筆者は以前横綱10大史を執筆したが、その10番目には
外国人横綱誕生を取り上げた。外国人横綱は小錦が
13勝優勝、12勝、13勝優勝というチャンスを見送ら
れていた。直前3場所で優勝がなく横綱に昇進した
力士、小錦以下の成績で横綱に昇進した力士と比べる
と万人を納得させるものではなかった。小錦はこの
チャンスを生かせず、横綱には届かなかった。外国人
横綱はいらないとする論旨が雑誌に掲載されたとき
でもあった。
突破口はハワイ出身の曙によって開かれた。長い腕
から繰り出す突っ張りは、威力抜群であった。同期の
貴乃花、若乃花との出世争いが注目の中、先んじて
横綱に昇進した。武蔵丸が続いた。ハワイからモン
ゴルへといわれるなかで朝青龍、白鵬、日馬富士、
鶴竜へと続いた。現在はモンゴル出身の照ノ富士のみ
が横綱である。
気がつけば曙から10人の横綱が誕生したが、7人が
外国出身横綱なのである。日本人横綱は貴乃花、3代
目若乃花、稀勢の里だけである。70%が外国出身の
横綱で占められるまでにいたった。横綱稀勢の里が
誕生したときの熱気は大変なものだった。稀勢の里
のいくところ常に大勢の人が集まっていた。しかし、
外国人横綱主流の流れは変えられないところまできて
いる。
優勝はどうか。貴花田が初優勝した平成4年以降を
みていこう。令和4年七月場所まで182場所あり、外
国出身力士の優勝は122場所に及んである。実に67%
を占めている。外国出身優勝者は14人に及んでいる。
小錦最後の優勝を含む、優勝1回は琴欧洲、把瑠都、
旭天鵬、栃ノ心、玉鷲、逸ノ城が果たしている。
平成18年三月場所から平成27年十一月場所までの58場
所連続日本出身力士の優勝がなかった。10年弱という
長期に及んでいる。この記録は琴奨菊の初優勝でスト
ップした。大相撲チケットが過熱したのはこのとき
からである。発売当日に15日間のチケットが消える
という今では考えられない事態である。
こうしてみると大相撲は国技から国際技になったと
いえる。