所は38勝に届いていない。32歳で晩年に入っており、もう1場所見たほうがよかった、というのが田口の見方である。

輪島は3場所39勝、4場所50勝、5場所63勝と、3つとも満たしている。基本に忠実で、うまさと強さを兼ね備えていた。田口は、文句なしの横綱昇進成績だったと書く。

輪島
<輪島>

連載のきっかけの豊昇龍と、連載のあとに横綱になった大の里

連載のきっかけになった豊昇龍(2025年一月場所のあと横綱)と、連載のあとに横綱になった大の里に案を当てはめると、どちらも満たしていない(当サイトの計算)。豊昇龍は直前3場所33勝・4場所42勝・5場所52勝、大の里は36勝・45勝・58勝だった。成績は日本相撲協会の力士プロフィールで確かめた。

横綱5場所前4場所前3場所前2場所前直前3場所・4場所・5場所
豊昇龍10勝5敗9勝4敗2休8勝7敗13勝2敗◎12勝3敗33勝・42勝・52勝
大の里◎13勝2敗9勝6敗10勝5敗◎12勝3敗◎14勝1敗36勝・45勝・58勝
◎は優勝。豊昇龍は令和6年五月場所〜令和7年一月場所(5場所とも大関)、大の里は令和6年九月場所(関脇)〜令和7年五月場所(大関)。出典=日本相撲協会の力士プロフィール(2026年9月28日確認)から当サイトが数えた

大の里は2025年五月場所の14勝1敗の優勝で横綱に上がった。その直前の横綱昇進基準に物申すで田口は、大の里の大関成績は9勝・10勝・12勝だとし、豊昇龍の昇進を先例として大の里に当てはめるのは事実上の横綱格下げにつながる、と書いている。

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横綱昇進の検証についてよくある質問

Q. 田口が考えた横綱昇進の案とは?
A. 直前3場所38勝、直前4場所48勝、直前5場所60勝のどれかを満たして初めて、横綱の審議対象にする案です。

Q. 柏戸から輪島までで案を満たしたのは誰ですか?
A. 栃ノ海・佐田の山・北の富士・輪島の4人です。柏戸・玉の海・琴櫻の3人は満たしていません(田口の表から当サイトが足した)。

Q. 輪島の昇進前の成績は?
A. 直前3場所39勝、4場所50勝、5場所63勝で、田口は文句なしの横綱昇進成績と書いています。

Q. 豊昇龍と大の里は案を満たしていましたか?
A. 協会の力士プロフィールで数えると、どちらも満たしていません。直前3場所は豊昇龍が33勝、大の里が36勝でした。

連載:横綱昇進を検証する1/横綱昇進を検証する2(この記事) 関連記事:横綱昇進基準に物申す/横綱昇進の条件とは/横綱昇進!その成績

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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