昨年照ノ富士は2回優勝した。これだけ見れば十分である。大正15
年スタートの公式優勝制度以降では14人目の10回以上の優勝を達成
した。その反面休場が多い年でもあった。不戦敗を入れて53休場で
あった。
年齢は33歳になった。モンゴルの先輩横綱白鵬・鶴竜も晩年は休場
が多かった。最後の1年白鵬は不戦敗を入れて49休場30部屋ごとコ
ロナ休場だった。同様に鶴竜は69休場であった。1場所中止があっ
て5場所の休場であった。
一人横綱ということもあって横綱審議委員会から厳しい意見は出て
いない。横綱は休場しても落ちない特権がある。しかし、不成績な
ら引退しかない。こちらのほうは明確な基準はない。栃木山は、横
綱は追いつめられて辞めてはいけない、という美学を持っていた。
弟子の栃錦が横綱に昇進したしたときにそれを伝えている。
照ノ富士の引退はあるのか。十分に考えられる。膝はよくなること
はないうえに、糖尿病をかかえている。現在2場所連続全休中であ
る。冬巡業ではけいこ再開と伝えられているが、来たる一月場所、
途中休場でもすると一気に高まる。一月場所の成績は運命の分かれ
道になる。
照ノ富士は大関を落ち、ケガで序二段まで番付を下げた。そこから
這いあがって再入幕で2回目の優勝を成し遂げた。そして横綱にま
で駆け上がった。奇跡ともいうべき力士人生を歩んできた。こんな
横綱はもう二度と出ない。それだけに最後まで見届けたい。