最後に「花」のつく四股名というと横綱の名前が浮か
ぶ方が多いだろう。
常ノ花
若乃花 3人
貴乃花
一見ポピュラーのような「~花」の四股名だが、常ノ
花以前の江戸・東京相撲の幕内では実は3人しかいな
い。
江戸弘化 杣ヶ花
そまがはなと読む。紅葉川の名で入幕したが改名して
いる。江戸期唯一の~花である。
明治 稲野花
明治16年入幕。最高位前頭7枚目。幕内在位4場所。
明治 梅ノ花
明治42年入幕。横綱2代目梅ヶ谷の弟弟子で露払いを
務めたことがある。
そして東京相撲の幕内では常ノ花が大正に登場して
きたわけである。場所中に初めて引退した横綱で
ある。その次が高ノ花である。貴ノ花以前に同音四股
名の高ノ花がいたわけである。さらに、常ノ花と同じ
出羽海部屋から出羽ノ花が昭和7年に入幕している。
のちに出羽海として取締になり、理事長にもなって
いる。土俵よりも協会運営で手腕を発揮した。
出羽海部屋の~花は続き、昭和10年に伊達ノ花が入幕
している。30歳近かった。のちに大関に昇進した佐賀
ノ花が昭和14年に入幕してきた。佐賀ノ花が輝いたの
は、弟子の大鵬を英才教育で大横綱に育てたことで
ある。二所ノ関本家の繁栄は大鵬とともにあった。
戦後、昭和24年入幕してきた力士が若乃花であった。
入幕時は「ノ」の字であった。二所ノ関の分家小部屋
のなかから猛稽古で横綱にまでかけあがり、栃若時代
を築いた。若乃花の名をビッグにするとともに双葉
山、弟貴ノ花とともに昭和3大人気力士とたたえられ
た。
(この項目続く)