横綱大鵬は晩年、横綱になって間もない北の
富士、玉の海の全勝優勝を阻止してきた。
「先輩横綱は苦労して全勝優勝を達成して
きた。それを横綱になりたてにやられてたま
るか」そこには意地があった。結局北の富士、
玉の海が全勝優勝できたのは大鵬の引退後で
あった。
全勝優勝は完全優勝である。そこにはどんな
記録の変遷があったのか。太刀山は両国国技
館以前の幕内最高成績を含めると9回になる。
そのうち5回が全勝幕内最高成績である。
太刀山は突っ張りを得意としたため、引き
分けが少なかった。全勝幕内最高成績率は
56%である。太刀山は東西制のため、2代目
梅ヶ谷とはついに対戦がなかった。ここでは
参考記録として記しておく。
大正15年、優勝制度スタート後は全勝といえ
ば双葉山になる。腰で取る相撲は無敵であり、
相手が立てばいつでも立つ立ち合いは超人的
であった。5場所連続全勝優勝は今でも最高
記録である。全勝優勝は実に8回に及んだ。
双葉山の優勝は12回だから全勝優勝率は67%
と驚異的である。
年6場所制になって大鵬が複数全勝優勝した 。
その数8回である。初優勝から16場所かか
って初全勝優勝した。大鵬32回優勝のうち
全勝が8回だから全勝優勝率は25%である。
北の湖は7回全勝で全勝優勝率は29%である。
筋肉質で外国人に人気があった千代の富士
も全勝優勝は7回であった。
そうした流れの中で白鵬は実に16回もの全勝
優勝を成し遂げた。最後の優勝までもまさか
の全勝優勝だった。連続全勝優勝は4場所で
ある。これは双葉山の5場所に続く記録で
ある。全勝優勝率は36%である。これも双葉
山に次ぐ数字である。双葉山の全勝には11日
制2回、13日制3回あるから単純には比較
できないが、白鵬は6場所制で最も全勝優勝
記録を残した横綱だった。
連日雨です。
興味深いテーマをこれからもお届けします。