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この10年の優勝物語2

琴欧洲と把瑠都はともに優勝1回である。本来ならもっ
と優勝してもおかしくない逸材である。ケガが彼らの実
力を思うように発揮させなかった。たった1度の優勝は、
実にかけがえのない、貴重な瞬間であったに違いない。
彼らの優勝への道を辿ってみよう。
080525千秋楽表彰 597琴欧洲パレード
<優勝パレード 琴春日 優勝者琴欧洲(>
把瑠都2A
<優勝パレード 天鎧鵬 亀田兄 把瑠都>
 
琴欧洲は序ノ口以来8場所で新十両に昇進。その十両も
2場所で突破した。入幕後わずか8場所で、大関に昇進
した。今、こんなスピードで駆け上がる力士はいない。
琴欧洲を見てきた目には、今の若手は物足りなく見える。
破竹の勢いの琴欧洲は、時代を築くか、朝青龍の引き立
て役で終わるか。だが、大関昇進後琴欧洲は一変した。
大関昇進後はケガもあり、1ケタ勝利に苦しむ場所が続
いた。その中で思わぬチャンスをつかんだ。
080524十四日目幕内 811安馬対琴欧洲○
<14日目 安馬(後の日馬富士)を倒し優勝決定>
 
大関15場所目の平成20年五月場所。琴欧洲は初日から
連戦連勝で10連勝。横綱は朝青龍と白鵬でここ2場所は、
千秋楽相星決戦をして1勝1敗で優勝を分け合っていた。
11日目琴欧洲は1敗の朝青龍と激突した。琴欧洲立ち合
いから先手を取り、右上手を取って小刻みな投げの連続
から、引きつけて休まず出て、寄り切った。翌日の1敗白
鵬戦も速攻で突破して、12連勝で2差をつけ、トップにた
った。13日目は苦手安美錦に1敗したが、朝青龍、白鵬も
星を落とし、4敗と3敗となったため、琴欧洲の初優勝は
決定的だった。
080525千秋楽幕内 842ステファン
<琴欧洲父ステファンさん>
 
故郷ブルガリアから父ステファンさんが祝福に駆けつけ
る中、残り2日間を連勝して、堂々の14勝1敗で初優勝
を飾った。当時の大関は琴光喜・魁皇・千代大海で、す
べて優勝経験者だった。「大関で優勝がないのはボクだ
け」と琴欧洲は気にしていた。それだけに相撲人生で最
良の日だった。
080525千秋楽表彰 037
<賜杯を北の湖理事長より受ける琴欧洲>
 
把瑠都はとてつもない記録の持ち主である。15日制のも
と、十両で全勝優勝したのは、わずか4人しかいない。
把瑠都はそのうちの1人なのである。ちなみに他の3人
は、初代栃光・豊山(前名内田)・北の富士である。横綱
クラスなら15戦全勝優勝もありうるが、十両は実力に
大きな差はない。それだけに把瑠都は北の富士以来42年
4ケ月ぶりに、大変な記録を打ち立てたのである。ちなみ
に、十両で15戦全勝優勝した力士はすべて大関以上の
地位についている。
把瑠都琴奨菊1A
把瑠都琴奨菊2A
<13日目 大関琴奨菊を根こそぎ投げる把瑠都>

平成18年五月場所の新入幕では、大関白鵬と対戦するほ
ど、強烈な把瑠都旋風を巻きおこした。しかし、翌年の一
月場所で膝を負傷し、低迷が続いた。大関に昇進したの
は、なんと負傷から3年1場所後だった。大関直前の関
脇では14勝1敗と好成績を残すも、白鵬が全勝優勝のた
め、惜しくも次点で終わっている。
把瑠都1A
<放駒理事長より賜杯を受ける把瑠都>
 
大関10場所目の平成24年一月場所、把瑠都は初日から突
っ走って14連勝で初優勝を決めた。一人横綱の白鵬は14
日目で3敗していた。千秋楽は両者の直接対決だった。
白鵬は意地をみせ、把瑠都の全勝をストップした。思い起
こせば、前場所千秋楽に、把瑠都が白鵬の全勝優勝を
ストップしただけに、リベンジしたカタチとなった。幕内2度
目の14勝1敗で念願の初優勝を達成した。マス席で声援
をおくる母とヘレナ夫人の姿があった。
把瑠都3A
<マス席で国旗をふる把瑠都母とヘレナ
夫人>

月も下旬になり、改めていいテーマを書いていきます。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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