この日全勝の御嶽海が霧馬山に負けて土が
ついた。波乱はそれだけでは済まなかった。
結びの一番でも再びおこった。
照ノ富士にとって玉鷲戦は先場所のリベンジ
になるはずだった。ところが相撲は、先場所
の再現をみるような展開になった。玉鷲の
突っ張りになすすべなく後退して東土俵を
あっさりわった。こんなにもろい負け方を
するとはいささか驚いた。
照ノ富士は突っ張り、あるいは突き押しの
対戦相手と離れて戦う傾向がある。2日目の
大栄翔戦も、さらにさかのぼれば先場所の
阿炎戦も同様だった。そうして後退させられ
て敗退していった。
今までこうした相手には自分から踏み込んで、
簡単に後退はしなかった。踏み込むことに
よって相手の攻撃が後手にまわった。それが
できなくなったということは、照ノ富士は
弱くなっているのだろうか。
ある程度イエスと言わざるを得ない、30歳
だから成長途上とはいえない。とはいえこれ
まで他の力士とは実力差があった。それが
通用しなくなってきているのが照ノ富士の
現状である。
照ノ富士の衰退は何を意味するのか。それは
乱戦・混戦場所の突入ではないだろうか。
昭和47年一月場所から4場所は誰が優勝する
かわからなかった歴史がある。
3勝2敗から照ノ富士が優勝したことはない。
しかし、最後まで相撲を捨てることなく務め
ていただきたい。それが横綱の責任である。