琴奨菊の初優勝は、栃東以来の10年ぶりの日本出身の
日本人力士の優勝だった。この10年の優勝の内訳は以
下である。
朝青龍16回から25回
白鵬1回から35回
琴欧洲1回
日馬富士1回から7回
把瑠都1回
旭天鵬1回
鶴竜1回から2回
照ノ富士1回
この10年、インパクトの強い優勝を振り返ってみた。
琴奨菊優勝以前、日本出身の日本人の優勝は平成18年の
一月場所まで遡らなければならなかった。当時横綱は朝青
龍1人であった。優勝争いは、朝青龍・栃東ともに1敗、関脇
白鵬が2敗で終盤戦に突入した。朝青龍は12日目白鵬、13
日目前頭5枚目の安馬(現日馬富士)に連敗して優勝争い
から後退。
<栃東最後の優勝>
千秋楽を前に大関栃東が1敗、関脇白鵬が2敗であった。
両者の直接対決はすでに9日目に実現し、栃東が勝利し
ている。千秋楽、白鵬は大関琴欧洲に勝って13勝2敗で、
栃東の結果を待つことになった。朝青龍対栃東戦は左四
つ、栃東が上手を与えず出し投げで3度目の優勝を決め
た。次点の白鵬が初優勝したのは2場所後、新大関のと
きだった。
<朝青龍最後の賜杯>
優勝しながら、その直後引退。どんな漫画家・小説家・
脚本家も書かない展開を実際してしまったのが、朝青龍
であった。平成22年一月場所中、朝青龍の泥酔暴行事件
が明るみに出た。お騒がせで片付けられない社会的問題
を含んでいる。簡単ではない。なぜ朝青龍は軽はずみな
行動に出るのか。「やってから後悔するのが朝青龍」と
語るのは師匠高砂(元朝潮)である。損得勘定だけから
見ても失うものが多すぎる。
<祝杯で満面の笑顔>
朝青龍最後の25回目の優勝は次のような展開であった。
千秋楽を待たずに横綱白鵬3敗、朝青龍1敗で14日目に
優勝は決定していた。ただ、千秋楽は白鵬が意地を見せ、
朝青龍から勝利した。朝青龍の断髪式はその年の10月
におこなわれた。「生まれ変わったら大和魂をもった日本
人として横綱になりたい」という言葉を残して朝青龍は
土俵を去った。
<断髪後、最後の挨拶をする朝青龍>
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