明治・大正期に圧倒的な破壊力で君臨した第22代横綱・太刀山峰右
エ門と、昭和初期に不滅の69連勝を打ち立てた第35代横綱・双葉山
定次。相撲史における最強論争で必ず名の挙がる二人がもし全盛期
に対戦したら、「太刀山の超快速な一撃必殺の突き押し」vs「双葉
山の全てを受け止める後の先(ごのせん)の立ち合い」という、相
撲の概念がぶつかり合う世紀の決戦になります。それぞれの特徴か
ら、対戦時の展開をシミュレーションします。
◆両雄のファイトスタイル
太刀山(184cm、143kg〜150kg)の特徴
「四十五日の鉄砲(ひと突き半=一月半で相手を仕留める)」と恐
れられた猛烈な上突っ張り。相手を桟敷席まで吹っ飛ばして大怪我
をさせるほどの剛力を誇り、勝つときは一瞬で勝負を決めました。

双葉山(179cm、130kg前後)の特徴
相手の突進を決して「待った」せず、一瞬遅れて立つ「後の先」の
立ち合い。右四つからの変幻自在な上手投げや寄りを得意とし、ど
んな攻めを受けても土俵際で絶対に崩れない強靭な足腰と精神力を
持っていました。
◆激突!想定される試合展開
当時の土俵のルールや大きさ(太刀山時代は13尺=約3.9m、双葉山
時代は15尺=約4.5m)によっても左右されますが、基本的には立ち
合いの一瞬ですべてが決まります。
展開パターンA 太刀山が「一撃」で粉砕する(短期決戦)
流れ
仕切り線がない時代を知る太刀山が、立ち合いから容赦のない弾丸
のような突進を見せます。双葉山はいつものように相手の出方を受
けるように立ちますが、太刀山の突きは過去のどの力士とも違う桁
外れの破壊力です。
結末
双葉山が右を差す、あるいは上手を引く隙すら与えず、太刀山の強
烈な一撃半(ハズ押し・上突っ張り)が双葉山の胸に炸裂。双葉山
といえども、十分な体勢を作る前に土俵の外へ一気に突き出されま
す。

展開パターンB:双葉山が「後の先」でしのぎ切る(逆転劇)
流れ
太刀山の猛烈な突っ張りが双葉山を襲います。双葉山はのけぞりか
け、土俵際まで追い詰められますが、驚異的なバランス感覚でこれ
を残します(しのぎ切る)。
結末
太刀山の一の矢、二の矢をギリギリで防いだ双葉山は、太刀山が次
の一歩を踏み出す瞬間のわずかな隙を見逃しません。素早く懐に飛
び込んで右四つに組み止め、太刀山の突進力をいなして、得意の鮮
やかな上手投げ、あるいは寄り切りで仕留めます。
◆結論として
もしこの2人が対戦した場合、「立ち合いの一瞬で太刀山が圧倒す
るか、それとも双葉山が凌いで組み止めるか」のワンチャンスで決
まると言われています。