琴欧洲と把瑠都はともに優勝1回である。本来ならもっ
と優勝してもおかしくない逸材である。ケガが彼らの実
力を思うように発揮させなかった。たった1度の優勝は、
実にかけがえのない、貴重な瞬間であったに違いない。
彼らの優勝への道を辿ってみよう。
琴欧洲は序ノ口以来8場所で新十両に昇進。その十両も
2場所で突破した。入幕後わずか8場所で、大関に昇進
した。今、こんなスピードで駆け上がる力士はいない。
琴欧洲を見てきた目には、今の若手は物足りなく見える。
破竹の勢いの琴欧洲は、時代を築くか、朝青龍の引き立
て役で終わるか。だが、大関昇進後琴欧洲は一変した。
大関昇進後はケガもあり、1ケタ勝利に苦しむ場所が続
いた。その中で思わぬチャンスをつかんだ。
大関15場所目の平成20年五月場所。琴欧洲は初日から
連戦連勝で10連勝。横綱は朝青龍と白鵬でここ2場所は、
連戦連勝で10連勝。横綱は朝青龍と白鵬でここ2場所は、
千秋楽相星決戦をして1勝1敗で優勝を分け合っていた。
11日目琴欧洲は1敗の朝青龍と激突した。琴欧洲立ち合
いから先手を取り、右上手を取って小刻みな投げの連続
から、引きつけて休まず出て、寄り切った。翌日の1敗白
鵬戦も速攻で突破して、12連勝で2差をつけ、トップにた
った。13日目は苦手安美錦に1敗したが、朝青龍、白鵬も
星を落とし、4敗と3敗となったため、琴欧洲の初優勝は
決定的だった。
鵬戦も速攻で突破して、12連勝で2差をつけ、トップにた
った。13日目は苦手安美錦に1敗したが、朝青龍、白鵬も
星を落とし、4敗と3敗となったため、琴欧洲の初優勝は
決定的だった。
故郷ブルガリアから父ステファンさんが祝福に駆けつけ
る中、残り2日間を連勝して、堂々の14勝1敗で初優勝
を飾った。当時の大関は琴光喜・魁皇・千代大海で、す
べて優勝経験者だった。「大関で優勝がないのはボクだ
け」と琴欧洲は気にしていた。それだけに相撲人生で最
良の日だった。
把瑠都はとてつもない記録の持ち主である。15日制のも
と、十両で全勝優勝したのは、わずか4人しかいない。
把瑠都はそのうちの1人なのである。ちなみに他の3人
は、初代栃光・豊山(前名内田)・北の富士である。横綱
クラスなら15戦全勝優勝もありうるが、十両は実力に
クラスなら15戦全勝優勝もありうるが、十両は実力に
大きな差はない。それだけに把瑠都は北の富士以来42年
4ケ月ぶりに、大変な記録を打ち立てたのである。ちなみ
に、十両で15戦全勝優勝した力士はすべて大関以上の
に、十両で15戦全勝優勝した力士はすべて大関以上の
地位についている。
平成18年五月場所の新入幕では、大関白鵬と対戦するほ
ど、強烈な把瑠都旋風を巻きおこした。しかし、翌年の一
月場所で膝を負傷し、低迷が続いた。大関に昇進したの
は、なんと負傷から3年1場所後だった。大関直前の関
脇では14勝1敗と好成績を残すも、白鵬が全勝優勝のた
め、惜しくも次点で終わっている。
大関10場所目の平成24年一月場所、把瑠都は初日から突
っ走って14連勝で初優勝を決めた。一人横綱の白鵬は14
日目で3敗していた。千秋楽は両者の直接対決だった。
白鵬は意地をみせ、把瑠都の全勝をストップした。思い起
こせば、前場所千秋楽に、把瑠都が白鵬の全勝優勝を
こせば、前場所千秋楽に、把瑠都が白鵬の全勝優勝を