年寄株の空きと定年が近い親方の一覧|未襲名の名跡と参与11人【2026年9月時点】

年寄株(年寄名跡)は、引退後に日本相撲協会へ親方として残るために必要な「株」で、全部で105ある。数に限りがあり、昔から「高値の花」と呼ばれてきた。この記事では、2025年に定年を迎える親方、伊勢ヶ濱・大嶽部屋の継承、一代年寄が事実上封印された経緯まで、年寄株の動きを整理する。

※「一代年寄が事実上封印された理由」からの本文は、田口 通廣が2025年1月時点の状況と見通しを書いたものです。年寄株は定年・継承で動くため、過年度の経緯は2024年2月の年寄株事情、現代年寄株事情、現役力士で年寄株を持つのは誰か(2021年時点)もあわせてご覧ください。

2026年9月26日時点の答え

  • 年寄株(年寄名跡)は全部で105。いま日本相撲協会の年寄一覧に載っている親方は103人。
  • いま名乗る年寄がいない名跡(協会の職務分掌の「未襲名名跡」)は峰崎と井筒の2つ(令和8年9月1日現在)。誰が継ぐかは、定款第47条の手続き(退職した年寄の推薦・年寄資格審査委員会の審査・理事会の決定)で決まる。未襲名の名跡の表
  • 2026年10月から12月に65歳になる親方はいない。2027年に65歳になるのは6人で、粂川(4月)・春日野(5月)・境川(7月)・勝ノ浦(8月)・錦戸(9月)・芝田山(10月)。定年が近い親方の一覧
  • 田口が「2025年に定年を迎える」と書いた4人は、4人とも参与として協会に残っている。伊勢ヶ濱(元旭富士)は宮城野に、大嶽(元大竜)は熊ヶ谷に名跡を替えた。4人のその後

年寄一覧・職務分掌・年寄プロフィールは2026年9月26日に協会の公式サイトで確かめた。65歳・70歳になる年月は、プロフィールの生年月日から当サイトが計算したもの。105という数は田口 通廣の本文による。下の「一代年寄が事実上封印された理由」から「再雇用の途中で株を譲るケースも」までの地の文は、田口が2025年1月に書いたものである(見出しと、途中の「4人のその後」の節は当サイトが足した)。

目次

一代年寄が事実上封印された理由

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いつの時代も年寄株は高値の花である。千代の富士が一代年寄を選択せず、九重部屋を継承したとき、受けていれば一人助かったのに、と言われた。現代、一代年寄は事実上封印され、復活することはなさそうである。これは貴乃花にこりたためで、白鵬は損をみたことになった。一代年寄には名誉以外に功労金がわりの意味があったからである。

年寄株は全部で105|数の由来

年寄株は105ある。これは昭和2年東西合併がなったときから始まった。東京相撲88、大阪相撲17がそのままあわさったものである。ただし、現在はない年寄名がある。東京相撲では式守伊之助、木村庄之助、根岸である。大阪相撲では荒岩である。また、鏡山は東京・大阪相撲でダブっている。

逆に、当時はなかった年寄名は以下である。

  • 安治川
  • 大島
  • 北陣
  • 不知火
  • 西岩

2025年に定年を迎える親方は4人

2025年に定年を迎えるのは4人である。

  • 伊勢ヶ濱(元旭富士)
  • 大嶽(元大竜)
  • 陣幕(元富士乃真)
  • 白玉(元琴椿)

ただ、再雇用(70歳までできる)を希望すると、年寄株に空きはできないことになる。部屋持ちは再雇用では師匠になれない。

4人のその後|2026年9月の協会の記録から

上の4人がどうなったかを、協会の年寄一覧・職務分掌・お知らせで確かめた(2026年9月26日取得)。4人とも協会に残っていて、職務分掌(令和8年9月1日現在)では4人とも「参与」の欄に名前がある。

田口が書いた名前(2025年1月)2026年9月の年寄名協会の区分所属部屋
伊勢ヶ濱(元旭富士)宮城野 正也参与伊勢ヶ濱部屋
大嶽(元大竜)熊ヶ谷 忠博参与大嶽部屋
陣幕(元富士乃真)陣幕 哲也参与八角部屋
白玉(元琴椿)白玉 克之参与佐渡ヶ嶽部屋
年寄名と所属部屋は協会の年寄一覧、区分は職務分掌(令和8年9月1日現在)。いずれも2026年9月26日取得

