安芸乃島と貴乃花の確執は、藤島部屋の兄弟弟子だった二人が、指導方針・考え方の違いから不仲になり(田口 通廣の記述)、部屋の移籍をめぐって決裂したもの。貴乃花が二子山部屋を継いだあと、移籍を願い出た元安芸乃島(当時は千田川親方)に貴乃花は許可の判を押さず、出入り禁止を通知する泥沼になった。確執は平成30年9月、貴乃花が協会を離れて終わった。
安芸乃島は藤島部屋から幕内に上がった第1号の力士で、最高位は関脇。田口の分析記事によれば三賞は計19回で最多、金星16個は史上最多で、いまは高田川部屋の師匠を務める(最高位と部屋は協会「年寄一覧」2026年9月16日取得)。
確執の発端|藤島部屋の兄弟弟子だった二人
元大関貴ノ花が二子山(初代若乃花)部屋から独立して藤島部屋をおこした年は、田口の本文では昭和55年、同じ記事に載せた田口の年表の画像では昭和57年である(協会の歴代大関では貴ノ花の大関在位は昭和56年1月まで、2026年9月27日確認)。のちに横綱2人・大関1人をはじめ多くの関取を出した部屋で、その幕内第1号が安芸乃島(当時は安芸ノ島)だった。昭和63年三月場所のことで、このとき貴花田は前相撲を取っている。

決裂のきざし|引退相撲に貴乃花が出なかった
引退は貴乃花のほうが早かった。その2場所後の平成15年五月場所で安芸乃島が引退し、年寄藤島を襲名した。
二人とも部屋付き(当時は二子山部屋)の親方として後進の指導にあたっていたが、安芸乃島の引退相撲に貴乃花が出ないなど、雲行きがあやしくなってきた。そのころ、師匠の二子山(元貴ノ花)は入退院を繰り返すようになっていた。
部屋継承と泥沼の移籍抗争
平成16年2月、貴乃花が二子山部屋を継承し、貴乃花部屋に改称した。5月には藤島が年寄名跡を千田川に変えている。このころから指導方針・考え方の違いにより、貴乃花と元安芸乃島の不仲は目立つようになった。

千田川(元安芸乃島)はついに部屋の移籍を申し出た。だが貴乃花は、田口の言葉では「なぜか移籍許可書類に承認の判を押さない」。千田川が破門を申し出ると、貴乃花は部屋への出勤停止・出入り禁止を通知し、行き場のない泥沼抗争に陥った。
平成16年9月、千田川は病床の二子山に保証人として判をもらい、手をさしのべてくれた高田川(元前の山)部屋に移った。高田川部屋は当時、高砂一門から破門されて無所属になっていた。無所属の2人は、理事選で出羽海一門に投票したと推測されたこともあった。

高田川部屋の継承と確執の終わり
平成21年8月、高田川の定年が近づいたところで年寄名跡を交換し、元安芸乃島が高田川部屋を引き継いだ。建物は新築している。
平成22年、貴乃花は一門の意向を無視して理事選に出馬し、当選した。その後は貴乃花グループとしてまとまっていくことになり、約1年後、高田川部屋は二所ノ関一門に加わった。
田口は「兄弟子安芸乃島と横綱貴乃花のプライドからおきたとされる2人の確執は、平成30年9月、貴乃花が協会を離れることになって終焉を迎えた」と書いている。
確執の経緯(年表)
| 年月 | できごと |
|---|---|
| 昭和55年(本文)/昭和57年(年表の画像) | 貴ノ花が二子山部屋から独立し、藤島部屋をおこす |
| 昭和63年三月場所 | 安芸乃島(当時は安芸ノ島)が藤島部屋の幕内第1号に。貴花田は前相撲 |
| 平成15年五月場所 | 安芸乃島が引退し藤島を襲名(貴乃花の引退は2場所前)。のちの引退相撲に貴乃花は出なかった |
| 平成16年2月 | 貴乃花が二子山部屋を継承し、貴乃花部屋に改称 |
| 平成16年5月 | 藤島が年寄名跡を千田川に変更。このころから不仲が目立つ |
| 平成16年9月 | 千田川が高田川部屋へ移籍(病床の二子山が保証人) |
| 平成21年8月 | 年寄名跡を交換し、元安芸乃島が高田川部屋を継承 |
| 平成22年 | 貴乃花が一門の意向を無視して理事選に出馬し、当選 |
| その約1年後 | 高田川部屋が二所ノ関一門に加わる |
| 平成30年9月 | 貴乃花が協会を離れ、確執が終わる |
安芸乃島と貴乃花の確執についてよくある質問
Q. 安芸乃島と貴乃花はなぜ不仲になった?
田口によると、平成16年に貴乃花が二子山部屋を継いだころから、指導方針・考え方の違いで不仲が目立つようになりました。二人の確執は、兄弟子と横綱のプライドからおきたとされています。
Q. 安芸乃島はなぜ高田川部屋に移った?
田口によると、平成16年ごろから貴乃花との不仲が目立ち、千田川(元安芸乃島)は部屋の移籍を申し出ました。貴乃花が移籍許可の判を押さなかったため、平成16年9月、病床の二子山に保証人の判をもらい、手をさしのべた高田川(元前の山)部屋に移りました。
Q. 確執はいつ終わった?
平成30年9月、貴乃花が協会を離れたことで終わりを迎えました。
Q. 安芸乃島はいま何をしている?
高田川部屋の師匠(高田川親方)です。協会の年寄一覧(2026年9月16日取得)では、最高位は関脇、役職は理事と表示されています。
Q. 安芸乃島の三賞と金星は?
田口の分析記事によると、三賞は殊勲賞7回・敢闘賞8回・技能賞4回の計19回で最多、金星16個は史上最多です。
安芸乃島の土俵での成績は、田口の分析記事強豪関脇安芸乃島を分析 上・中・下にある。
▶ あわせて読みたい:藤島部屋の歴史|貴ノ花が興し貴乃花部屋へ続いた部屋/横綱・貴乃花の歩み/高田川部屋の力士一覧