初代若乃花の二子山部屋は、元初代若乃花が花籠(元大ノ海)部屋から独立して興し、横綱2代目若乃花・隆の里、大関貴ノ花・若嶋津をはじめ大勢の関取を育てた部屋である。平成5年(1993年)一月場所後、65歳の定年にともない弟子と二子山の株を実弟の元貴ノ花の藤島に託し、一代限りで終わった。
田口 通廣が2022年3月に書いた連載「消えた横綱の相撲部屋」の5回目で、後半は横綱朝潮が一時興した振分部屋を取り上げる。いまの二子山部屋は元大関雅山が藤島(元武双山)部屋から独立して興した別の部屋で、所属力士は二子山部屋の力士一覧にある。
初代若乃花が花籠部屋から独立して興した二子山部屋
花籠(元大ノ海)部屋から独立したのが、元初代若乃花の二子山だった。龍虎が「自分も連れて行ってください」と嘆願したが、二子山は「それよりも早く強くなって花籠親方を安心させろ」と諭している。
二子山は「相撲という字はけいこと呼んでもいいのです」というほど稽古を第一とした。若乃花自身が猛稽古で強くなった力士である。若乃花が育った花籠部屋は花籠部屋はなぜ消えたのかにまとめている。

旧二子山部屋の関取|横綱2代目若乃花・隆の里から幕内まで
元初代若乃花の二子山は、一代で実に多くの関取を育てた。田口が挙げた関取を、記事の並びのまま表にした。
| 地位(田口の記事の区分) | 力士 |
|---|---|
| 横綱 | 2代目若乃花、隆の里 |
| 大関 | 貴ノ花、若嶋津 |
| 関脇 | 大寿山 |
| 小結 | 二子岳、若獅子、隆三杉、三杉里 |
| 幕内 | 魁罡、大旺、飛騨ノ花、若翔洋(のち関脇)、浪ノ花(のち小結)、大觥 |
二子山部屋からは、元2代目若乃花の間垣部屋(間垣部屋とは)、元貴ノ花の藤島部屋(藤島部屋の歴史)が独立した。元若嶋津の松ヶ根部屋も二子山部屋から独立した部屋で、のちに二所ノ関部屋に改称している(現代相撲部屋の系統10)。
▶ 二子山部屋から出た横綱隆の里の素顔は→隆の里(第59代横綱)の素顔|稀勢の里の師匠・鳴戸親方が観客席で語ったこと
二子山部屋はなぜ一代で終わったのか
元初代若乃花は協会で理事、理事長代行、理事長を務めた。平成5年(1993年)一月場所後、65歳の定年にともない弟子を実弟の元貴ノ花の藤島に託し、二子山の株も譲った。
こうして二子山部屋は一代限りとなった。藤島部屋は名称を二子山部屋に変えたが、実質は旧二子山を吸収した形である。

田口によると、このとき実の兄弟のあいだで、3億円ともいわれるかなりの額が支払われた。これが脱税として摘発され、元初代若乃花は相撲博物館の館長を辞めて、相撲界を完全に離れることになった。
元初代若乃花の大相撲中継の解説は大変面白く、相撲哲学・理念を感じさせる内容だった。田口は、もう一度聞きたかった思いが強く残ったと書いている。
朝潮の振分部屋|2年足らずで本家の高砂部屋へ
元横綱朝潮というと、元前田山の高砂亡きあと高砂を継いだというイメージが強いかもしれない。高砂になりたてのころは、北の富士に「高砂さん、高砂さん」とひやかされていた。
元朝潮の高砂は、元前田山の高砂から引き継いだ小結高見山を関脇にし、富士櫻を関脇に引き上げた。また朝潮・小錦を大関にまで育てた。
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その元朝潮は、実は振分部屋を興したことがある。昭和37年9月、引退から約9カ月後のことだった。だが振分部屋は昭和39年3月に本家の高砂部屋へ戻り、元横綱の振分部屋は消えた。
振分の名跡は、いま元関脇妙義龍が継いでいる。2026年9月27日に確認した協会の年寄一覧では境川部屋の所属である。
連載「消えた横綱の相撲部屋」と続編
田口はこの回を「この項目続く」と結び、翌2023年2月から続編の「続 消えた横綱の部屋」を書いた。続編の1回目は鏡山部屋(横綱柏戸)である。
二子山部屋(初代若乃花)についてよくある質問
Q. 初代若乃花の二子山部屋からはどんな力士が出ましたか?
横綱2代目若乃花・隆の里、大関貴ノ花・若嶋津をはじめ、関脇大寿山、小結二子岳・若獅子・隆三杉・三杉里など大勢の関取が出ました。
Q. 初代若乃花の二子山部屋はなぜなくなったのですか?
平成5年(1993年)一月場所後、初代若乃花が65歳の定年を迎え、弟子を実弟の藤島(元貴ノ花)に託して二子山の株も譲ったためです。藤島部屋が二子山部屋に名を変え、実質は旧二子山を吸収した形になりました。
Q. いまの二子山部屋とは同じ部屋ですか?
別の部屋です。いまの二子山部屋は、元大関雅山が藤島(元武双山)部屋から独立して興した部屋です。
Q. 初代若乃花はどの部屋で育ちましたか?
花籠(元大ノ海)部屋です。引退後に独立して二子山部屋を興しました。
Q. 朝潮の振分部屋とは?
横綱朝潮が引退から約9カ月後の昭和37年9月に興した部屋です。昭和39年3月に本家の高砂部屋へ戻り、消えました。
連載の前の回は消えた横綱の相撲部屋④ 伊勢ヶ濱部屋と立田川部屋、次の回は続編の鏡山部屋(横綱柏戸)である。
▶ 消えた横綱の部屋シリーズ
〔元祖・常陸山〜朝潮〕①雷・東関(梅ヶ谷・太刀山) | ②宮城野・井筒(鳳・西ノ海) | ③芝田山・二所ノ関(宮城山・玉錦) | ④伊勢ヶ濱・立田川(照國・双葉山・鏡里) | ⑤二子山・振分(初代若乃花・朝潮)(本稿)
〔続編・大鵬以降〕続①鏡山(柏戸) | 続②花籠(輪島) | 続③間垣(2代目若乃花) | 続④藤島・貴乃花部屋(貴乃花)
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