大相撲

理事長の任期3

元双葉山の時津風理事長急逝後、理事長となったの
は元出羽ノ花の武蔵川であった。出羽ノ花は現役時
代前頭筆頭が最高位であった。そんな武蔵川がどう
して理事長になれたのか。それは簿記を学び経理を
担当し、協会の財政を支えてきたからである。九州
場所開催にあたってどのくらいの費用がかかるか算
出している。

昭和44年三月場所2日目、世紀の大誤審がおきた。
大鵬の46連勝目が審判の誤審によってストップした。
この場所の興味は大鵬の連勝記録がほとんどを占め、
玉乃島の横綱狙いが残りであった。

<武蔵川理事長>

この判定に対する元出羽ノ花の武蔵川理事長の発言
が問題を大きくした。「誤審でお客さんが遠のくの
では」という記者の質問に対しこう言った。「そう
は思わない。ファンの中には大鵬が負けたと喜んで
いる人もいるだろう。相撲は複雑なものだと思って
かえって興味をそそられる人もいるんじゃないか」
と発言した。相撲評論家東富士氏は「それは理事長
という役職にある者の発言ではない。完全に野次馬
の言葉だ」と批判した。

昭和46年6月武蔵川(元出羽ノ花)理事長がぶちあ
げたどえらい改革案があった。それは地方場所では
幕下以下の力士を連れていかないというという仰天
的な改革案である。狙いは経費削減である。
1.幕下以下の地方場所の年間費用は1人60万円
(当時)かかる
2.十両以上だと体育館の使用時間が短縮できる
3.幕下以下の力士は蔵前国技館にて無観客で取り
組む
当時の大卒の初任給は4万3千円であった。

<当時の記事>

しかし、問題がないわけではなかった。
1.幕内・十両で休場力士が出て出場力士が奇数に
なったときどうするのか
2.横綱の綱締めはどうするのか 付け人は
3.親方が1人しかいない部屋は監督できない
4.関取1人の部屋は朝稽古に支障をきたす
5.江戸の大関より土地の三段目 地方出身力士を
楽しみにしている地元に反する

武蔵川理事長は構想をぶち上げて反響をうかがった
が、ひっこめざるを得なくなった。このどえらい改
革案は再浮上することなく、今日に至っている。

武蔵川理事長の任期は定年で終わり、約5年1カ月
であった。

 

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denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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