九月場所、観客は戻りつつある。初日、2階はコロナ
禍で最も入った。7分くらい入った。久々である。
2日目以降はさすがにそうはいかなかった。だが、
1階はけっこうな入りである。かつてマス席が数列
すべて空いていたことを思えば上出来である。
だが、お客さんの入りにふさわしい土俵になっている
だろうか。4日目御嶽海は翔猿に、正代は玉鷲にそろ
って負けている。正代3敗、御嶽海2敗。なにか負け
方があっさりしすぎている。取りこぼして的敗北では
ない。簡単に堂々と負けるのである。正代の強さは
長続きしなかった。
正代は大関披露パーティをやろうと思っているし、
御嶽海はやり直しカド番場所である。このあと奮起
すればいいのかもしれないが、こうまでだらしなさを
みせつけられると生半可なことでは今後活躍しにく
い。観客の入りに水さす2大関である。
その点貴景勝は琴ノ若相手に気をはいた。張り手まで
繰り出した。動きを止めなかった。止めたら負けに
つながる。とにかく実力以上の力を発揮した。3大関
総崩れとならないよう貴景勝は最大の力を繰り出し
た。
照ノ富士は明生にふところにとびこまれたが、最後は
力でねじふせた。しかし、このような相撲では長続き
しない。照ノ富士はかつて大関朝乃山と対戦したとき
右四つの相撲で何度も取り、勝っている。左上手
浅く、右かいなをかえして完勝している。照ノ富士が
本来取る相撲はこうした内容である。
横綱玉の海の磐石の相撲は右四つの型と腰のよさから
きている。玉の海は負けにくくなった。安定度は抜群
であった。北玉時代(北の富士と玉の海)ではなく
玉玉時代ではないかといわれたほど玉の海は強かった。
照ノ富士のレベルが上がれば、打倒照ノ富士を目指
してレベルが上がる、それは土俵の充実につながる。