相撲界には家賃が高い、という言葉がある。
番付の地位にふさわしい実力がともなわない
ことを例えた言葉である。新入幕石浦は先場
所十両5枚目で9勝6敗の成績であった。
本来なら入幕できる成績ではなかった。幕内
からの陥落者が多いため、いささか幸運な
入幕であった。だが、幸運は家賃が高いに
結びつきやすい。まして石浦は十両で勝った
り、負けたりの苦悩の日々であった。
入幕するやファンの石浦に対する注目は高か
った。幕内はパワー相撲全盛である。体重
150キロ以上の巨体があたりまえである。技能
派らしい技能派はいない。その点石浦は小兵
の技能派である。相撲が面白さは技能派と
ともにある。戦後は栃錦、信夫山、鶴ヶ嶺、
栃ノ海、栃東(父)3代目若乃花など土俵を
わかしたのは彼らである。
石浦は初日こそ千代大龍の突き押しからの
はたきに屈したが、予想を覆し、技能相撲、
ときには正攻法で6勝1敗と快進撃を続けて
いる。石浦の特徴はふところに入っての深い
左ざしからの下手投げである。相手のふとこ
ろに入るのが、ことごとく成功している。
成功の原動力はうまさである。
それとスピードで優っている点を生かして
千代鳳戦では、あたっていなし、後ろについ
ての勝利だった。大翔丸戦では、下手捻り、
7日目は切り返し気味の寄りで、好調千代
翔馬を寄せつけなかった。家賃が高いどころ
ではない。予想をはるかに超える相撲内容
である。ただし、石浦は後半疲れからか、
連敗することがあった。十両時代の最高
成績は9勝だった。
である。ただし、石浦は後半疲れからか、
連敗することがあった。十両時代の最高
成績は9勝だった。
しかし、今場所の石浦に、十両時代の成績を
繰り返してほしくない。新入幕の技能賞受賞
をねらうくらいの快進撃を今後も続けていた
だきたい。
だきたい。
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