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稀勢の里優勝待望論

琴ヶ濱、豊山、大麒麟、旭国
上記の力士に共通するものは何か、おわかりでしょうか。
優勝経験がない最高位大関の力士である。現役では琴奨
菊、稀勢の里、豪栄道も現段階では仲間入りしている。
特に稀勢の里は15日制を務めた三根山以降の大関では、
最高勝率6割9分1厘(1場所約10.4勝に相当)をあげ
ている。10勝以上の勝率をあげている唯一の大関である。
10勝以上の成績16回、9勝以下6回とこれも三根山以降
の大関では最高の数字である。(2015年七月場所まで)
なお、大関の成績に関しては以下を参照していただきた
い。

さてそれほど抜群の成績をあげている稀勢の里が最高位
が大関ながら優勝経験がない大関の仲間入りしているの
である。優勝するには13勝以上必要だが、これまでたっ
た3回しかないのである。つまり、大関としての成績は
あげているが、優勝争いはほとんどできていないという
ことである。
150721十日目幕内 075
<稀勢の里>
 
遠藤・勢ほど明確に表れにくいが、稀勢の里のファンは
意外と(?)多い。筆者も稀勢の里は好感が持てる力士
の一人である。それはガチンコを貫いてきたからである。
これは力士を評価する上でものすごく大事なポイントで
ある。なにしろ八百長発覚後でさえ、以下を主張する元
力士がいたほどである。
1.八百長問題は国民生活に重大な侵害を与えるような
ことではない。
2.賭博とは違って法律で禁止されていないが、露骨過
ぎると興ざめ。
3.八百長を行うことは法律には抵触しない。
4.掛け金を募って大損害を被ったわけではない。物質
的にも何かを失ったわけではない。
5.八百長問題を「けしからん」と捉えるにも大相撲を
知る人とそうでない人では差がある。
6.たとえ過去の八百長を調査しても結論を灰色でしか
出せない。
7.八百長力士を辞めさせるほどのことではない。
これを読むとなにか違和感を抱く。違和感の正体を明ら
かにするためにも反論しておく。元力士の八百長弁明論
は八百長の軽視と認識の甘さを感じる。大相撲を支えて
いるのは誰か。お客さんだろう。八百長は大相撲を支え
てきたお客さんに対する最大の裏切り行為である。お客
さんを欺いてきた行為である。この視点が元力士には欠
けている。八百長はけしからんという程度の問題ではな
い。また、いい相撲を取ればお客さんが戻ってくるとい
うレベルの話でもない。大相撲の信用を失墜させ、屋台
骨をゆるがす大問題なのである。
130720十四日目幕内 789
<白鵬の連勝を43でストップ 2013年七月場所>
 
こうした認識の中でガチンコを貫き通すのがいかに大変
なことかおわかりいただけたと思う。ガチンコ稀勢の里
だから白鵬の連勝を63連勝、43連勝でストップできた。
また、初日から14連勝で2回目の優勝を決めた日馬富士
に千秋楽にぶつかった。稀勢の里対日馬富士戦は大熱戦
となったあげく、稀勢の里がかろうじて勝利して全勝に
ストップをかけた。これが稀勢の里である。
110724名古屋千秋楽幕内後半 582
<日馬富士の全勝をストップ 2011年七月場所>
 
同じ人気力士でありながら、優勝が待たれた力士に角界
のプリンス大関貴ノ花がいた。貴ノ花は優勝レベルが全
勝や14勝でなく、13勝以下で混戦になったときに優勝し
た。
150110初日前日 033
<稀勢の里>
 
稀勢の里はまず第一に取りこぼしをなくすこと。第二に
ここ一番の勝負をモノにすることである。数少ないチャ
ンスを着実につかむことである。ふと考えるのは、前師
匠の元横綱隆の里が生きていたらどんな指導・アドバイ
スをしただろうか。ひょっとしたら稀勢の里の優勝はも
う少し早く実現していたかもしれない。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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