平成24年五月場所、優勝決定戦は史上初の平幕優勝
同士となった。栃煌山対旭天鵬である。といっても、
栃煌山はこの時点で関脇2場所、小結4場所経験し
ていた。同様に旭天鵬は関脇3場所小結9場所務め
たことがあった。
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横綱白鵬は珍しくこの場所は10勝5敗だった。大関
は6大関時代で次の成績だった。
稀勢の里 11勝4敗
琴奨菊 10勝5敗
把瑠都 9勝6敗
日馬富士 8勝7敗
琴欧洲 8勝7敗
鶴竜 8勝7敗
稀勢の里は優勝争いに加わっていたが、力尽きた。
まだまだたくましさが欠けていた。栃煌山は稀勢の
里、鶴竜に勝利して千秋楽琴欧洲戦を迎えた。一方
旭天鵬は琴欧洲に勝って千秋楽関脇豪栄道と対戦す
ることになった。にわかに浮上してきただけに上位
戦は不十分な結果になった。
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ところが驚いたことに大関琴欧洲は千秋楽休場して
しまった。筆者はマス席で観戦していたが、ほかの
方同様白けた気分で聞いた。この事実を知った観客
が「琴欧洲ははってでも出場しろ」と無茶な要望を
口にしていた。旭天鵬は豪栄道を寄り切って優勝決
定戦に駒を進めた。
旭天鵬は37歳になり、最初で最後の優勝チャンスに
なるだろう、ということを誰しも思った。相撲は勇
んで出る栃煌山を旭天鵬が左にまわり込んではたき
込みを決めた。旭天鵬の初優勝が決まった瞬間だっ
た。花道を引き上げる旭天鵬を付け人が喜びの出迎
えをした。
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筆者は長老とともに旭天鵬の友綱部屋の打ち上げパ
ーティまでいった。会場の別の階から白鵬が下りて
あいさつした。かつての師匠元旭國夫妻も顔をだし
た。忘れられない千秋楽の一つになった。
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(この項目続く)