現在取組は部屋別総当たり制である。それ以前は系統別
総当たり制で同じ部屋から独立した系統、つまり本家と
分家、あるいは分家の分家は対戦しない制度だった。
だから例えば立浪部屋と時津風部屋、出羽海部屋と春日野
部屋、二所ノ関部屋と花籠部屋、佐渡ヶ嶽部屋、片男波
部屋は対戦しなかった。だから、千代の山と栃錦、初代
若乃花と大鵬の対戦はなかった。
部屋別総当たりは1960(昭和40)年から実現した。これが
どのようにして実現したのか。それはNHK解説者の
玉の海梅吉氏が時津風(元双葉山)理事長に進言し、
時津風(元双葉山)理事長が協会内にある反対論に対し
好取組が増加すると希望する世論をバックに「いまや
人情論におぼれているときではない」と語って実現した
ものである。また、孤軍奮闘力士への不公平を少なく
する狙いもあった。
玉の海梅吉氏は師匠の玉錦が急性虫垂炎で現役で亡く
なった後二所ノ関部屋を引き継いだ。戦後の混乱期に
部屋を立て直し、弟弟子だった佐賀ノ花に部屋を譲り、
相撲界から身をひいた。そんな彼が再び相撲界と関りを
もつことになったのはNHKから解説者の依頼がきた
ことであった。推薦者は弟弟子であり、NHK解説者の
神風であった。
<玉の海梅吉著 これが大相撲だ
潮文社刊>
玉の海が場所に臨んでみると入り口に協会幹部が待って
いた。その中から出てきて無言で右四つに組んだのが
元双葉山の時津風であった。両者とも現役は右四つで
あった。無言の中で元双葉山が暖かく迎えてくれたことが
伝わる友情の右四つであった。
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”土俵の目撃者”
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