名跡が替わった2人は、協会のお知らせに日付が出ている。令和7年6月9日付で、伊勢ヶ濱(元横綱 旭富士)が宮城野を継承襲名し、照ノ富士が伊勢ヶ濱を継承襲名すると同時に伊勢ヶ濱部屋を継承することが承認された(協会のお知らせ)。令和7年9月29日付では、大嶽(元十両 大竜)が熊ヶ谷を継承襲名し、熊ヶ谷だった元幕内 玉飛鳥が大嶽を継承襲名すると同時に大嶽部屋を継承することが承認された(同)。協会の年寄プロフィールの年寄名履歴も、2人とも最後が「伊勢ヶ濱 正也→宮城野 正也」「大嶽 忠博→熊ヶ谷 忠博」になっている。

本文に出てくる照ノ富士と宝富士の動きも、協会の発表で追える。照ノ富士は令和7年1月17日の理事会で引退と年寄 照ノ富士が承認され(協会のお知らせ)、同じ年の6月に伊勢ヶ濱を継いだ。宝富士は令和7年10月1日の理事会で引退と年寄 桐山の襲名が承認された(同)。田口の「照ノ富士は現在株がない」「宝富士は桐山をもっている」は、2025年1月の時点の記述である。

2025年1月の時点で再雇用は6人だったと、田口はこの記事に書いている。令和8年9月1日現在の職務分掌で参与の欄にいるのは11人。顔ぶれと70歳になる年月は参与の親方の表にまとめた。

すぐ下の写真の<伊勢ヶ濱>は、田口がこの記事を書いた2025年1月当時の伊勢ヶ濱(元旭富士、いまの宮城野)である。

伊勢ヶ濱
<伊勢ヶ濱>

伊勢ヶ濱部屋は誰が継ぐか

伊勢ケ濱部屋は誰が継ぐのか。照ノ富士は現在株がない。宝富士は桐山をもっている。照ノ富士が空き株か遺族持ちの株を入手すればスンナリいく。あるいは荒汐部屋のように、先代師匠は再雇用されることなく株および部屋を譲る方法はある。どうなるか、見方はさまざまある。

大嶽部屋と王鵬の継承

大嶽部屋はいったん閉鎖にして一門の部屋に併合するか、一門の親方を迎えて部屋を継続するかである。いずれにせよ、部屋は大鵬の孫である王鵬がいずれ継承か復活することになる。大鵬道場は納谷家に戻ってくることになる。

大嶽部屋の祖・大鵬
<大嶽部屋の祖 大鵬>

再雇用の途中で株を譲るケースも

部屋付きの陣幕、白玉は再雇用を希望すれば問題はない。ただ、最近の傾向としては再雇用の途中で株を譲るケースが出てきている。条件しだいかもしれないが、元若嶋津の荒磯、元琴風の尾車、元大徹の湊川などの例がある。なお、この時点で再雇用は6人いる。この年の定年予定者が全員再雇用になれば、一気に10人になる。果たして年寄株に動きはみられるのか。微妙な時代に入っている。

定年が近い親方の一覧|2026年10月〜2027年12月に65歳になる6人

2026年10月から12月のあいだに65歳になる親方はいない。2027年に65歳になるのは、4月の粂川(元琴稲妻)、5月の春日野(元栃乃和歌)、7月の境川(元両国)、8月の勝ノ浦(元起利錦)、9月の錦戸(元水戸泉)、10月の芝田山(元大乃国)の6人である。協会の年寄一覧に載っている103人の生年月日を、年寄プロフィールで1人ずつ確かめて数えた(2026年9月26日取得)。103人全員の名跡・所属部屋・一門は相撲の親方一覧に並べてある。

65歳になる月親方(年寄名)現役時代所属部屋部屋の師匠か協会の区分生年月日
2027年4月粂川 佳弘小結 琴稲妻佐渡ヶ嶽部屋部屋付き委員昭和37年4月26日
2027年5月春日野 清隆関脇 栃乃和歌春日野部屋師匠役員待遇委員昭和37年5月22日
2027年7月境川 豪章小結 両国境川部屋師匠役員待遇委員昭和37年7月30日
2027年8月勝ノ浦 利郎前頭二枚目 起利錦伊勢ノ海部屋部屋付き役員待遇委員昭和37年8月31日
2027年9月錦戸 眞幸関脇 水戸泉錦戸部屋師匠役員待遇委員昭和37年9月2日
2027年10月芝田山 康第62代横綱 大乃国芝田山部屋師匠役員待遇委員昭和37年10月9日
65歳になる月は、協会の年寄プロフィールにある生年月日から当サイトが計算した。年寄名・所属部屋・現役時代は協会の年寄一覧、区分は職務分掌(令和8年9月1日現在)、師匠かどうかは協会の「相撲部屋のご紹介」の師匠欄。いずれも2026年9月26日取得

