小兵はいつの時代でも土俵をわかせる存在である。十両では炎鵬が
土俵に上がると声援と拍手が一段と多くなる。幕内では藤ノ川に注
目が集まる。初上位の三月場所は大の里・豊昇龍の2横綱を倒し、
技能賞に輝いた。五月場所は惜しくも7勝8敗と負け越した。
七月場所は分岐点になる。勝ち越せば小結が見えてくる。小兵藤ノ
川には以前先々代の藤ノ川豪人を越えられるかをテーマにした。こ
れだけでも大変なことである。今はさらに別の期待も抱くようにな
った。

かつて元栃錦の春日野理事長は、旭國の大関昇進祝いでこう挨拶し
た。「旭國はピラニアと呼ばれています。私はマムシといわれ、若
乃花は鬼と呼ばれました。小兵力士にこういうニックネームがつけ
ばしめたものです」
旭國はさらに額がすりむけるほど稽古で体を固めた。本物の相撲取
りは旭國ひとりという記事が出たほどである。ニックネームはピラ
ニアから相撲博士に変化した。14勝1敗で優勝できなかったことが
あったのは惜しまれる。

藤ノ川はニックネームがつくほどの力士になれるか。先々代の藤ノ
川豪人は今牛若と呼ばれた。すべてはこれからの稽古次第である。
小兵力士が技を工夫して巨漢力士を倒す。そんな醍醐味をさらに見
せていただきたい。
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