十両は28人が定員である。十一月場所の番付では元
幕内が13人、未入幕が15人と拮抗している。新入幕
熱海富士の素質・素材・スピード出世による期待値
は大きい。だが、十両では熱海富士に続くすごい奴
らが未入幕組に控えている。それは北青鵬と金峰山
である。
筆者は12月に幕下のホープを書いている。だが2020
年12月時点で北青鵬は三段目であった。そのため触
れずに来たが、翌年(2021年)の九月場所には新十
両に昇進していた。しかも一月場所は新型コロナウ
イルスによる部屋ごと休場にありながらである。実
質序ノ口から6場所で十両入りしたのである。幕下
以下では負け越しなし。各段で優勝経験がある。こ
れは明らかに熱海富士を超えていた。
ところが、北青鵬はここからが一転した。新十両の
九月場所またもコロナ禍で部屋ごと休場に追い込ま
れた。部屋の白鵬が最後の場所となっている。十両
初出場となった十一月場所で初日の相撲で右ひざを
負傷し、休場に追い込まれてしまった。これが躓き
になって幕下落ちとなり、3場所をすごした。今年
(2022年)の七月場所、ようやく十両に復帰した。
熱海富士とは十両で1度対戦し、勝っている。現在
20歳である。
もう一人は金峰山(きんぼうざん)である。カザフ
スタン出身だが、学生出身(日大)である。三段目
付出で初土俵を踏んだ。その場所で優勝している。
2場所後には幕下優勝している。恐ろしいばかりの
パワー相撲によって5場所で十両入りした。ちなみ
に三段目付出しの若隆景は十両入りまで7場所かか
っている。
新十両では10勝5敗とまずまずの実績を残した。こ
こまで負け越しなしで、6場所連続勝ち越し中であ
る。通算40勝10敗と成績は抜群である。北青鵬には
幕下・十両で対戦して2敗である。いまだザンバラ
である。金峰山にかける期待は、はるかに大きい。
25歳になる。
そのほか北の若・新十両優勝の栃武蔵への期待も大
きい。スピード出世ばかりが大物の条件ではない。
何がきっかけで飛躍するかは個人しだいである。玉
の海は腰で取る相撲だったが、開眼したのは横綱4
場所目になってからだった。熱海富士に続く力士は
果たして誰になるのか。十一月場所まで1週間とな
った。