定年の年齢そのものは、協会の公開ページ(定款・職務分掌・事業報告書)には見当たらなかった。協会の令和7年度の事業報告書には、理事会の決議として「停年に達する年寄との人材育成業務委託契約締結の件」が3回、「参与との業務委託契約更新の件」が4回出てくる(同じ趣旨の「停年退職する年寄との人材育成業務委託契約締結の件」も1回ある)。協会の言葉では「停年」である。65歳と70歳という年齢は、田口が「再雇用制度は65歳の定年を迎えた親方が、70歳まで雇用できる制度である」(記事39624・2023年6月)と書いているもので、別の記事では「昭和36年1月1日より65歳定年となった」とも書いている(記事27167)。協会のプロフィールの生年月日で数えると、職務分掌の参与の欄にいる11人は全員が65〜69歳、ほかの92人は全員が64歳以下だった。田口の書く年齢と合わない人はいない(当サイトが数えた)。

6人のうち、春日野・境川・錦戸・芝田山の4人は、協会の「相撲部屋のご紹介」で自分の名の部屋の師匠として載っている。田口は本文で「部屋持ちは再雇用では師匠になれない」と書いている。4つの部屋の今後について、当サイトは予想を書かない。

参与(再雇用)の親方11人|70歳になる年月

協会の職務分掌(令和8年9月1日現在)で「参与」の欄にいる親方は11人。田口は再雇用を「最長5年間、年寄名跡を保有したまま参与として協会に残ることを認める制度」(記事47967・2025年6月)と書き、2021年の記事27167には「参与扱いで70歳まで務められる」とある。70歳になる年月を生年月日から数えると、2027年中に70歳になるのは立田山(元薩洲洋・6月)と高島(元高望山・8月)の2人。いちばん遅いのは常盤山(元隆三杉)の2031年3月になる。

70歳になる月親方(年寄名)現役時代所属部屋年齢生年月日
2027年6月立田山 裕教前頭筆頭 薩洲洋追手風部屋69歳昭和32年6月7日
2027年8月高島 大造関脇 高望山追手風部屋69歳昭和32年8月15日
2028年2月鏡山 昇司関脇 多賀竜追手風部屋68歳昭和33年2月15日
2028年4月入間川 哲雄関脇 栃司春日野部屋68歳昭和33年4月25日
2029年4月陸奥 一博大関 霧島音羽山部屋67歳昭和34年4月3日
2029年4月花籠 忠明関脇 太寿山高田川部屋67歳昭和34年4月8日
2030年7月宮城野 正也第63代横綱 旭富士伊勢ヶ濱部屋66歳昭和35年7月6日
2030年9月熊ヶ谷 忠博十両四枚目 大竜大嶽部屋65歳昭和35年9月30日
2030年11月陣幕 哲也前頭筆頭 富士乃真八角部屋65歳昭和35年11月6日
2030年12月白玉 克之前頭三枚目 琴椿佐渡ヶ嶽部屋65歳昭和35年12月6日
2031年3月常盤山 太一小結 隆三杉湊川部屋65歳昭和36年3月1日
参与の11人は協会の職務分掌(令和8年9月1日現在)の「参与」欄。年齢は2026年9月26日に協会の年寄プロフィールに出ていたもの。70歳になる月は生年月日から当サイトが計算した。陸奥の現役名の霧島は、いまの現役力士の霧島とは別人

参与のあいだは名跡を持ったままなので、その名跡は空かない。再雇用を希望する親方が多いと年寄株に空きはできない、という見方は田口の本文にもある。協会を離れたあとの名跡について、協会の定款第47条は「退職する年寄は、この法人に年寄名跡を襲名する者を推薦することができる。ただし、退職後5年以内を限度として推薦するものとする」と定めている。

空いている年寄株|未襲名の名跡は峰崎と井筒【令和8年9月1日現在】

2026年9月の時点で、いま名乗る年寄がいない名跡(未襲名名跡)は峰崎と井筒の2つ。協会の職務分掌に「未襲名名跡 峰崎、井筒」とある(令和8年9月1日現在・2026年9月26日取得)。年寄一覧の103人にこの2つを足すと105になり、田口が書く「年寄株は105ある」と合う(当サイトが足した)。

