幕内最強は誰か。きわめて率直に見れば大の里ではないだろうか。
番付には横綱がいる。しかし、照ノ富士は休場がちであり、力士と
しては晩年にはいっている。
先輩大関豊昇龍、琴ノ若はとにかく下位によく負ける。この負け癖
から脱却できないでいる。少年ファンから素朴な疑問がなげられた。
「大関で8勝するのと小結で8勝するのと何が違うの」成績は同じ
なのに待遇はまるで違う。3場所連続1ケタ勝利なら関脇に落とせ、
の声がある。
1横綱3大関でも番付は手薄である。そんななかで2回優勝し、現
時点で年間最多勝に位置するのが大の里である。大の里こそ幕内最
強である、といっていい。混迷の時代は場所前に優勝候補をあげる
ことはできなかった。しかし来たる十一月場所、大の里は優勝候補
の最有力力士であることは間違いない。
大の里に不安はあるか。あるとすれば新大関という立ち位置である。
12勝ー12勝-13勝で大関に昇進した豊山は新大関の場所負け越して
いる。当時絶対王者大鵬がいた時代であった。新大関が精神面にど
ういう影響を及ぼすか、にかかっている。
大正15年、公式優勝制度以降新大関で優勝した力士は以下である。
双葉山
千代の山
若羽黒
清國
栃東
白鵬
能代潟から琴櫻まで95人の大関がいる。それでいて6人しか新大関
優勝者がいない。なお、双葉山は新横綱の場所も優勝している。大
の里は九月場所のおっつけながら一気に出る相撲に磨きをかければ
強さを増す。余計なことは考えずにひたすら強くなることに専念す
れば道は開ける。