1敗貴景勝は琴ノ若と対戦した。分のいい相手であ
る。押し勝ったのは琴ノ若。押し戻す貴景勝。探り
合いから琴ノ若が思い切って出て土俵下に豪快に押
し倒した。「押せなくなったときの貴景勝は危ない」
という貴景勝の法則の典型的な一番となった。
2敗同士の阿武咲対琴勝峰戦がようやく実現した。
遅すぎた一番となった。相撲は、琴勝峰右四つで出
るも阿武咲がすくい投げでころがした。
3敗玉鷲は3敗錦木と対戦した。玉鷲の突きが炸裂
し、ねばる錦木を休まず攻めて突き出した。
11日目終了時点で星を整理すると以下になる。
幕内上位2敗貴景勝
幕内上位3敗玉鷲
幕内中位以下2敗阿武咲
幕内中位以下3敗琴勝峰
前日冷え切った優勝争いと書いたが、1日で消え去
った。12日目は玉鷲と阿武咲が対戦する。阿武咲に
とって初の上位戦である。ただ、上位戦はできても
最大4番である。琴勝峰は、上位戦はまだない。貴
景勝が上位の実力者と対戦し、今後も対戦すること
と比較すると差がありすぎる。それを数字で比較す
るのは、合理的思考ではない。
幕内の現実は2部制なのである。優勝は本来上位ク
ラスが資格者にふさわしい。阿武咲は貴景勝、豊昇
龍、霧馬山、琴ノ若、若元春、大栄翔を倒せば優勝
は文句なしだが、今となっては不可能である。2部
制を無視する大相撲は矛盾に満ちている。