優勝争いは2敗若隆景・高安、3敗琴ノ若と
いう思いもよらぬ面々で千秋楽を迎えた。
ところが、千秋楽は波乱の連続となった。
まず、琴ノ若対7勝7敗の新小結豊昇龍戦
から始まった。激しい攻防の中、豊昇龍の
鋭い下手出し投げが瞬時に決まった。スピー
ド・切れ味文句のつけようのない技だった。
琴ノ若は4敗で優勝戦線を離脱した。
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残り3番で登場したのが高安であった。阿炎
は新関脇で7勝7敗。勝とうとする意気込み
と堅くなる要素の両面があるが、阿炎は前者
だった。すさまじい突きの威力に高安は後退
し、まわり込んだが足を出したあと体勢を
くずしていった。阿炎、最高の相撲だった。
高安敗退もやむなしといえた。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/03/高安A-4-e1648382259718.jpg)
結びに登場した若隆景はすでに勝ち越しを
決めている大関正代が対戦相手であった。
問題は正代の心理であった。なにしろ1勝
5敗から勝ち越したのである。ほっとして
当然である。気迫とともに連勝してきた正代。
その気迫はいささかも消えてなかった。若隆
景のおっつけにひるむことなく前へ出て圧倒
してしまった。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/03/若A-1-e1648382280473.jpg)
優勝戦線3力士がそろって敗れる大波乱。
優勝の行方は3敗若隆景と高安の決定戦で
決まることになった。この状況、当然ながら
帰る観客はいない。
優勝決定戦が始まった。この一戦にかける
高安の迫力は大変なモノであった。若隆景も
全身全霊でむかえうった。高安はここぞと
ばかりに圧力をかけるが、若隆景が土俵際
上手出し投げでかわした。若隆景の初優勝
達成の瞬間であった。波乱続きの三月場所は
予想外の展開でようやく幕を閉じた。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/03/決定戦A-e1648382294470.jpg)