七月場所、平幕上位の逸ノ城が12勝3敗で優勝した。
これで三月場所の若隆景、五月場所の照ノ富士に続い
て3場所連続12勝優勝となった。これは15日制が定着
した昭和24年夏場所以降初めてのことである。もっと
も昭和47年には栃東11勝-長谷川12勝-輪島12勝と
いう今回以下のケースがある。ただ、11勝は優勝では
ない。単なる1位に過ぎない。表彰に値しない。さら
に横綱・大関との対戦がない優勝はもっと価値がな
い。ともいえる。
12勝優勝は低次元優勝、低空飛行優勝といわれる。
北の湖理事長は13勝以上の優勝を横綱昇進の基点に
おいていた。12勝優勝が初めて3場所続いた。これは
絶対強者の不在を意味している。現代は絶対強者が
いない時代である。だから照ノ富士以外優勝候補に
あげられない。その照ノ富士も安定性は失われて負け
が込むケースが目立つようになった。
照ノ富士がそうした状態にもかかわらず大関は代役を
果たせない。本来チャンスであるはずだ。最高位大関
の優勝は2019年十一月場所の貴景勝以降でていない。
それ以前最高位大関の優勝は2016年九月場所の豪栄道
までさかのぼることになる。好待遇を受けながら気楽
な次男坊では困るのだ。
これはかなり深刻な事態である。九月場所12勝優勝
だとまたかということになる。それでいて次の大関は
みえてこない。次の大関がみえないなら、次の横綱は
もっとみえてこない。現代大相撲は行き詰っている。
優勝候補にあげられず、優勝した力士の翌場所はどう
なったか。令和以降では以下になった。なお、休場が
多い白鵬にも優勝候補外で優勝したことはあるが、
別格とした。
平幕中位 朝乃山→7勝8敗
関脇 御嶽海→6勝9敗
平幕下位 徳勝龍→4勝11敗
平幕下位 照ノ富士→8勝5敗2休
関脇 正代→3勝2敗10休
大関 貴景勝→2勝8敗5休
平幕上位 大栄翔→8勝7敗
関脇 御嶽海→11勝4敗
関脇 若隆景→9勝6敗
全般的にいえることは本当に地力でした優勝か、と
いうことである。照ノ富士・御嶽海以外はその後優勝
していない。徳勝龍はいま十両で三役経験はない。
逸ノ城は九月場所どんな成績を残すのだろうか。