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世紀の大誤審、まだ記していないこと

これまで大鵬の連勝記録が誤審でストップ
した世紀の大誤審に関していくつか記して
きた。それが以下である。(クリックすれば
ご覧いただけます。)

前日は初めて世紀の大誤審をした審判名を
明らかにした。余談だが、書物で年寄名だけ
書いているものがけっこうある。しかし、年寄
名は固有名詞ではない。後の大相撲ファンに
とっては誰かわからなくなる。きちんと現役名
も伝えてこそ、誰にでもわかるのである。
昭和44年三月場所2日目の世紀の大誤審、
まだ伝えてないことを改めてここで書いていき
たい。
まず、第一に大鵬は双葉山の記録を破ると
見られていたのかという点である。専門誌の
アンケートでは、破ることができるは20%だっ
た。さほど多くないのは理由がある。大鵬は
肘、膝の靭帯断裂などで5場所連続休場後に
連勝が始まったことと年齢が28歳で全盛期は
過ぎていたことがあげられる。大鵬が第二次
6連覇を達成したのは25歳から26歳にかけて
であった。
大鵬
<王者大鵬>
 
第二は審判の質である。前日一般論として
ビデオ導入以前は、審判は利益代表者と
書いた。世紀の大誤審の審判は、審判長の
元栃錦の春日野と4人の審判(元栃光の千賀
ノ浦、元鶴ヶ嶺の君ヶ浜、元羽島山の松ヶ根、
元羽黒花の玉垣)である。だが、審判長の
元栃錦の春日野と元栃光の千賀ノ浦は利益
代表的な面では薄い方々だった。問題は5人が
審判の経験の浅かったことにあった。この誤審
に関して「ほかの4人が戸田の勝ちというから、
そうせざるを得なかった」という元栃錦の春日野
審判長の発言はあるが、他の4人のコメントは
なかった。
第三は世紀の大誤審に対する協会の態度で
ある。当時理事長は元出羽ノ花の武蔵川
だった。「ビデオ、あんなもの参考にならない。
土俵は丸いし、角度も高さもある。カメラでは
とうてい正確にとらえられない」と発言した。
これに対し記者は「そういう見方が相撲は
いいかげんなものだという印象を相撲ファンに
与えるのではないか」と反論した。
武蔵
<元出羽ノ花の武蔵川>
 
さらに「誤審でお客さんが遠のくのでは」に
対し、元出羽ノ花の武蔵川理事長は「そうは
思わない。ファンの中には大鵬が負けたと
喜んでいる人もいるだろう。相撲は複雑な
ものだと思ってかえって興味をそそられる人
もいるんじゃないか」と言った。これに対し
東富士氏は「それは理事長という役職にある
者の発言ではない。完全に野次馬の言葉だ」
と批判した。
第四は大鵬の心理である。よく「あんな相撲
を取ったわしがいけないのだ」という言葉が
伝わり、立派な横綱だと賞賛されている。
しかし、これは支度部屋での発言である。
宿舎の久本寺に帰り、ニュースを見ると
誤審に対する怒りと失望がこみあげてきた。
大鵬は今まで節制していたが、それがくずれ
て急逝肺炎につながり休場した。
世紀の大誤審は大鵬にとって運が悪いとか、
気の毒なんてレベルの話ではない。あっては
ならないことだった。この歴史的汚点を相撲
ファンはけして忘れてはいけない。

今日だけは暖かい日になった。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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