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大盛況の中、稀勢の里髷との別れの日

それは一通のメールで始まった。稀勢の里の
引退相撲が大行列だというのだ。大勢の人が
入り口に集中しているのか。と思っていたが、
そうではなかった。入場しようとする方が
長蛇の列をつくっていたのだ。それは正門
から南門を曲がり、さらに先にのびている
のだ。入場するのに1時間くらいかかって
しまった。
木戸を通るとA3サイズで二つ折りプログ
ラムが配られていた。このサイズで二つ折り
のプログラムは引退相撲では珍しい。綱を
締め、太刀を持った稀勢の里の写真が表紙に
なっている。通常は引退力士がお客さんを
むかえるのだが、混乱を避けるためか、入場
したときは姿はなかった。
プログラムを見ると、稀勢の里の登場は横綱
の土俵入りと断髪式である。横綱の土俵入り
は現役横綱をしたがえてではなく、高安、
松鳳山をしたがえてのモノになった。大阪
から引退相撲は初めてという相撲仲間と、
稀勢の里のグッズ売り場で再会。
190929稀勢引退相撲 149
<稀勢の里最後の土俵入り>

稀勢の里最後の土俵入りを満員のお客さんは
固唾をのんで心待ちにしている。しばらく
間があったが、ついにその時がきた。稀勢の
里が登場。どよめきがおきる。たんたんと
最後の土俵入りが始まる。化粧まわしの下地
の色の赤が強烈に目に飛び込む。梅ヶ谷型
土俵入り。せりあがりが最大の見せ場。もう
見られないと思い、目に焼き付けた。
そして髷との別れとなる断髪式。まず後援会
会長とともに土俵へ。稀勢の里の土俵歴と
功績を語る。それが終わり、断髪式が始まっ
た。水泳の松田丈志氏がはさみをいれた。
引退大相撲の断髪式では向きを正面、東、
向こう正面、西の4方向に向きを変えること
が慣例になっていたが、稀勢の里はそれを
しなかった。不動のまま正面を見据え、進行
していった。女性のはさみもなかった。
190929稀勢引退相撲 716
<はさみを手にする元日馬富士>

相撲関係者では、部屋の先輩の元力櫻、元隆
乃若がはさみをいれた。そして父。異色は
モンゴルから元日馬富士がはさみをいれた
ことだった。スピードか圧力か。現役時代は
好勝負を展開した両雄が時を超え、はさみを
いれる、いれられる立場にいた。また、元
3代目若乃花の花田氏もはさみをいれた。
さらに元横綱で現相撲博物館館長の元三重
ノ海の姿があった。
190929稀勢引退相撲 1059
<はさみをいれる弟弟子高安>

力士では豊ノ島、琴奨菊、高安、白鵬、鶴竜、
親方では小野川(元北太樹)、稲川(元普天
王)、二子山(元雅山)、芝田山(元大乃
国)、西岩(元若の里)がはさみをいれた。
ここで館内が暗くなり、稀勢の里にスポット
ライトがあたる。
190929稀勢引退相撲 1562
<師匠によるとめばさみ>

そしてついに師匠田子ノ浦(元隆の鶴)に
よるとめばさみ。ここで大銀杏に別れをつげ
た。四方に会釈して断髪式はぶじ終了した。
幕内の取組の最中にお茶屋に整髪で挨拶を
する稀勢の里の姿があった。
190929稀勢引退相撲 1707
<整髪姿の稀勢の里>

電車に遅れがでました。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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