相撲の一門とは③|高砂一門の系統と理事選・年寄株

一門とは、複数の相撲部屋がゆるやかに連なった系統のことである。巡業や理事選をともにする枠組みで、いまは出羽海・二所ノ関・時津風・高砂・伊勢ヶ濱などの系統がある。なかでも高砂一門は、明治の名力士・高砂浦五郎が興した高砂部屋を本家とし、分家が育ちにくかった歴史と、年寄株をめぐる理事選の攻防に特徴がある。

※本稿は筆者が高砂一門の系統と派閥の力学をたどったもので、一門シリーズの第3回にあたる。

目次

高砂一門とは|分家が育たなかった名門

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高砂部屋は、明治の風雲児・高砂浦五郎が創設した歴史ある相撲部屋である。ところが高砂部屋には、分家が育たないという伝統ができてしまった。高砂部屋直系の分家は、錦戸(元水戸泉)部屋と高田川(元安芸乃島)部屋である。錦戸部屋は弟子が少なく、危うい状態が続いている。

高砂一門の系統図

高田川の理事選と年寄株問題

高田川部屋は、元前の山が高砂部屋から独立して興した部屋である。ところが一門の意向に反して理事に立候補したため、破門になった。当時、元佐田の山の境川理事長は、年寄名跡を協会で一括管理するという方針を打ち出していた。元前の山は、この案に反対する急先鋒だった。

大金を投じて購入した年寄株が、協会の管理下では売却できなくなる。これは一大損失で、死活問題に直結する。元前の山の高田川は、無派閥のまま理事選に出馬した。そしてなんと当選する。高田川に賛同する者が、それだけ多かったことが判明したのである。

高砂(元朝赤龍)
<高砂(元朝赤龍)>

井筒の系統|錣山・音羽山へ

高砂部屋から独立した初代西ノ海が興した井筒部屋。その流れをくむ部屋がある。錣山(元豊真将)部屋と音羽山(元鶴竜)部屋である。逆鉾・寺尾の父は鶴ヶ嶺で、その師匠が先代鶴ヶ嶺だった。

先代鶴ヶ嶺は、師匠の死去後に二枚鑑札が認められず、双葉山相撲道場に身を寄せている。のちに引退して井筒部屋を復興した。この流れから、井筒は時津風一門に属している。かつての系統別総当たり制で、井筒部屋の力士と時津風部屋の力士が対戦しなかったのは、このいきさつがあったからだ。

元寺尾の錣山と、時津風部屋の分家である湊(元湊富士)部屋は、時津風一門の理事が元多賀竜の鏡山であることに不満をもっていた。一度は貴乃花一門に入ったが、貴乃花自身が一門を解消したため、二所ノ関一門に身を寄せている。貴乃花は弟子の暴力事件や一代年寄の扱いをめぐって批判を受け、みずから一門を解消した経緯がある。

先代錣山
<先代錣山>

高砂一門のいま

なお、出羽海一門を破門になった九重(元千代の山)部屋は、元前田山の高砂が一門に迎えた。それにしても高砂一門は、部屋数4・親方数11人と、ともに少ない。分家が育たなかった名門の歩みが、いまの規模にそのまま表れている。

高砂一門についてよくある質問

Q. 相撲の一門とは何ですか?
複数の相撲部屋がゆるやかに連なった系統のことです。巡業や理事選をともにする枠組みで、いまは出羽海・二所ノ関・時津風・高砂・伊勢ヶ濱などの系統があります。

Q. 高砂一門にはどんな部屋がありますか?
本家の高砂部屋を中心に、直系の分家として錦戸(元水戸泉)があります。出羽海一門を破門された九重部屋も、高砂一門に迎えられました。

Q. 高砂一門が小さいのはなぜですか?
高砂部屋には分家が育ちにくい伝統があったためです。部屋数4・親方数11人と、五系統のなかでも小さな一門です。

相撲の一門とは シリーズ総論(五系統の仕組み)①出羽海②出羽海の分家③高砂(本稿)④時津風⑤八甲山系・宮城野⑥伊勢ヶ濱⑦二所ノ関⑧二所ノ関の分家 | 相撲部屋と一門の系統まとめ(完全ガイド)錦戸部屋のあゆみ

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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