未襲名の名跡職務分掌の基準日当サイトの手元の記録
峰崎令和8年9月1日現在2025年6月の田口の記事に、再雇用中の親方として「峰崎(元三杉磯)」
井筒令和8年9月1日現在2026年7月20日の年寄一覧には井筒 光彦(元明瀬山)が載っていた
未襲名の名跡と基準日は協会の職務分掌(2026年9月26日取得)。手元の記録の井筒は、当サイトが2026年7月20日に写した協会の年寄一覧による(9月16日の取得では一覧になかった)

協会の事業報告書では、年寄の人数は2024年12月31日時点で103人(令和6年度)、2025年12月31日時点で105人(令和7年度)だった。定款第47条は「年寄名跡は、この法人が管理するものとする」で始まり、名跡を襲名する人については「年寄名跡を襲名する者は、年寄資格審査委員会で審査した結果に基づき理事会で決定する」と定めている。同じ条には「何人も、年寄名跡の襲名及び年寄名跡を襲名する者の推薦に関して金銭等の授受をしてはならない」ともある。当サイトは襲名の予想をしない。

年寄株についてよくある質問

年寄株は全部でいくつある?

105ある。昭和2年の東西合併のとき、東京相撲88・大阪相撲17が合わさった数が元になっている。

一代年寄は今後も認められる?

現代では事実上封印され、復活はなさそうとされる。過去には千代の富士が選ばず九重を継承し、白鵬は損をみた形になった。

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再雇用とは何ですか?

田口の記事によると、65歳で定年を迎えた親方が70歳まで協会に残れる制度。ただし部屋持ちは再雇用では師匠になれず、再雇用を希望すると年寄株に空きは出ない。

Q. 年寄株はいまいくつ空いている?
A. いま名乗る年寄がいない名跡は2つ。協会の職務分掌に「未襲名名跡 峰崎、井筒」とある(令和8年9月1日現在)。年寄一覧の103人と足すと105で、田口の書く総数と合う。誰が継ぐかは定款第47条の手続きで決まる。

Q. 親方の定年は何歳?再雇用は何歳まで?
A. 田口は「65歳の定年を迎えた親方が、70歳まで雇用できる」と書いている。協会の公開ページで年齢の規定は見つけられなかったが、協会のプロフィールで数えると参与の11人は全員65〜69歳、ほかの92人は全員64歳以下だった(2026年9月26日時点)。

Q. 次に65歳になる親方は?
A. 2026年10月から12月はいない。2027年は粂川(4月)、春日野(5月)、境川(7月)、勝ノ浦(8月)、錦戸(9月)、芝田山(10月)の6人。

Q. 白玉親方と陣幕親方は定年後どうなった?
A. 2人とも協会に残っている。2026年9月の年寄一覧に白玉 克之・陣幕 哲也として載り、職務分掌(令和8年9月1日現在)では参与の欄にいる。

Q. 宝富士は親方になった?
A. なった。令和7年10月1日の理事会で引退と年寄 桐山の襲名が承認された(協会のお知らせ)。2026年9月の年寄一覧では伊勢ヶ濱部屋所属の桐山 大輔。

Q. 年寄株は売り買いできる?
A. 協会の定款第47条は「何人も、年寄名跡の襲名及び年寄名跡を襲名する者の推薦に関して金銭等の授受をしてはならない」と定めている。襲名する人は年寄資格審査委員会の審査を経て理事会が決める。

出典と取得日(2026年9月の追記分)

日本相撲協会「年寄一覧」(103人の年寄名・所属部屋・現役時代)/同「職務分掌」(区分・参与・未襲名名跡。令和8年9月1日現在)/同 年寄プロフィール103人分(生年月日・年寄名履歴)/同「相撲部屋のご紹介」6部屋(師匠)/同「協会からのお知らせ」(令和7年1月17日・6月9日付・9月29日付・10月1日)/同「定款」第47条(令和4年3月28日施行の版)/同 業務・財務情報の令和6年度・令和7年度の事業報告書(年寄の人数と理事会の決議)。いずれも2026年9月26日取得。

65歳・70歳になる年月、参与とそれ以外の年齢の突き合わせ、103+2=105の足し算は、当サイトが協会の記録から計算した。65歳の定年と70歳までの再雇用という年齢は、田口 通廣の記事39624・記事47967・記事27167の記述による。協会の公開ページで同じ数字は見つけられなかったので「協会によると」とは書いていない。誰がどの名跡や部屋を継ぐかの予想は書かない。

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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