12勝ー8勝のあとの大関昇進

七月場所で12勝をあげた熱海富士。九月場所は大関昇進かという期
待はあったものの8勝に終わった。大関は振り出しに戻った。せめ
て10勝していたら翌場所につながった。惜しむ声は様々あった。と
ころが相撲史のなかには12勝ー8勝のあとに大関昇進を果たしたこ
とが2例あるのだ。

昭和47年九月場所、貴ノ花は大関をかける場所であった。10勝ー11
勝ー12勝ときていた。数字だけみるとこれだけで大関昇進してもよ
さそうにみえる。しかし、当時一人横綱の北の富士は乱調、3大関
は弱く誰が優勝するか予想がつかない状況だった。輪島は12勝優勝
の後8勝に終わって出直しの場所であった。

輪島
輪島

この場所は北の富士が復活し、全勝優勝を達成した。千秋楽を迎え
て貴ノ花は10勝4敗、輪島は12勝2敗で激突した。ここで貴ノ花対
輪島戦は大熱戦を展開し、水が入ったほどであった。水入り後輪島
が勝ったが、こんな大相撲をみせられてはと大関ダブル昇進の流れ
になった。輪島は12勝ー8勝ー13勝で大関になった。

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もう1例が豪栄道である。平成26年三月場所から12勝ー8勝をあげ
た。12勝のとき日馬富士に勝って殊勲賞を受賞している。続く8勝
のときも14勝1敗の白鵬に土をつけ殊勲賞を獲得している。8勝と
はいえ印象は強かった。

翌七月場所、当然豪栄道は大関をかける場所とはファンは認識して
いなかった。迎えた千秋楽2敗トップは横綱白鵬と大関琴奨菊であ
った。豪栄道は琴奨菊と対戦することになっていた。ところが豪栄
道が琴奨菊に勝てば大関に昇進するとの情報が入ってきた。この情
報を聞いた観客の一人は「豪栄道って今場所大関取りの場所だった
の?」と口にした。これが通常の感覚である。

豪栄道(手前)対琴奨菊戦
豪栄道(手前)対琴奨菊戦

豪栄道は堅くなることもなく、思い切り琴奨菊を攻め込んで勝利し
た。大関を確定した瞬間である。問題は豪栄道に大関の力があるか
どうかはっきりしなかったことである。大関とは最低でも10勝の成
績をあげ、ときには横綱以上の存在価値を示す。協会の看板であり、
責任感が求められる。ともかくこうして豪栄道は12勝ー8勝ー12勝
で大関に昇進した。

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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