横綱の初日の対戦相手は少なくても一人は小結が対
戦相手というのが慣例になっている。最近は一人横
綱照ノ富士が3場所連続全休で、大関貴景勝が初日
小結戦を担っている。それでは横綱の初日対戦相手
はどのような変遷をたどったのだろうか。横綱が実
質地位化した常陸山以降を調べてみた。
常陸山、2代目梅ヶ谷が横綱でデビューしたのは明
治37年春場所であった。常陸山は初日「や」で2日
目からであった。梅ヶ谷は前頭11枚目尼ヶ崎であっ
た。この時代は昭和の春秋園事件まで同じ方屋同士
の対戦はない。東は西の力士としか対戦しない。
![](http://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2023/04/74eb5b440b66b082be366fe991f0d203.jpg)
横綱の対戦傾向は前頭10枚前後が目立つ。梅ヶ谷は
初日新入幕力士と4人対戦している。常陸山は横綱
フル出場より休場場所のほうが多かった。
変化が見られたのは、明治42年夏場所の国技館開設
のときであった。常陸山は前頭2枚目鳳と梅ヶ谷は
関脇2代目西ノ海と対戦している。その3場所後梅
ヶ谷は小結高見山と対戦している。
![](http://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2023/04/8f9a253acbb7f436b913840239aaa6ce.jpg)
しばらくは横綱の一人が前頭上位と初日組まれた。
なお、大ノ川が梅ヶ谷と初日2回対戦している。明
治末期に太刀山が横綱に昇進したが、大正も含め、
初日の取組に関して特徴はない。
大正に入って横綱一人が前頭上位と対戦があるかな
いかの様相であった。大正では初日横綱対関脇が1
度見られただけである。唯一の取組は大正6年夏場
所、2代目西ノ海対関脇黒瀬川である。
![<大錦のブロマイド>](http://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2023/04/47ad1edbd8eb240a1b5b705da65a0ecb.jpg)
大正11年以降は前頭7枚前後が初日の対戦傾向に変
化している。なお、大錦対矢筈山は3場所連続初日
に対戦している。栃木山は清瀬川、陸奥ノ山、琴ヶ
浦と2度初日で顔があっている。大錦のケースは年
2場所では珍しい。
東西合併を経て時代は昭和に入っていった。